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予算均衡メカニズム

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狭義の予算均衡メカニズム

現実の多くの場面では、オークションの主催者がオークションを行った結果として、常に収支が均衡するようなメカニズムを設計する必要に迫られます。そのようなメカニズムを予算均衡(budget balance)メカニズムや狭義の予算均衡(strictly budget balance)メカニズムなどと呼びます。

単一財オークション環境におけるメカニズム\(\left( a,t\right) \)が何らかの純粋戦略の組\(s_{I}\)を均衡として遂行可能であるものとします。市場の状態が\(\theta _{I}\)である場合、入札者たちは先の均衡\(s_{I}\)にもとづいて入札\(s_{I}\left( \theta _{I}\right) \)を行い、その入札に対してメカニズムは結果\(\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right),t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \right) \)を定め、その結果からオークションの主催者は以下の所得移転\begin{equation*}\sum_{i\in I}t_{i}\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right)
\end{equation*}に直面します。メカニズムを設計する段階において、オークションの主催者は真の状態を知らないため、メカニズムが予算均衡を満たすことを保証するためには、メカニズムの任意の均衡において、主催者の収支が均衡することを保証する必要があります。したがって、メカニズム\(\left( a,t\right) \)が予算均衡を満たすこととは、メカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでの任意の均衡\(s_{I}\in S_{I}\)において、\begin{equation}\forall \theta _{I}\in \Theta _{I}:\sum_{i\in I}t_{i}\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) =0 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことを意味します。

特に、メカニズム\(\left(a,t\right) \)が誘因両立的である場合には正直戦略の組\(s_{I}\)が均衡になりますが、正直戦略の定義より、このとき、\begin{equation}\forall i\in I,\ \forall \theta _{i}\in \Theta _{i}:s_{i}\left( \theta
_{i}\right) =\theta _{i} \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つため、誘因両立的なメカニズム\(\left( a,t\right) \)が予算均衡を満たすこととは、\(\left(1\right) \)および\(\left( 2\right) \)より、\begin{equation*}\forall \theta _{I}\in \Theta _{I}:\sum_{i\in I}t_{i}\left( \theta
_{I}\right) =0
\end{equation*}が成り立つことを意味します。

 

広義の予算均衡メカニズム

オークションの主催者がオークションを行った結果として、常に収支が赤字にならないことが保証される場合、そのようなメカニズムを広義の予算均衡(weak budget balance)メカニズムと呼びます。

単一財オークション環境におけるメカニズム\(\left( a,t\right) \)が何らかの純粋戦略の組\(s_{I}\)を均衡として遂行可能であるものとします。市場の状態が\(\theta _{I}\)である場合、入札者たちは先の均衡\(s_{I}\)にもとづいて入札\(s_{I}\left( \theta _{I}\right) \)を行い、その入札に対してメカニズムは結果\(\left( a\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right),t\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right) \right) \)を定め、その結果からオークションの主催者は以下の所得移転\begin{equation*}\sum_{i\in I}t_{i}\left( s_{I}\left( \theta _{I}\right) \right)
\end{equation*}に直面します。メカニズムを設計する段階において、オークションの主催者は真の状態を知らないため、メカニズムが広義の予算均衡を満たすことを保証するためには、メカニズムの任意の均衡において、主催者の収支が赤字にならないことを保証する必要があります。したがって、メカニズム\(\left( a,t\right) \)が広義の予算均衡を満たすこととは、メカニズム\(\left( a,t\right) \)のもとでの任意の均衡\(s_{I}\in S_{I}\)において、\begin{equation}\forall \theta _{I}\in \Theta _{I}:\sum_{i\in I}t_{i}\left( s_{I}\left(
\theta _{I}\right) \right) \geq 0 \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことを意味します。

特に、メカニズム\(\left(a,t\right) \)が誘因両立的である場合には正直戦略の組\(s_{I}\)が均衡になりますが、正直戦略の定義より、このとき、\begin{equation}\forall i\in I,\ \forall \theta _{i}\in \Theta _{i}:s_{i}\left( \theta
_{i}\right) =\theta _{i} \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立つため、誘因両立的なメカニズム\(\left( a,t\right) \)が広義の予算均衡を満たすこととは、\(\left( 1\right) \)および\(\left( 2\right) \)より、\begin{equation*}\forall \theta _{I}\in \Theta _{I}:\sum_{i\in I}t_{i}\left( \theta
_{I}\right) \geq 0
\end{equation*}が成り立つことを意味します。

収支が均衡することは収支が赤字でないことを意味するため以下が成り立ちます。

命題(狭義の予算均衡と広義の予算均衡の関係)
単一財オークション環境におけるメカニズム\(\left( a,t\right) \)が狭義の予算均衡を満たすならば、\(\left( a,t\right) \)は広義の予算均衡を満たす。
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次回は効率性と呼ばれるメカニズムの性質について解説します。

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