トップ・トレーディング・サイクルメカニズム

分割財の交換経済における代表的なメカニズムであるトップ・トレーディング・サイクルメカニズム(トップ・トレーディング・サイクルアルゴリズム)とはどのようなものであるか、具体例とともに解説するとともに、このメカニズムが備える望ましい性質を紹介します。

競争均衡

分割財の交換経済において便宜的に価格体系を導入したとき、配分と価格ベクトルの組が予算制約条件と選好最大化条件を満たすのであれば、そのような組を競争均衡と呼びます。また、競争的な配分を常に選び取るメカニズムを競争均衡メカニズムと呼びます。

安定性

プレイヤーたちが商品を交換することによりコア配分が実現した後においても、その配分が依然としてコアであり続けるのであれば、そのような配分を安定的な配分と呼びます。また、安定的な配分を常に選び取るメカニズムを安定メカニズムと呼びます。

コア選択

ある配分を出発点に、そこからプレイヤーのグループ(提携)が内部で商品を交換することでグループ内でのパレート改善が可能である場合、その配分はその提携によってブロックされると言います。また、いかなる提携によってもブロックされない配分をコアと呼び、コアを常に選び取るメカニズムをコア選択メカニズムと呼びます。

パレート効率性

ある配分を出発点に、そこからさらに誰かの満足度を高めようとすると他の人の犠牲が伴うような状態であるとき、その配分はパレート効率的であると言います。また、パレート効率的な配分を常に選び取るメカニズムをパレート効率的なメカニズムと呼びます。

個人合理性

非分割財の交換経済におけるメカニズムが与えられたとき、プレイヤーたちが申告する選好の内容に関わらず、メカニズムが定める配分が任意のプレイヤーにとって初期配分以上に望ましいことが保証されるならば、そのようなメカニズムは個人合理性を満たすと言います。

誘因両立性

非分割財の交換経済におけるインセンティブの問題を解消するためには、すべてのプレイヤーが自身の選好を正直に表明することが均衡になるようなメカニズムを設計する必要があります。そのような性質を満たすメカニズムを誘因両立的なメカニズムと呼びます。ここでは、誘因両立性の中でも、耐戦略性と事後均衡誘因両立性について解説します。

メカニズム

非分割財の交換経済ではプレイヤーの間に情報の非対称性が存在するため、インセンティブの問題が発生する可能性があります。そのような問題を解決するために、マッチメイカーは適切な資源配分ルール、すなわちメカニズムを設計しようとします。

非分割財の交換経済

商品を1つずつ所有している複数のプレイヤーが、何らかのルールにもとづいて商品を交換しようとしている状況を非分割財の交換経済と呼ばれるモデルとして定式化します。このような問題はシャプレー・スカーフ経済、住宅市場モデル、住宅交換モデルなどとも呼ばれます。