WIIS

教材一覧
教材一覧
教材検索
EXCHANGE ECONOMY WITH INDIVISIBLE GOODS

非分割財の交換経済における狭義コアの一意性

目次

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

非分割財の交換経済におけるコアの一意性

非分割財の交換経済の私的価値モデルにおいて、任意のエージェントの選好が完備性、推移性、狭義選好の仮定を満たす場合、TTCメカニズム\(\phi \)はメカニズムとしての要件を満たすため、選好プロファイル\(\succsim _{I}\)を入力すれば、それに対して必ず1つの配分\(\phi \left( \succsim _{I}\right) \)を返します。加えて、TTCメカニズムは狭義コア選択メカニズムであるため、この配分\(\phi \left(\succsim _{I}\right) \)は\(\succsim _{I}\)のもとで狭義コアであることが保証されます。したがって以下の命題が成り立ちます。

命題(非分割財の交換経済における狭義コアの存在)
非分割財の交換経済の私的価値モデルにおいて、任意のエージェントの選好が完備性、推移性、狭義選好の仮定を満たすものとする。状態\(\succsim_{I}\in \mathcal{R}_{I}\)を任意に選んだ場合、\(\succsim _{I}\)のもとでの狭義コアが存在する。

加えて、同様の条件のもとでは、TTCメカニズムが定める配分以外に狭義コアは存在しないことが保証されます。したがって以下の命題が得られます。

命題(非分割財の交換経済における狭義コアの一意性)
非分割財の交換経済の私的価値モデルにおいて、任意のエージェントの選好が完備性、推移性、狭義選好の仮定を満たすものとする。状態\(\succsim_{I}\in \mathcal{R}_{I}\)を任意に選んだ場合、\(\succsim _{I}\)のもとでの狭義コアが1つずつ存在する。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

以上の諸命題は、TTCメカニズムは狭義コアを特定する手段としても有用であることを示唆しています。問題が与えられたとき、それに対してTTCメカニズムを適用すれば必ず狭義コアを得られるということです。しかも、それは唯一の狭義コアであることも保証されます。

例(非分割財の交換経済における狭義コア)
非分割財の交換経済の私的価値モデルにおいて、エージェント集合が\(I=\left\{ 1,2,3\right\} \)であるとき、商品集合は\(H=\left\{ h_{1},h_{2},h_{3}\right\} \)となります。ただし、\(h_{i}\)はエージェント\(i\)が初期保有する商品です。\(I_{1}=I\)かつ\(H_{1}=H\)とおきます。エージェントたちが申告する選好プロファイル\(\succsim _{I}\)が、\begin{eqnarray*}h_{3} &\succ &_{1}h_{2}\succ _{1}h_{1} \\
h_{1} &\succ &_{2}h_{2}\succ _{2}h_{3} \\
h_{2} &\succ &_{3}h_{3}\succ _{3}h_{1}
\end{eqnarray*}であるものとします。これは完備性、推移性、狭義選好の仮定を満たしています。以上の選好プロファイル\(\succsim _{I}\)に対してTTCメカニズムが定める配分\(\phi \left( \succsim _{I}\right) \)は以下の通りです。まず、それぞれのエージェント\(i\in I_{1}\)から、その人の選好\(\succsim _{i}\)のもとで\(H_{1}\)に属する商品の中で最も望ましい商品\(h\in H_{1}\)へ向けてそれぞれ矢印を描くと、\begin{equation*}1\rightarrow h_{3},\quad 2\rightarrow h_{1},\quad 3\rightarrow h_{2}
\end{equation*}を得ます。また、それぞれの商品\(h\in H_{1}\)から、その商品を初期保有するエージェント\(i\in I_{1}\)へ向けてそれぞれ矢印を描くと、\begin{equation*}h_{1}\rightarrow 1,\quad h_{2}\rightarrow 2,\quad h_{3}\rightarrow 3
\end{equation*}を得ます。以上の矢印から、以下のサイクル\begin{equation*}
1\rightarrow h_{3}\rightarrow 3\rightarrow h_{2}\rightarrow 2\rightarrow
h_{1}\rightarrow 1
\end{equation*}が生成されるため、エージェント\(1\)に商品\(h_{3}\)を与え、エージェント\(2\)に商品\(h_{1}\)を与え、エージェント\(3\)に商品\(h_{2}\)を与えます。サイクルに含まれるエージェントと商品をそれぞれ消去すると、\begin{equation*}I_{2}=\phi ,\quad H_{2}=\phi
\end{equation*}となるためプロセスを完了します。したがって、TTCメカニズムが定める配分は、\begin{equation*}
\phi \left( \succsim _{I}\right) =\left( \phi _{1}\left( \succsim
_{I}\right) ,\phi _{2}\left( \succsim _{I}\right) ,\phi _{3}\left( \succsim
_{I}\right) \right) =\left( h_{3},h_{1},h_{2}\right)
\end{equation*}となります。この配分において全員が自身にとって最も望ましい商品を得ているため、これは明らかに\(\succsim _{I}\)のもとで狭義コアです。加えて、これは\(\succsim _{I}\)のもとでの唯一の狭義コアです(演習問題)。
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

シャプレー・スカーフ経済
非分割財の交換経済(シャプレー・スカーフ経済)

商品を1つずつ所有している複数のプレイヤーが、何らかのルールにもとづいて商品を交換しようとしている状況を非分割財の交換経済と呼ばれるモデルとして定式化します。このような問題はシャプレー・スカーフ経済、住宅市場モデル、住宅交換モデルなどとも呼ばれます。

シャプレー・スカーフ経済
非分割財の交換経済におけるメカニズム

非分割財の交換経済ではプレイヤーの間に情報の非対称性が存在するため、インセンティブの問題が発生する可能性があります。そのような問題を解決するために、マッチメイカーは適切な資源配分ルール、すなわちメカニズムを設計しようとします。

シャプレー・スカーフ経済
非分割財の交換経済における誘因両立的メカニズムと表明原理

非分割財の交換経済におけるインセンティブの問題を解消するためには、すべてのプレイヤーが自身の選好を正直に表明することが均衡になるようなメカニズムを設計する必要があります。そのような性質を満たすメカニズムを誘因両立的なメカニズムと呼びます。ここでは、誘因両立性の中でも、耐戦略性と事後均衡誘因両立性について解説します。

シャプレー・スカーフ経済
非分割財の交換経済における個人合理的メカニズム

非分割財の交換経済におけるメカニズムが与えられたとき、メカニズムの均衡において、メカニズムが定める配分が任意のプレイヤーにとって初期配分以上に望ましいことが保証されるならば、そのようなメカニズムは個人合理性を満たすと言います。

シャプレー・スカーフ経済
非分割財の交換経済における効率的メカニズム

ある配分を出発点に、そこからさらに誰かの満足度を高めようとすると他の人の犠牲が伴うような状態であるとき、その配分はパレート効率的であると言います。また、パレート効率的な配分を常に選び取るメカニズムをパレート効率的なメカニズムと呼びます。

コア
非分割財の交換経済におけるコア選択メカニズム

ある配分を出発点に、そこからプレイヤーのグループ(提携)が内部で商品を交換することでグループ内でのパレート改善が可能である場合、その配分はその提携によってブロックされると言います。また、いかなる提携によってもブロックされない配分をコアと呼び、コアを常に選び取るメカニズムをコア選択メカニズムと呼びます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録