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DIFFERENTIATION OF FUNCTIONS

1変数関数に関する逆関数定理

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逆関数定理

逆関数の連続性微分可能性について簡単に復習します。区間上に定義された狭義単調関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)の終集合を値域に制限して\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow f\left( I\right) \)とすれば全単射になるため、逆関数\(f^{-1}:f\left( I\right) \rightarrow I\)が存在することが保証されます。さらに、\(f\)が定義域上で連続である場合には\(f^{-1}\)の定義域\(f\left( I\right) \)もまた区間になるとともに、\(f^{-1}\)は定義域上で連続になることが保証されます。加えて、\(f^{-1}\)が点\(b\in f\left( I\right) \)の周辺の任意の点において定義されており、\(f\)が点\(f^{-1}\left( b\right) \in I\)の周辺の任意の点において定義されているものとします。\(f\)が点\(f^{-1}\left( b\right) \)において微分可能であり、そこでの微分係数が、\begin{equation*}f^{\prime }\left( f^{-1}\left( b\right) \right) \not=0
\end{equation*}を満たす場合には、\(f^{-1}\)が点\(b\)において微分可能であることが保証されるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}\left( f^{-1}\right) ^{\prime }\left( b\right) =\frac{1}{f^{\prime }\left(
f^{-1}\left( b\right) \right) }
\end{equation*}となります。

区間上に定義された関数\(f\)が定義域である区間の全体では狭義単調関数ではない場合には、そもそも逆関数\(f^{-1}\)が存在するとは限らないため、先と同様の議論は成立しません。ただ、関数\(f\)が一定の性質を満たす場合、\(f\)の定義域を適切な形で制限することにより\(f\)の局所的な逆関数\(f^{-1}\)の存在を保証できるとともに、\(f^{-1}\)が微分可能であることも保証できます。以下で順番に解説します。

区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は定義域である区間\(I\)の全体において狭義単調増加である必要はありません。ただし、\(f\)は定義域上で\(C^{1}\)級であるものとします。つまり、\(f\)は定義域\(I\)上で微分可能であるとともに、導関数\(f^{\prime }:I\rightarrow \mathbb{R} \)は定義域\(I\)上で連続であるということです(下図)。

図:局所的な逆関数
図:局所的な逆関数

定義域の内点\(a\in I^{i}\)を選んだとき、内点の定義より、十分小さい\(\varepsilon >0\)について、\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right)
\subset I
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は開区間\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)上で定義されていることになります(上図の点\(a\)周辺のグレーの部分が\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \))。さらに、点\(a\)における微分係数が、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) \not=0
\end{equation*}を満たすものとします。\(f^{\prime }\left( a\right) >0\)であれば\(f\)は点\(a\)において狭義単調増加しており、\(f^{\prime }\left( a\right) <0\)であれば\(f\)は点\(a\)において狭義単調減少しています。そこで、\(f\)の定義域を制限して\(f:N_{\varepsilon }\left( a\right)\rightarrow \mathbb{R} \)とすると、以上の条件のもとでは\(f\)が単射になることが保証されるため、終集合を値域に制限して\(f:N_{\varepsilon}\left( a\right) \rightarrow f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \)とすれば全単射になり、したがって逆関数\(f^{-1}:f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \rightarrow N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の存在が保証されます(上図の点\(f\left( a\right) \)周辺のグレーの部分が\(f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right)\right) \))。仮定より\(f\)は\(I\)上で\(C^{1}\)級であるため、その部分集合である\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)上で連続です。したがって、\(f^{-1}\)の定義域\(f\left( N_{\varepsilon }\left(a\right) \right) \)もまた区間になるとともに、\(f^{-1}\)は\(f\left(N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \)上で連続になることが保証されます。しかも、以上の条件のもとでは、\(f^{-1}\)は\(f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \)上で微分可能であることが保証されるため、その導関数を逆関数の微分公式によって求めることができます。さらに、その導関数は連続です。つまり、\(f^{-1}\)もまた定義域上で\(C^{1}\)級になります。以上の主張を逆関数定理(inversefunction theorem)と呼びます。証明ではロルの定理などを利用します。

命題(逆関数定理)
区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が定義域上で\(C^{1}\)級であり、定義域の内点\(a\in I^{i}\)において、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) \not=0
\end{equation*}を満たすならば、十分小さい\(\varepsilon >0\)のもとで関数\(f:N_{\varepsilon }\left( a\right) \rightarrow f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \)は全単射になるため逆関数\(f^{-1}:f\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \rightarrow N_{\varepsilon }\left( a\right) \)が存在する。しかも\(f^{-1}\)もまた定義域上で\(C^{1}\)級であり、導関数\(\left( f^{-1}\right) ^{\prime }:f\left(N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(y\in f\left(N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) \)に対して、\begin{equation*}\left( f^{-1}\right) ^{\prime }\left( y\right) =\frac{1}{f^{\prime }\left(
f\left( y\right) \right) }
\end{equation*}を定める。

証明

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例(逆関数定理)
全区間上に定義された正弦関数\(\sin :\mathbb{R} \rightarrow \left[ -1,1\right] \)について考えます。正弦関数は\(\mathbb{R} \)上において単射ではないため逆関数\(\sin ^{-1}:\left[-1,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)は存在しません。その一方で、正弦関数\(\mathbb{R} \)上で\(C^{1}\)級であり、導関数\(\sin ^{\prime }:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}\left( \sin \left( x\right) \right) ^{\prime }=\cos \left( x\right)
\end{equation*}を定めます。例えば、点\(0\in \mathbb{R} \)において、\begin{equation*}\left( \sin \left( 0\right) \right) ^{\prime }=\cos \left( 0\right) =1\not=0
\end{equation*}が成り立つため、逆関数定理より、十分小さい\(\varepsilon >0\)について関数\(\sin :N_{\varepsilon }\left( 0\right) \rightarrow f\left(N_{\varepsilon }\left( 0\right) \right) \)の逆関数\(\sin ^{-1}:f\left( N_{\varepsilon }\left( 0\right) \right) \rightarrow N_{\varepsilon }\left( 0\right) \)が存在し、これもまた\(C^{1}\)級になります。さらに、導関数\(\left( \sin ^{-1}\right) ^{\prime }:f\left( N_{\varepsilon}\left( 0\right) \right) \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(y\in f\left(N_{\varepsilon }\left( 0\right) \right) \)に対して、\begin{equation}\left( \sin ^{-1}\right) ^{\prime }\left( y\right) =\frac{1}{\cos \left(
\sin ^{-1}\left( y\right) \right) } \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めます。具体的には、\begin{equation}
x=\sin ^{-1}\left( y\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}とおくと、逆関数の定義より、\begin{equation}
y=\sin \left( x\right) \quad \cdots (3)
\end{equation}が成り立ちます。\(\left(2\right) \)より、\begin{eqnarray*}\cos \left( \sin ^{-1}\left( y\right) \right) &=&\cos \left( x\right) \\
&=&\sqrt{1-\sin ^{2}\left( x\right) }\quad \because \sin ^{2}\left( x\right)
+\cos ^{2}\left( x\right) =1 \\
&=&\sqrt{1-y^{2}}\quad \because \left( 3\right)
\end{eqnarray*}となるため、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}\left( \sin ^{-1}\right) ^{\prime }\left( y\right) =\frac{1}{\sqrt{1-y^{2}}}
\end{equation*}を得ます。

次回はラグランジュの平均値の定理について解説します。

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