微分可能性は連続性を含意し、片側微分可能性は片側連続性を含意します。一方、連続性は微分可能性を含意するとは限りません。

微分可能性 連続性

微分可能性な関数は連続

復習になりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が点\(a\in \mathbb{R}\)において連続であることとは、以下の条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ a\in X \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)\in \mathbb{R}
\\
&&\left( c\right) \ \lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=f(a)
\end{eqnarray*}がすべて成り立つことを意味します。つまり、関数\(f\)が点\(a\)において連続であるとは、\(f\)が\(a\)において定義されており、\(f\)は\(a\)において収束し、なおかつそこでの極限\(\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)\)が\(f\)の\(a\)における値\(f\left( a\right) \)と一致することを意味します。

関数の連続性について復習する

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域の内点\(a\in X^{i}\)において微分可能であるものとします。\(X^{i}\subset X\)より\(a\in X\)であるため、先の条件\(\left( a\right) \)が成り立ちます。また、\(f\)が\(a\)において微分可能であることから、\begin{equation}
f^{\prime }\left( a\right) =\lim_{x\rightarrow a}\frac{f\left( x\right) -f\left( a\right) }{x-a}\in \mathbb{R} \tag{1}
\end{equation}が成り立ちます。また明らかに、\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow a}\left( x-a\right) &=&0\in \mathbb{R} \tag{2} \\
\lim_{x\rightarrow a}f\left( a\right) &=&f\left( a\right) \in \mathbb{R} \tag{3}
\end{eqnarray}なども成り立ちます。\(x\not=a\)について、\begin{equation}
f\left( x\right) -f\left( a\right) =\frac{f\left( x\right) -f\left( a\right) }{x-a}\cdot \left( x-a\right) \tag{4}
\end{equation}という変形が可能ですが、\(x\rightarrow a\)のときの極限をとると、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow a}\left[ f\left( x\right) -f\left( a\right) \right] &=&\lim_{x\rightarrow a}\left[ \frac{f\left( x\right) -f\left( a\right) }{x-a}\cdot \left( x-a\right) \right] \quad \because \left( 4\right) \\
&=&\lim_{x\rightarrow a}\frac{f\left( x\right) -f\left( a\right) }{x-a}\cdot \lim_{h\rightarrow 0}\left( x-a\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left( 2\right) \\
&=&f^{\prime }\left( a\right) \cdot 0\quad \because \left( 1\right) ,\left( 2\right) \\
&=&0
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation}
\lim_{x\rightarrow a}\left[ f\left( x\right) -f\left( a\right) \right] =0\in \mathbb{R} \tag{5}
\end{equation}が成り立ちます。したがって、\begin{eqnarray*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) &=&\lim_{x\rightarrow a}\left\{ f\left( a\right) +\left[ f\left( x\right) -f\left( a\right) \right] \right\} \\
&=&\lim_{x\rightarrow a}f\left( a\right) +\lim_{x\rightarrow a}\left[ f\left( x\right) -f\left( a\right) \right] \quad \because \left( 3\right) ,\left( 5\right) \\
&=&f\left( a\right) +0\quad \because \left( 3\right) ,\left( 5\right) \\
&=&f\left( a\right)
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =f\left( a\right) \in \mathbb{R}
\end{equation*}が成り立つため、先の条件\(\left( b\right) ,\left( c\right) \)が成り立ちます。したがって、\(f\)は\(a\)において連続です。

命題(微分可能性は連続性を含意する)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が内点\(a\in X^{i}\)において微分可能ならば、\(f\)は\(a\)において連続である。
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関数が点において片側微分可能である場合には、上と同様の議論により、関数はその点において片側連続であることが示されます。

関数の片側連続性について復習する
命題(片側微分可能性は片側連続性を含意する)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が点\(a\in X\)において右側微分可能ならば、\(f\)は\(a\)において右側連続である。また、\(f\)が\(a\)において左側微分可能ならば、\(f\)は\(a\)において左側連続である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

以上を踏まえると、微分可能な関数に関する以下の命題が得られます。

系(微分可能性は連続性を含意する)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R}\)が定義域\(X\)上で微分可能であるならば、\(f\)は\(X\)上で連続である。

 

連続関数は微分可能であるとは限らない

上の命題の逆は成立するとは限りません。つまり、ある点において連続な関数はその点において微分可能であるとは限りません。これは以下の例から明らかです。

例(連続性と微分可能性)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\vert x\right\vert
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の点\(0\in \mathbb{R}\)における右側極限は、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0+}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow 0+}\left\vert x\right\vert =\lim_{x\rightarrow 0+}x=0
\end{equation*}であり、左側極限は、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0-}f\left( x\right) =\lim_{x\rightarrow 0-}\left\vert x\right\vert =\lim_{x\rightarrow 0+}-x=0
\end{equation*}です。ゆえに\(\lim\limits_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) =0\)が成り立ちますが、これと\(f\left( 0\right) =\left\vert 0\right\vert =0\)より\(\lim\limits_{x\rightarrow 0}f\left( x\right) =f\left( 0\right) \)を得るため、\(f\)は\(0\)において連続です。一方、この関数\(f\)は点\(0\)において微分可能ではありません。実際、\(0\)における左右の片側極限は、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }(0+0) &=&\lim\limits_{h\rightarrow 0+}\frac{\left\vert 0+h\right\vert -\left\vert 0\right\vert }{h}=\lim\limits_{h\rightarrow 0+}\frac{h}{h}=1 \\
f^{\prime }(0-0) &=&\lim\limits_{h\rightarrow 0-}\frac{\left\vert 0+h\right\vert -\left\vert 0\right\vert }{h}=\lim\limits_{h\rightarrow 0-}\frac{-h}{h}=-1
\end{eqnarray*}となりますが、両者は一致しないため、\(f\)は\(0\)において微分可能ではありません。

次回からは微分可能な関数の演算について学びます。
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