AI時代に教材を作り続ける理由
ChatGPTをはじめとする生成AIの発展により、知識へのアクセスはかつてないほど容易になりました。
分からないことがあれば質問する。
数秒待てば回答が返ってくる。
その利便性は非常に大きく、多くの人が日常的にAIを活用するようになっています。
では、そのような時代に教材は必要なのでしょうか。
私たちは、必要であると考えています。
むしろAI時代だからこそ、良質な教材の価値はこれまで以上に重要になると考えています。
AIは質問に答えることが得意
AIは優れた道具です。
分からない概念を説明してもらう。
別の言い方で説明してもらう。
具体例を挙げてもらう。
学習の補助役として非常に有用です。
WIISでもAI Tutorを提供しています。
学習中に生じた疑問をその場で解決できるため、学習効率を大きく向上させることができます。
しかし、AIが得意なのは「質問に答えること」です。
一方で、学習とは質問に答えることだけではありません。
学習に必要なのは体系である
学問は個々の知識の集まりではありません。
概念と概念が結び付き、一つの体系を形成しています。
例えば微分積分学を学ぶ場合、
極限
↓
連続
↓
微分
↓
積分
という流れがあります。
経済学であれば、
需要と供給
↓
市場均衡
↓
厚生分析
といった流れがあります。
個別の疑問に答えることと、その体系全体を理解することは別の問題です。
AIは個々の質問には答えられます。
しかし、
「何をどの順番で学ぶべきか」
「どの知識が前提となっているのか」
「全体の中でどこを学んでいるのか」
までは自動的に保証してくれません。
教材の役割は、知識を体系として整理し、学習者を導くことにあります。
AIは地図ではなく案内人である
私たちは、教材とAIの関係を次のように考えています。
教材は地図です。
AIは案内人です。
案内人がどれほど優秀でも、地図がなければ現在地や目的地を見失います。
逆に、地図だけでは分からないこともあります。
道に迷ったとき。
理解が追いつかないとき。
補足説明が必要なとき。
そのような場面では案内人が役立ちます。
教材とAIは競合するものではありません。
互いを補完する存在です。
良いAIは良い教材から生まれる
AIが回答を生成するためには、参照する知識が必要です。
参照する情報が不十分であれば、回答の品質も低下します。
逆に、整理された教材や知識体系が存在すれば、より質の高い回答を提供できます。
実際、WIISのAI Tutorも教材を参照しながら回答を生成しています。
私たちは、
教材
↓
AI
↓
学習者
という関係を重視しています。
AIだけではなく、教材も同時に育てていく必要があると考えています。
学ぶことと考えること
AIは多くのことを教えてくれます。
しかし、何を学ぶべきかを決めるのは人間です。
どの問いを立てるのか。
どの問題に取り組むのか。
どの知識を社会で活用するのか。
それは学習者自身が考えなければなりません。
学問の目的は、答えを知ることだけではありません。
問いを立てることでもあります。
AI時代だからこそ教材を作る
AIは学習を大きく変えました。
しかし、それによって教材の役割が失われたわけではありません。
むしろ、知識が簡単に手に入る時代だからこそ、
何を学ぶべきか。
どの順番で学ぶべきか。
どのように知識を体系化するか。
が重要になっています。
WIISはこれからも教材を作り続けます。
教材によって学びの地図を示し、
AI Tutorによって理解を支援し、
フォーラムや研究会によって対話と研究を促進する。
それが私たちの考える「学びと研究の循環」であり、AI時代における学習環境のあり方です。