短期マクロ分析の基礎

本テキストでは、国民経済計算で経済を概観し、財市場(45度線分析)と貨幣市場(流動性選好)を個別に分析します。最終的にIS-LM分析を用いて両市場の同時均衡を解明し、財政・金融政策が国民所得と利子率に与える影響を学びます。

学習内容

国民経済計算

国全体の経済活動を測る指標であるGDP(国内総生産)の定義と、生産・分配・支出の三面等価の原則を解説します。

国内総生産(GDP)の定義

国民経済計算(SNA)が提供する経済指標の中で最も重要な指標の1つが国内総生産(GDP)です。GDPについて解説します。

国内総所得(GDI)の定義

国民経済計算(SNA)が提供する経済指標の1つである国内総所得(GDI)について解説します。理論上、GDIはGDPと一致します。

国内総支出(GDE)の定義

国民経済計算(SNA)が提供する経済指標の1つである国内総支出(GDE)について解説します。理論上、GDEはGDPやGDIなどと一致します。

三面等価の原理とその根拠

国内総生産(GDP)と国内総所得(GDI)と国内総支出(GDE)が一致することを指して三面等価の原理と呼びます。三面等価の原理が成立する根拠について解説します。

産業連関表と産業連関分析

産業連関表を用いれば経済を構成する各産業部門の費用構成と販路構成を同時に把握できます。また、レオンチェフ逆行列を特定することにより、どこかの需要が変化した際に、各産業の国内生産額がどれくらい変化するかを予測できます。

GDPデフレーター(名目GDP・実質GDP)の定義

名目GDPおよび実質GDPについて定義した上で、それらを用いて物価指数の1つであるGDPデフレーターを定義します。

短期における財市場分析

物価が硬直的な短期における国民所得の決定メカニズムを分析します。有効需要の原理にもとづき、消費・投資・政府支出からなる総需要が均衡国民所得を決定するプロセスおよび乗数効果やインフレギャップの概念を学びます。

短期における財市場均衡条件と均衡国民所得(45度線モデル)

財市場において需給ギャップが生じた場合に、短期では数量調整が行われますが、その結果、どのような均衡が生じるかを明らかにします。

完全雇用国民所得と失業の分類

価格が変動する状況を想定した上で達成される、経済の供給能力を最大限に活用した場合の国民所得を完全雇用国民所得と呼びます。完全雇用国民所得がどのように導出されるかを解説します。

デフレギャップとインフレギャップ

短期における均衡国民所得が完全雇用国民所得を下回る状態をデフレギャップと呼び、短期における均衡国民所得が完全雇用国民所得を上回る状態をインフレギャップと呼びます。

政府支出乗数と政府支出乗数効果

デフレギャップやインフレギャップを解消する手段として政府支出を調整する方法について解説します。関連して、政府支出乗数や政府支出乗数効果などについて解説します。

投資乗数と投資乗数効果

デフレギャップやインフレギャップを解消する手段として投資を調整する方法について解説します。関連して、投資乗数や投資乗数効果などについて解説します。

租税乗数と租税乗数効果

デフレギャップやインフレギャップを解消する手段として税を調整する政策について解説します。関連して、租税乗数や租税乗数効果などについて解説します。

均衡予算乗数と均衡予算乗数効果

政府支出の拡大と増税を組み合わせることにより政府支出をゼロに保ったままデフレギャップを解消できます。また、政府支出の縮小と減税を組み合わせることにより政府支出をゼロに保ったままインフレギャップを解消できます。

貨幣市場の分析

貨幣の機能と定義および中央銀行による貨幣供給のメカニズムと、ハイパワードマネーと預金創造の観点から解説します。また、人々の流動性選好にもとづく貨幣需要と利子率の決定理論を扱います。

IS-LMモデル

財市場の均衡を表すIS曲線と、貨幣市場の均衡を表すLM曲線を統合し、国民所得と利子率が同時に決定されるメカニズムを解明します。この枠組みを用いて、財政政策や金融政策が経済に与える硬貨と、その限界(クラウディングアウトや流動性の罠など)を分析します。

フィッシャー方程式(名目利子率と実質利子率)

名目利子率と実質利子率の違いを解説した上で、実質利子率は名目利子率と期待インフレ率の差と近似的に等しくなる(フィッシャー方程式)理由を解説します。

IS曲線の定義と性質

財市場を均衡させる国民所得と実質利子率の組をすべて集めることにより得られる集合をIS曲線と呼びます。

LM曲線の定義と性質

貨幣市場を均衡させる国民所得と市場利子率の組をすべて集めることにより得られる集合をLM曲線と呼びます。

IS-LM分析と財政金融政策の影響

IS曲線とLM曲線の交点に相当する国民所得と市場利子率の組において財市場と貨幣市場の同時均衡が実現します。

IS-LMモデルにおける政府支出乗数(有効政府支出乗数)

財市場の均衡だけを考慮した政府支出乗数を単純政府支出乗数と呼び、財市場と貨幣市場の同時均衡を考慮した政府支出乗数を有効政府支出乗数と呼びます。クラウディングアウトの影響を考慮すると、有効政府支出乗数は単純政府支出乗数より小さくなります。

IS-LMモデルにおける金融政策乗数

財市場と貨幣市場の同時均衡を考慮した状況において実質マネーサプライの変化が国民所得の変化をもたらす乗数を金融政策乗数と呼びます。

労働市場の分析

AD-AS分析を行う前段として、財市場における供給曲線がどのような要因によって決定されるかを明らかにするために労働市場を分析します。

AD-AS モデル

これまでの議論を総合した上で、財市場、貨幣市場、労働市場の同時均衡を分析します。

確認テスト

短期のマクロ分析に関する確認テストです。

学習ガイド

マクロ経済学の全体像|一国全体の経済を理解するためのロードマップ

マクロ経済学は、GDP、物価、失業率、景気循環、経済成長など、一国全体の経済活動を分析する学問です。国民所得の決定から財政政策・金融政策、景気変動、経済成長まで、それぞれの理論は経済全体の仕組みを理解するために発展してきました。本記事では、マクロ経済学全体の構成と各分野のつながりを解説します。

なぜマクロ経済学を学ぶのか|一国全体の経済を理解するために

マクロ経済学は、GDP、物価、失業率、景気循環、経済成長など、一国全体の経済活動を分析する経済学の分野です。個々の消費者や企業ではなく、経済全体を一つのシステムとして捉え、その仕組みや政策の効果を研究します。本記事では、マクロ経済学とは何を研究する学問なのか、そしてなぜ学ぶ必要があるのかを解説します。

経済学のための数学|経済学部生が学ぶべき数学と学習順序

経済学では、市場や企業、消費者の行動を数学的に分析します。そのため、大学レベルの経済学を理解するには数学の知識が欠かせません。本記事では、経済学を学ぶために必要な数学分野とその学習順序を解説します。

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関連分野

ミクロ経済学

ミクロ経済学は、消費者や企業の意思決定、市場における価格の決定、資源配分の仕組みを分析する経済学の基礎分野です。需要・供給、消費者理論、生産者理論、市場均衡、厚生経済学、市場の失敗までを体系的に学び、市場経済がどのように機能するのかを理解します。

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