確率とは「何かの起こりやすさの度合いを数字で表現したもの」ですが、厳密に考えようとすると様々なアプローチがあります。今回は頻度による確率とラプラスの確率の2つの考え方について解説します。

2019年4月7日:公開

ラプラスの確率

私たちが何かの確率というとき、それが意味するのは「何かの起こりやすさの度合いを数字で表現したもの」ということではないでしょうか。しかし確率という概念を厳密に考えようとすると様々な考え方があり、それぞれに一長一短があります。

確率に関する最も古典的な考え方はラプラス(Laplace)によるものです。

定義(ラプラスの確率)
実験や観察によって起こり得るすべての結果の数を\(N\)とし、その中でも問題としている現象が起こるような結果の数を\(X\)とするならば、その現象が起こる確率を、\begin{equation*}
\frac{X}{N}
\end{equation*}と定義する。ただし、\(N\)個の結果はすべて同じ程度の確かさ(equally likely)で起こるものとする。

いくつか具体例を提示します。

例(サイコロ)
サイコロを\(1\)回投げたときに奇数の目が出る確率を求めよ。

「サイコロを\(1\)回投げる」という実験において起こり得るすべての結果を並べると、\begin{equation*}
1,2,3,4,5,6
\end{equation*}となるため、\(N=6\)となります。サイコロに歪みがなければこの\(6\)個の結果は同じ程度の確かさで出現するものと推測できます。また、この\(6\)個の結果の中でも、問題としている「奇数の目が出る」という現象が起こる結果を並べると、\begin{equation*}
1,3,5
\end{equation*}となるため、\(X=3\)となります。したがって、ラプラスの確率によると、「サイコロを\(1\)回投げたときに奇数の目が出る確率」は、\begin{equation*}
\frac{X}{N}=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}
\end{equation*}となります。

もう少し複雑な例を考えましょう。

例(サイコロ)
サイコロを\(2\)回投げたときに奇数の目が出る確率を求めよ。

「サイコロを\(2\)回投げる」という実験において起こり得るすべての結果を並べると、\begin{align*}
& (1,1),\ (1,2),\ (1,3),\ (1,4),\ (1,5),\ (1,6), \\
& (2,1),\ (2,2),\ (2,3),\ (2,4),\ (2,5),\ (2,6), \\
& (3,1),\ (3,2),\ (3,3),\ (3,4),\ (3,5),\ (3,6), \\
& (4,1),\ (4,2),\ (4,3),\ (4,4),\ (4,5),\ (4,6), \\
& (5,1),\ (5,2),\ (5,3),\ (5,4),\ (5,5),\ (5,6), \\
& (6,1),\ (6,2),\ (6,3),\ (6,4),\ (6,5),\ (6,6)
\end{align*}となるため、\(N=36\)となります。ただし、\(\left( i,j\right) \)はサイコロを\(2\)回投げたときに「\(1\)回目に\(i\)、\(2\)回目に\(j\)が出る」という結果に対応しています。また、この\(36\)個の結果の中でも、問題としている「奇数の目が出る」という現象が起こる結果を並べると、\begin{align*}
& (1,1),\ (1,2),\ (1,3),\ (1,4),\ (1,5),\ (1,6), \\
& (2,1),\ (2,3),\ (2,5), \\
& (3,1),\ (3,2),\ (3,3),\ (3,4),\ (3,5),\ (3,6), \\
& (4,1),\ (4,3),\ (4,5), \\
& (5,1),\ (5,2),\ (5,3),\ (5,4),\ (5,5),\ (5,6), \\
& (6,1),\ (6,3),\ (6,5)
\end{align*}となるため、\(X=27\)となります。したがって、ラプラスの確率によると、「サイコロを\(2\)回投げたときに奇数の目が出る確率」は、\begin{equation*}
\frac{X}{N}=\frac{27}{36}=\frac{3}{4}
\end{equation*}となります。

ラプラスの確率の良い所は、上の例のように、頭の中で結果を数え上げることにより確率を求められるという点です。その一方で、「実験や観察によって起こりうるすべての結果が同程度の確かさで出現する」という仮定が必要であり、仮定の根拠をどこに求めればよいか明確ではないという問題があります。先の例のように、「さいころが歪みなく作られているならば、すべての面が同じ確かさで出るだろう」という常識的な判断でしか仮定を根拠づけることができません。この仮定が成り立たない場合には、ラプラスの確率にもとづいて求めた確率は誤りということになってしまいます。

 

頻度による確率

確率に関する2つ目の考え方は頻度による確率です。ラプラスの確率では頭の中で結果を数え上げることで確率を理論的に求めましたが、頻度による確率では実験を通じて確率を経験的に求めます。

定義(頻度による確率)
問題としている現象が起こり得る実験や観察を同一条件のもとで\(n\)回繰り返したとき、実際にその現象が\(x\)回起きたとする。このとき、\begin{equation*}
\frac{x}{n}
\end{equation*}を相対頻度(relative frequency)と呼ぶ。\(n\)を限りなく増やしたときに\(\frac{x}{n}\)がある値に限りなく近づくならば、つまり、\begin{equation*}
\lim_{n\rightarrow \infty }\frac{x}{n}=\alpha
\end{equation*}が成り立つならば、極限である\(\alpha \)をその現象が起こる確率とする。

先ほどと同じ例を使って具体的に考えます。

例(サイコロ)
サイコロを\(1\)回投げたときに奇数の目が出る確率を求めよ。

実際にサイコロを\(3\)回投げてそのうち\(1\)回だけ奇数が出たとします。つまり、\begin{equation*}
\frac{x}{n}=\frac{1}{3}
\end{equation*}です。\(3\)回では少ないので、\(100\)回投げてそのうち\(46\)回だけ奇数が出たとします。つまり、\begin{equation*}
\frac{x}{n}=\frac{46}{100}
\end{equation*}です。さらにこのような実験を何万回と繰り返したときに仮に相対頻度\(\frac{x}{n}\)が\(\frac{1}{2}\)に限りなく近づくならば、「サイコロを\(1\)回投げたときに奇数の目が出る確率」を\(\frac{1}{2}\)とする、ということです。

頻度による確率の良いところは、そこから得られる値は実際の経験に裏付けられたものなので、ラプラスの確率で問題となった「同様に確からしい」という根拠があいまいな仮定を必要としないという点です。

とは言え、頻度による確率は実験の回数が変わると変わってしまうという問題があります。例えば、先の例において\(3\)回の実験から求める確率は\(\frac{1}{3}\)でしたが、\(100\)回では\(\frac{46}{100}\)です。たとえ実験を何万回と繰り返した場合でも相対頻度\(\frac{x}{n}\)はある値に近づくだけであり、特定の値に留まるわけではありません。

また、同じ回数の実験を繰り返し行った場合に、毎回同じ結果が得られるという保証もありません。例えば、サイコロを\(1\)万回投げる実験を\(2\)セット行ったとき、\(1\)セット目と\(2\)セット目とでは奇数の目が同じ回数ずつ出るとは限りません。

以上の確率の定義を踏まえた上で、次回はビュッフォンの針と呼ばれる実験について解説します。
次へ進む 演習問題(プレミアム会員限定)