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消費者理論

代替財・補完財

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代替財

商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{N}\times U\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が別の商品\(j\)の価格\(p_{j}\)に関して偏微分可能であるものとします。価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U\)における商品\(i\)の補償需要への商品\(j\)の価格の代替効果が正である場合には、すなわち、\begin{equation*}\frac{\partial h_{i}^{\ast }\left( \overline{p},\overline{v}\right) }{\partial p_{j}}>0
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)において商品\(i\)は商品\(j\)の代替財(good \(i\) is substitute ofgood \(j\) at \(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \))であると言います。これは、消費者による支出最小化を前提とした場合に、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)を出発点に商品\(j\)の価格だけを上昇させると、商品\(i\)の補償需要が増加することを意味します。

商品\(i\)が商品\(j\)の代替財であるかどうかは\(\left( p,v\right) \)の水準によって変化し得ます。一方、任意の\(\left( p,v\right) \)において商品\(i\)が商品\(j\)の代替財である場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall \left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U:\frac{\partial h_{i}^{\ast }\left( p,v\right) }{\partial
p_{j}}>0
\end{equation*}が成り立つ場合には、商品\(i\)を商品\(j\)の代替財(substitute)と呼びます。これは、消費者による支出最小化を前提とした場合に、任意の\(\left( p,v\right) \)を出発点に商品\(j\)の価格だけを上昇させると、商品\(i\)の補償需要が増加することを意味します。数学的には、これは商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }\)が変数\(p_{j}\)に関して狭義の単調増加関数であることを意味します。

ある商品が別の商品の代替財であることは補償需要の交差価格弾力性を用いて以下のように表現することもできます。

命題(代替財)
商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{N}\times U\rightarrow \mathbb{R} _{++}\)は正の実数を値としてとるとともに、別の商品\(j\)の\(p_{j}\)に関して偏微分可能であるものとする。このとき、価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U\)において、\begin{equation*}\varepsilon _{ij}^{h}\left( \overline{p},\overline{v}\right) >0
\end{equation*}が成り立つことは、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)において商品\(i\)が商品\(j\)の代替財であるための必要十分条件である。したがって、\(\varepsilon _{ij}^{h}\)が正の実数のみを値としてとることは、商品\(i\)が商品\(j\)の代替財であるための必要十分条件である。
証明

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補完財

商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{N}\times U\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)が別の商品\(j\)の価格\(p_{j}\)に関して偏微分可能であるものとします。価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U\)における商品\(i\)の補償需要への商品\(j\)の価格の価格効果が負である場合には、すなわち、\begin{equation*}\frac{\partial h_{i}^{\ast }\left( \overline{p},\overline{v}\right) }{\partial p_{j}}<0
\end{equation*}が成り立つ場合には、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)において商品\(i\)は商品\(j\)の補完財(good \(i\) is complement ofgood \(j\) at \(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \))であると言います。これは、消費者による支出最小化を前提とした場合に、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)を出発点に商品\(j\)の価格だけを上昇させると、商品\(i\)の補償需要が減少することを意味します。

商品\(i\)が商品\(j\)の補完財であるかどうかは\(\left( p,v\right) \)の水準によって変化し得ます。一方、任意の\(\left( p,v\right) \)において商品\(i\)が商品\(j\)の補完財である場合には、すなわち、\begin{equation*}\forall \left( p,v\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U:\frac{\partial h_{i}^{\ast }\left( p,v\right) }{\partial
p_{j}}<0
\end{equation*}が成り立つ場合には、商品\(i\)を商品\(j\)の補完財(complement)と呼びます。これは、消費者による支出最小化を前提とした場合に、任意の\(\left( p,v\right) \)を出発点に商品\(j\)の価格だけを上昇させると、商品\(i\)の補償需要が減少することを意味します。数学的には、これは商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }\)が変数\(p_{j}\)に関して狭義の単調減少関数であることを意味します。

ある商品が別の商品の補完財であることは補償需要の交差価格弾力性を用いて以下のように表現することもできます。

命題(補完財)
商品\(i\)の補償需要関数\(h_{i}^{\ast }:\mathbb{R} _{++}^{N}\times U\rightarrow \mathbb{R} _{++}\)は正の実数を値としてとるとともに、別の商品\(j\)の\(p_{j}\)に関して偏微分可能であるものとする。このとき、価格ベクトルと目標効用水準の組\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \in \mathbb{R} _{++}^{N}\times U\)において、\begin{equation*}\varepsilon _{ij}^{h}\left( \overline{p},\overline{v}\right) <0
\end{equation*}が成り立つことは、\(\left( \overline{p},\overline{v}\right) \)において商品\(i\)が商品\(j\)の補完財であるための必要十分条件である。したがって、\(\varepsilon _{ij}^{h}\)が負の実数のみを値としてとることは、商品\(i\)が商品\(j\)の補完財であるための必要十分条件である。
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