静学ゲーム
ゲームに参加するすべてのプレイヤーが同時に意思決定を行うとき、そのゲームを静学ゲーム(static game)や同時手番ゲーム(simultaneous move game)などと呼びます。
静学ゲームという概念は、ゲームのルールの中でも「順番」を基準にゲームを分類することで得られる概念ですが、「情報」によって静学ゲームという概念を特徴づけることもできます。具体的には、プレイヤーたちが同時に意思決定を行うことは、それぞれのプレイヤーが意思決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意思決定を事前に観察できないことと実質的に同じです。ですから、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意志決定に関する情報を与えられないゲームとして静学ゲームを定義することもできます。
以下もまた静学ゲームの例です。
囚人のジレンマ 軍拡競争 価格競争 広告競争 美人投票 クールノー競争 ベルトラン競争
動学ゲーム
ゲームに参加するプレイヤーが順番に意思決定を行うとき、そのゲームを動学ゲーム(dynamic game)や逐次手番ゲーム(sequential game)などと呼びます。
繰り返しになりますが、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、他のプレイヤーたちが行った意志決定に関する情報を与えられないゲームとして静学ゲームを特徴づけることもできます。他方で、他のプレイヤーたちが行った意思決定に関する情報を与えられるゲームとして動学ゲームを特徴づけることはできません。なぜなら、プレイヤーたちが順番に意思決定を行うことは、それぞれのプレイヤーが意志決定を行う際に、自分より前に意志決定を行ったプレイヤーの意志決定の内容を事前に観察できることを必ずしも意味しないからです。つまり、他のプレイヤーによる意思決定を観察できないような動学ゲームが存在するということです。
次回は完全情報ゲームと不完全情報ゲームの違いを解説します。
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