狭義支配純粋均衡と狭義支配される戦略の逐次消去の関係
戦略型ゲーム\(G\)に狭義支配均衡\(s_{I}^{\ast }\in S_{I}\)が存在するものとします。同じゲーム\(G\)に対して純粋戦略によって狭義支配される戦略の逐次消去を適用すると、プロセスの最初のステップにおいて先の\(s_{I}^{\ast }\)に含まれる純粋戦略以外のすべての戦略が消去されるため、結局、\(G\)は逐次消去によって解くことができ、その解は\(s_{I}^{\ast }\)と一致します。したがって以下の命題を得ます。
上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、戦略型ゲーム\(G\)が純粋戦略によって狭義支配される戦略の逐次消去によって解くことができるとき、その解は\(G\)の狭義支配戦略均衡であるとは限りません。以下の例よりらかです。
$$\begin{array}{|c|c|c|c|}\hline
1\diagdown 2 & L & C & R \\ \hline
U & 1,0 & 1,2 & 0,1 \\ \hline
D & 0,3 & 0,1 & 2,0 \\ \hline
\end{array}$$
このゲーム\(G\)は純粋戦略によって狭義支配される戦略の逐次消去によって解くことができ、その解は\(\left(U,C\right) \)です。一方、\(G\)においてプレイヤー\(1,2\)はともに狭義支配戦略を持たないため、\(G\)には狭義支配戦略均衡は存在しません。
戦略型ゲームに狭義支配戦略均衡が存在するとき、それが実際にプレーされることが保証するためには合理性の仮定さえあれば十分です。ただ、戦略の組が狭義支配戦略均衡であるための条件は厳しいため、ゲームに狭義支配戦略均衡が存在しないという状況は多々起こり得ます。一方、ゲームに狭義支配戦略均衡が存在しない場合でも、そのゲームが純粋戦略によって狭義支配される戦略の逐次消去によって解ける場合があります。ただ、その解が実際にプレーされることを保証するためには、合理性の仮定に加えて、合理性が共有知識であるという仮定が必要になります。
広義支配戦略均衡と広義支配される戦略の逐次消去の関係
戦略型ゲーム\(G\)に弱支配純粋戦略均衡\(s_{I}^{\ast }\in S_{I}\)が存在するものとします。同じゲーム\(G\)に対して純粋戦略によって広義支配される戦略の逐次消去を適用すると、プロセスの最初のステップにおいて先の\(s_{I}^{\ast }\)に含まれる純粋戦略以外のすべての戦略が消去されるため、結局、\(G\)は逐次消去によって解くことができ、その解は\(s_{I}^{\ast }\)と一致します。
上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、戦略型ゲーム\(G\)が純粋戦略によって広義支配される戦略の逐次消去によって解くことができるとき、その解は\(G\)の広義支配純粋戦略均衡であるとは限りません。以下の例より明らかです。
$$\begin{array}{|c|c|c|c|}\hline
1\diagdown 2 & L & C & R \\ \hline
U & 1,0 & 1,1 & 0,1 \\ \hline
D & 0,3 & 1,1 & 2,0 \\ \hline
\end{array}$$
このゲーム\(G\)は純粋戦略によって広義支配される戦略の逐次消去によって解くことができ、その解は\(\left(U,C\right) \)です。一方、\(G\)においてプレイヤー\(1,2\)はともに広義支配戦略を持たないため、\(G\)には広義支配純粋均衡は存在しません。
戦略型ゲームに広義支配戦略均衡が存在するとき、それが実際にプレーされることが保証するためには、合理性と警戒心の仮定さえあれば十分です。ただ、戦略の組が広義支配戦略均衡であるための条件は厳しいため、ゲームに広義支配戦略均衡が存在しないという状況は多々起こり得ます。一方、ゲームに広義支配戦略均衡が存在しない場合でも、そのゲームが純粋戦略によって広義支配される戦略の逐次消去によって解ける場合があります。ただ、その解が実際にプレーされることを保証するためには、合理性と警戒心の仮定に加えて、それらが共有知識であるという仮定が必要になります。
次回はナッシュ均衡について解説します。
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