
本教材は、WIISで公開しているWeb教材をもとに、関係に関する基礎理論を一冊の教科書として学べるよう再構成したPDF教材です。
二項関係の定義や表記から始め、自己関係、逆関係、合成関係、関係どうしの演算を体系的に解説しています。さらに、二項関係が持ちうる基本的な性質として、反射律・非反射律・対称律・反対称律・非対称律・推移律を取り上げるほか、完備律・完全律・三分律についても扱います。後半では、反射律・対称律・推移律をすべて満たす同値関係を導入し、同値類、商集合、集合の分割、同値関係と分割の対応までを学びます。
関係は、2つの対象の間にどのような結びつきが成立するかを数学的に表現するための基本概念です。数の大小関係、集合の包含関係、整数の合同関係など、一見すると異なるさまざまな関係を、順序対の集合という共通の枠組みのもとで捉えることができます。また、写像や順序、同値関係など、大学数学で繰り返し登場する多くの概念も、関係を基礎として理解することができます。本教材では、個々の性質の名称や判定方法を覚えるだけでなく、関係を集合として捉え、それぞれの性質を定義にもとづいて厳密に考え、証明する力を身に付けることを目指しています。
エレガントさよりも分かりやすさを重視し、「二項関係とはどのような数学的対象なのか」「逆関係や合成関係はどのように定義されるのか」「反射律・対称律・推移律などは何を意味するのか」「同値関係は集合をどのように分類するのか」を丁寧に説明しています。特に、似た名称を持つ反射律と非反射律、対称律・反対称律・非対称律などについては、それぞれの違いを具体例と論理式の両面から確認できるよう構成しています。
本教材では、次のような内容を体系的に学ぶことができます。
定義・命題・証明・具体例・演習問題をバランスよく配置し、一つずつ理解を積み重ねながら学習できる構成になっています。二項関係の性質については、単に例を見て判定するだけでなく、量化記号を用いた定義や、恒等関係・逆関係・合成関係を用いた特徴づけまで扱います。また、同値関係については、具体的な対象を「ある基準のもとで同じもの」とみなす考え方から出発し、同値類による分類、商集合、さらに集合の分割との対応へと段階的に議論を進めます。
巻末には複数の確認テストを収録し、基本的な定義や性質の理解だけでなく、与えられた関係が同値関係であることの証明、同値類や商集合の特定、分割から同値関係を構成する問題などを通じて、学習内容を総合的に確認できるようにしています。
関係を初めて本格的に学ぶための入門教材としてはもちろん、写像、順序、代数学、位相空間論などを学ぶ前の基礎固めや、大学数学における論理的な定義・証明の読み書きを練習するための教材としてもご活用ください。
本教材は、一度作成して終わりではありません。
WIISでは、Web教材の改善に合わせてPDF教材も継続的に更新しています。誤植の修正だけでなく、説明の改善や例題の追加なども反映されます。
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