逆余弦関数の微分
逆余弦関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -1,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\arccos \left( x\right)
\end{equation*}を定めるということです。
定義域の内点\(a\in \left( -1,1\right) \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能であるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =-\frac{1}{\sqrt{1-a^{2}}}
\end{equation*}となります。
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \left( -1,1\right) \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =-\frac{1}{\sqrt{1-a^{2}}}
\end{equation*}が成り立つ。
\end{equation*}を定めるものとします。先の命題より、\(f\)は\(\left( -1,1\right) \)上で微分可能であり、導関数\(f:\mathbb{R} \supset \left( -1,1\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -1,1\right) \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =-\frac{1}{\sqrt{1-x^{2}}}
\end{equation*}を定めます。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x+1\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left[ -2,0\right] \end{eqnarray*}です。関数\(f\)は多項式関数\(x+1\)と逆余弦関数\(\arccos \left( x\right) \)の合成関数であるため\(\left( -2,0\right) \)上で微分可能であり、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{R} \supset \left( -2,0\right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left( -2,0\right) \)に対して、\begin{eqnarray*}f^{\prime }\left( x\right) &=&\left[ \arccos \left( x+1\right) \right] ^{\prime }\quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left. \left[ \arccos \left( y\right) \right] ^{\prime }\right\vert
_{y=x+1}\cdot \left( x+1\right) ^{\prime }\quad \because \text{合成関数の微分} \\
&=&\left. -\frac{1}{\sqrt{1-y^{2}}}\right\vert _{y=x+1}\cdot 1\quad \because
\text{逆余弦関数・多項式関数の微分} \\
&=&-\frac{1}{\sqrt{1-\left( x+1\right) ^{2}}} \\
&=&-\frac{1}{\sqrt{-x^{2}-2x}}
\end{eqnarray*}を定めます。
逆余弦関数の片側微分
片側微分に関しても同様の命題が成り立ちます。
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \left( -1,1\right) \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において右側微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a+0\right) =-\frac{1}{\sqrt{1-a^{2}}}
\end{equation*}が成り立つとともに、\(f\)は点\(a\)において左側微分可能であるとともに、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a-0\right) =-\frac{1}{\sqrt{1-a^{2}}}
\end{equation*}が成り立つ。
ちなみに、定義域の左側の端点\(-1\)においては、\begin{equation*}\lim_{h\rightarrow 0+}\frac{\arccos \left( -1+h\right) -\arccos \left(
-1\right) }{h}=-\infty
\end{equation*}となるため逆余弦関数は点\(-1\)において右側微分可能ではなく、定義域の右側の端点\(1\)においては、\begin{equation*}\lim_{h\rightarrow 0-}\frac{\arccos \left( 1+h\right) -\arccos \left(
1\right) }{h}=-\infty
\end{equation*}となるため逆余弦関数は点\(1\)において左側微分可能ではありません。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x-1\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\left[ 0,2\right] \end{eqnarray*}です。\(f\)の導関数を求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \frac{1-x^{2}}{1+x^{2}}\in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}です。\(f\)の導関数を求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \sqrt{1-x^{2}}\in \left[ -1,1\right] \wedge 1-x^{2}\geq 0\right\} \\
&=&\left[ -1,1\right] \end{eqnarray*}です。\(f\)の導関数を求めてください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}X &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \in \left[ -1,1\right] \right\} \\
&=&\mathbb{R} \end{eqnarray*}です。\(f\)の導関数を求めてください。
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