当局による介入が行われない場合には商品の供給が行われないような市場においても、補助金を通じて独占企業に商品を供給させることにより、社会的余剰を増やすことができる余地があります。
補償変分と等価変分はいずれも価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として十分な根拠がありますが、実際に計測するのは困難です。そこで、多くの場合、より計測しやすい消費者余剰と呼ばれる指標を採用します。
消費者の効用関数は一意的に定まらないため、価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として効用の変化量を採用することはできません。代替的な指標として等価変分と呼ばれる指標を定義します。
消費者の効用関数は一意的に定まらないため、価格変化がもたらす消費者厚生の変化を測る指標として効用の変化量を採用することはできません。代替的な指標として補償変分と呼ばれる指標を定義します。
独占企業が得る超過利潤をレントと呼びます。独占企業の絶対的費用優位性が行政の許認可などに由来する場合、独占企業はレントを維持するためロビー活動や政治献金など市場外で活動を行います。
独占市場が形成される理由は参入障壁に限定されません。参入と退出が自由であり、企業どうしが対等な立場で競争を行う市場においても一定の条件のもとでは独占が形成されます。コンテスタブル・マーケットの理論を用いて自然独占について解説します。
ある市場において既存企業が参入企業よりも常により少ない費用で商品を生産できる場合、既存企業は絶対的費用優位性を持つと言います。独占企業が絶対的費用優位性を持つ場合、それは参入障壁として機能します。
独占市場に新たな企業が参入する際に必要となる初期投資が大きく、なおかつそれがサンク費用になる場合、それは参入障壁として働くため、独占市場が維持されます。
独占市場などの不完全競争市場において、企業が競争圧力にさらされていないことに起因して発生する非効率性をX-非効率性と呼びます。X-非効率性は社会的な厚生の損失をもたらし得ます。
2つの企業が新規市場へ参入するかどうかを決定する戦略的状況を参入ゲームと呼ばれる完備情報の静学ゲームとして記述するとともに、そこでのナッシュ均衡を求めます。加えて、均衡において市場参入のパラドクスと呼ばれる現象が起こること解説します。
不確実性に直面する意思決定主体がクジどうしを比較する選好が連続的に変化することを保証するために、選好関係に対して連続性と呼ばれる性質を要求します。選好関係を表す連続な効用関数や期待効用関数が存在する場合、その選好は連続性を満たします。
不確実性に直面する意思決定主体がクジどうしを比較する選好が循環しないことを保証するために、選好関係に対して推移性と呼ばれる性質を要求します。選好関係を表す効用関数が存在する場合、その選好は推移性を満たします。
2つのクジを任意に選んだとき、意思決定主体が一方を他方以上に好むか、もしくは両者を同じ程度望ましいものと考えている場合には、主体の選好関係は完備性を満たすと言います。
リスクが存在する状況において、意思決定主体がクジどうしを比較する選好を表現する効用関数が線型性と呼ばれる性質を満たす場合、そのような効用関数を期待効用関数と呼びます。通常の効用関数とは異なり、期待効用関数は一定の基数性を満たします。
リスクが存在する状況において、意思決定主体がクジどうしを比較する選好を表現する効用関数が存在する場合には、クジの間の相対的な望ましさを、実数の大小関係として表現することができます。
リスクが存在する状況における意思決定は、その人が持つ不確実性に対する好みの体系によって左右されます。そこで、そのような好みをクジどうしを比較する選好関係として定式化します。
リスクが存在する状況における選択肢をクジと呼ばれる概念として表現しましたが、何らかの確率分布にもとづいてクジをランダムに選ぶことも考えられるため、そのような意思決定を複合クジと呼ばれる概念として表現します。
単一オークションのSIPVモデルにおいて異なるメカニズムを採用した場合においても、メカニズムの均衡においてオークションの主催者が直面する事前期待収入が等しくなるための条件を明らかにします。
単一オークションのIPVモデルにおけるメカニズムが与えられたとき、任意の入札者の均衡中間利得関数が積分形式で表されるとともに均衡中間期待配分関数が単調増加であることは、そのメカニズムが誘因両立的であるための必要十分条件です。
単一オークションのSIPVモデルにおいて異なるメカニズムを採用した場合においても、メカニズムの均衡において入札者が直面する期待支払いが等しくなるための条件を明らかにします。
1生産物モデルにおいてもホテリングの補題は成立します。つまり、利潤関数を生産物の価格に関して偏微分すれば供給関数が得られ、利潤関数を生産要素の価格に関して偏微分すれば要素需要関数が得られます。
消費者の選好が準線型効用関数によって表現されるとき、支出最小化問題に解が存在するための条件を明らかにするとともに、その解が満たす性質について解説します。
N生産要素1生産物モデルにおいて生産者の技術がレオンチェフ型生産関数として表される場合に利潤最大化問題に解が存在するための条件やその解について解説します。
N生産要素1生産物モデルにおいて生産者の技術がコブ・ダグラス型生産関数として表される場合に利潤最大化問題に解が存在するための条件やその解について解説します。
動学ゲームに参加するすべてのプレイヤーが、自身が意思決定をおこなうすべての時点において、それ以前に観察した情報をすべて記憶しているならば、そのようなゲームを完全記憶ゲームと呼びます。一方、完全記憶ゲームではない動学ゲームを不完全記憶ゲームと呼びます。
複占市場においてカルテルを形成せずに競争する企業が商品の供給量を同時に決定する状況をクールノー競争と呼ばれるモデルを用いて記述しましたが、同様の市場において2つの企業が商品の供給量を順番に決定する場合には何が起こるでしょうか。
ホテリングの立地モデルにおいて2つの企業が空間競争と価格競争をともに行う状況を動学ゲーム(展開型ゲーム)としてモデル化するとともに、そこでの部分ゲーム完全均衡を求めます。
ホテリングの立地モデルにおいて両企業の立地点が所与であるという条件のもと、両企業が価格競争を行う場合に実現するナッシュ均衡を特定するとともに、消費者の移動コストが企業にとっての市場支配力の源泉になり得ることを示します。
資源量が所与である状況において2人のプレイヤーが資源の配分割合を1回ずつ提案する形で交渉を行う動学ゲームを2期間交互提案交渉ゲームと呼びます。
資源量が所与である状況において一方のプレイヤーが資源の配分割合を提案し、他方のプレイヤーがその提案を受け入れるかどうかを決定する動学ゲームを最後通牒ゲームと呼びます。
ある企業が独占市場に参入するかを検討している状況において、既存企業と新規参入企業の間に成立する戦略的状況を分析する動学ゲームを参入ゲームと呼びます。
展開型ゲームの混合戦略ナッシュ均衡は、それによって到達可能な部分ゲームにおける混合戦略ナッシュ均衡と、それに対応する縮約ゲームにおける混合戦略ナッシュ均衡に分離可能です。これを分離定理と呼びます。
展開型ゲームの純粋戦略部分ゲーム完全均衡は、部分ゲームにおける部分ゲーム完全均衡と、それに対応する縮約ゲームにおける部分ゲーム完全均衡に分離可能です。
展開型ゲームにおける純粋戦略の組が任意の部分ゲームに対して純粋戦略ナッシュ均衡を導くのであれば、そのような純粋戦略の組を部分ゲーム完全均衡と呼びます。
展開型ゲームの均衡概念として純粋戦略ナッシュ均衡を採用する場合、「信憑性のない脅し」と呼ばれる非現実的な純粋戦略が均衡戦略になってしまう可能性を排除できません。
展開型ゲームの純粋戦略ナッシュ均衡は、それによって到達可能な部分ゲームにおける純粋戦略ナッシュ均衡と、それに対応する縮約ゲームにおける純粋戦略ナッシュ均衡に分離可能です。これを分離定理と呼びます。
独占企業の限界収入と市場の需要の自己価格弾力性の間に成立する関係を利用することにより、独占企業は最適な価格付けを行うことができます。
完全競争均衡と比較した場合、独占均衡において社会的余剰は最大化されません。独占がもたらす社会的余剰の損失を死荷重や厚生損失などと呼びます。