静学ゲームと動学ゲーム

ゲームに参加するすべてのプレイヤーが同時に意思決定を行うとき、そのゲームを静学ゲームや同時手番ゲームなどと呼びます。一方、ゲームに参加するプレイヤーが順番に意思決定を行うとき、そのゲームを動学ゲームや逐次手番ゲームなどと呼びます。

静学ゲーム

ゲームに参加するすべてのプレイヤーが同時に意思決定を行うとき、そのゲームを静学ゲーム(static game)や同時手番ゲーム(simultaneous move game)などと呼びます。

静学ゲームという概念は、ゲームのルールの中でも「順番」を基準にゲームを分類することで得られる概念ですが、「情報」によって静学ゲームという概念を特徴づけることもできます。具体的には、プレイヤーたちが同時に意思決定を行うことは、それぞれのプレイヤーが意思決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意思決定を事前に観察できないことと実質的に同じです。ですから、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意志決定に関する情報を与えられないゲームとして静学ゲームを定義することもできます。

例(静学ゲーム)
ジャンケンを1回だけ行うとき、プレイヤーたちは同時に自分の手を出す必要があります。言い換えると、それぞれのプレイヤーは他のプレイヤーが出す手を観察できない状態で意思決定を行います。後出しはルール違反です。したがって1回限りのジャンケンは静学ゲームです。
例(静学ゲーム)
選挙では候補者が掲げる公約が一定の役割を果たします。候補者が打ち出す公約の内容は、その人の信念や問題意識、知識に依拠しますが、同時に、他の候補者たちの公約と差別化できるような公約を掲げることも重要です。したがって、立候補する時点において他の候補者たちの公約を知っているかどうかは、自身が掲げる公約の内容に影響を与えます。仮に選挙管理委員会がすべての候補者に対して公約を同時に提示するよう求めるのであれば、候補者たちは静学ゲームをプレーしていると言えます。

 

動学ゲーム

ゲームに参加するプレイヤーが順番に意思決定を行うとき、そのゲームを動学ゲーム(dynamic game)や逐次手番ゲーム(sequential game)などと呼びます。

繰り返しになりますが、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意志決定に関する情報を与えられないゲームとして静学ゲームを特徴づけることもできます。他方で、他のプレイヤーたちが行った意思決定に関する情報を与えられるゲームとして動学ゲームを特徴づけることはできません。なぜなら、プレイヤーたちが順番に意思決定を行うことは、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、自分より前に意志決定を行ったプレイヤーの意志決定の内容を事前に観察できることを必ずしも意味しないからです。つまり、他のプレイヤーによる意思決定を観察できないような動学ゲームが存在するということです。

例(動学ゲーム)
将棋や囲碁、チェス、トランプのババ抜きなどでは、プレイヤーたちが順番に意思決定を行うため、これらはいずれも動学ゲームです。
例(動学ゲーム)
先の選挙公約の例において、仮に選挙管理委員会が候補者たちに対して一定の期間内に公約を掲げればよいと通達するのであれば、候補者はすぐに公約を提示することもできますし、他の候補者の公約を観察してから自身の公約を提示することもできるため、候補者たちは動学ゲームをプレーしていると言えます。

次回は完全情報ゲームと不完全情報ゲームの違いを解説します。

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