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DIFFERENTIATION OF FUNCTIONS

ロルの定理

目次

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ロルの定理

\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、それらを端点とする有界な閉区間\begin{equation*}\left[ a,b\right] =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x\leq b\right\}
\end{equation*}を定義し、この区間上に関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。この関数\(f\)は以下の3つの条件を満たすものとします。

1つ目の性質は、この関数\(f\)が定義域\(\left[ a,b\right] \)上で連続であるということです。つまり、\(f\)は定義域の内部である有界な開区間\(\left(a,b\right) \)上の任意の点において連続であるとともに、端点\(a\)において右側連続であり、もう一方の端点\(b\)において左側連続です。この場合、最大値・最小値の定理より、\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上の点において最大値や最小値をとることが保証されます。

2つ目の性質は、この関数\(f\)は定義域の内部である\(\left( a,b\right) \)上の任意の点において微分可能であるということです。つまり、導関数\(f^{\prime }:\left( a,b\right) \rightarrow \mathbb{R} \)が存在します。

3つ目の性質は、この関数\(f\)が定義域の端点\(a,b\)において等しい値をとること、すなわち\(f\left( a\right) =f\left( b\right) \)が成り立つということです。以上の3つの条件をすべて満たす関数のグラフを以下に図示しました。

図:ロルの定理
図:ロルの定理

仮定より\(f\left( a\right) =f\left( b\right) \)であるため、\(f\)が定数関数である場合には水平のグラフを持ちます。すると\(\left( a,b\right) \)上の任意の点\(c\)における\(f\)のグラフの接線もまた水平になり、したがって\(f^{\prime }\left( c\right) =0\)が成り立ちます。\(f\)が定数関数ではない場合、変数\(x\)の値が\(a\)から\(b\)まで動くにつれて\(f\left( x\right) \)の値は\(f\left( a\right) \)から増加もしくは減少しながら最終的に\(f\left( a\right) \)と同じ値である\(f\left( b\right) \)に戻ります。仮定より\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で連続であり、なおかつ\(\left( a,b\right) \)上で微分可能であるため、\(f\)のグラフは\(\left[ a,b\right] \)上において滑らかに途切れることなくつながっています。したがって、\(\left( a,b\right) \)上の点の中にはそこでの\(f\)のグラフの接線が水平になるような点、すなわち\(f^{\prime }\left( c\right) =0\)を満たす点\(c\)が存在するはずです。結論をまとめると、先の3つの条件を満たす関数\(f\)に関しては、\(f^{\prime }\left( c\right) =0\)を満たす\(\left( a,b\right) \)上の点\(c\)が存在することが保証されます。これはロルの定理(Rolle’s theorem)と呼ばれる命題であり、17世紀にフランスの数学者ミシェール・ロル(Michel Rolle)によって発見されました。

一般に、関数\(f\)が定義域上の点\(c\)において微分可能であり、なおつそこでの微分係数がゼロである場合、すなわち\(f^{\prime }\left( c\right) =0\)が成り立つ場合には、そのような点\(c\)を\(f\)の停留点(stationary point)と呼びます。ロルの定理は有界閉区間上に定義された関数が停留点を持つための十分条件を明らかにしています。証明では最大値・最小値の定理を利用します。

命題(ロルの定理)
\(a<b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R} \)を端点とする有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上で連続であり、\(\left( a,b\right) \)上で微分可能であり、なおかつ\(f\left( a\right) =f\left( b\right) \)が成り立つ場合には、\begin{equation*}\exists c\in \left( a,b\right) :f^{\prime }\left( c\right) =0
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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ロルの定理は停留点の存在を保証しますが、停留点を特定するわけではありません。停留点を特定するためには関数\(f\)を微分した上で\(f^{\prime }\left( x\right) =0\)を\(x\)について解き、得られた\(x\)の値の中から区間\(\left( a,b\right) \)の点であるようなものを探す必要があります。

例(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}+2x
\end{equation*}を定めるものとします。有界な閉区間\(\left[ -2,0\right] \subset \mathbb{R} \)に注目すると、その端点において、\begin{equation*}f\left( -2\right) =f\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立ちます。また、\(f\)は多項式関数であるため\(\left[ -2,0\right] \)上で連続かつ\(\left( -2,0\right) \)上で微分可能です。したがってロルの定理が適用可能であり、\(f\)は\(\left(-2,0\right) \)上に停留点を持つことが保証されます。実際、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =2x+2
\end{equation*}であるため、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =0
\end{equation*}を解くと、\begin{equation*}
x=-1
\end{equation*}を得ます。以上で\(f\)が\(\left( -2,0\right) \)上に停留点\(-1\)を持つことが明らかになりました。
例(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}+2x
\end{equation*}を定めるものとします。有界な閉区間\(\left[ -2,0\right] \subset \mathbb{R} \)に注目すると、その端点において、\begin{equation*}f\left( -2\right) =f\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立ちます。また、\(f\)は多項式関数であるため\(\left[ -2,0\right] \)上で連続かつ\(\left( -2,0\right) \)上で微分可能です。したがってロルの定理が適用可能であり、\(f\)は\(\left(-2,0\right) \)上に停留点を持つことが保証されます。実際、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =2x+2
\end{equation*}であるため、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( x\right) =0
\end{equation*}を解くと、\begin{equation*}
x=-1
\end{equation*}を得ます。以上で\(f\)が\(\left( -2,0\right) \)上に停留点\(-1\)を持つことが明らかになりました。
例(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -1,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ -1,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sqrt{1-x^{2}}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)はベキ関数\(\sqrt{x}\)と多項式関数\(1-x^{2}\)の合成関数であるため\(\left[ -1,1\right] \)上で連続であるとともに\(\left( -1,1\right) \)上で微分可能です。さらに、定義域の端点において、\begin{equation*}f\left( -1\right) =f\left( 1\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は\(\left( -1,1\right) \)上に停留点を持つことが保証されます。実際、\begin{equation*}f^{\prime }\left( x\right) =-\frac{x}{\sqrt{1-x^{2}}}
\end{equation*}であることを踏まえると、\begin{equation*}
f^{\prime }\left( 0\right) =0
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)が\(\left( -1,1\right) \)上に停留点\(0\)を持つことが明らかになりました。
例(ロルの定理)
ある地点から車を走らせ、経過時間とスタート地点からの位置の関係を観察した上で、両者の関係を関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ 0,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)として整理しました。つまり、計測を始めた時点から\(x\)だけ経過した時点におけるスタート地点と車の間の距離は\(f\left( x\right) \)であるということです。\(f\)が\(\left[ 0,1\right] \)上で連続かつ\(\left( 0,1\right) \)上で微分可能であるものとします。さらに、\begin{equation*}f\left( 0\right) =f\left( 1\right)
\end{equation*}が成り立つものとします。つまり、最終的(時点\(1\)において)に車はスタート地点に戻ってくるということです。するとロルの定理より、\begin{equation*}\exists c\in \left( 0,1\right) :f^{\prime }\left( c\right) =0
\end{equation*}が成り立ちます。左辺の\(f^{\prime }\left( c\right) \)は時点\(c\)における瞬間速度であるため、上の命題は、途中、車の瞬間速度が\(0\)になるような時点\(c\)が存在することを意味します。おそらくそれは、引き返すために車がUターンしている間の瞬間に相当します。

 

ロルの定理が要求する条件の吟味

ロルの定理は有界閉区間上に定義された関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)に対して3つの条件を要求しています。1つ目は\(f\)が\(\left[ a,b\right] \)上で連続であること、2つ目は\(f\)が\(\left( a,b\right) \)上で微分可能であること、そして3つ目は定義域の端点において\(f\left( a\right) =f\left(b\right) \)が成り立つことです。\(\left( a,b\right) \)上に\(f\)の停留点が存在すること保証する上で、これらの条件はいずれも必須なのでしょうか。順番に考えていきましょう。

微分可能性は連続性を含意するため、\(f\)が\(\left( a,b\right) \)上で微分可能である場合、\(f\)は\(\left( a,b\right) \)上で連続です。ロルの定理はさらに\(f\)が端点\(a,b\)において\(f\left( a\right) =f\left(b\right) \)を満たすとともに連続であること、すなわち点\(a\)において右側連続であるとともに点\(b\)において左側連続であることを要求します。では、\(f\)が点\(a,b\)において連続ではない場合には何らかの問題が生じるでしょうか。

例(ロルの定理)
以下のグラフを持つ関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は\(\left( a,b\right) \)上で微分可能かつ連続であるとともに\(f\left( a\right)=f\left( b\right) \)が成立しています。一方、\(f\)は点\(a\)において左側連続ではなく、点\(b\)において右側連続ではないため\(\left[ a,b\right] \)上で連続ではなく、したがってロルの定理を利用できません。実際、\(f\)は\(\left(a,b\right) \)上に停留点を持ちません。

図:ロルの定理
図:ロルの定理

関数\(f\)が\(\left( a,b\right) \)上の点において微分可能であるとは限らない場合には何らかの問題が生じるでしょうか。

例(ロルの定理)
以下のグラフを持つ関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で連続であるとともに\(f\left( a\right) =f\left( b\right) \)が成立しています。最大値の定理より\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上の点において最大値をとります。下図の点\(c\)がそのような点ですが、\(f\)は点\(c\)において微分可能ではなく、したがって点\(c\)は\(f\)の停留点ではありません。\(f\)は\(\left( a,b\right) \)上に停留点を持ちません。

図:ロルの定理
図:ロルの定理

関数\(f\)が定義域上の端点において異なる値をとる場合には何らかの問題が生じるでしょうか。

例(ロルの定理)
以下のグラフを持つ関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ a,b\right] \rightarrow \mathbb{R} \)について考えます。この関数\(f\)は\(\left[ a,b\right] \)上で連続であり、\(\left( a,b\right) \)上で微分可能である一方で\(f\left( a\right) \not=f\left( b\right) \)が成立しています。最大値の定理より\(f\)は\(\left[a,b\right] \)上の点において最大値をとります。下図の点\(b\)がそのような点ですが、これは\(f\)の停留点ではありません。\(f\)は\(\left( a,b\right) \)上に停留点を持ちません。

図:ロルの定理
図:ロルの定理

ロルの定理は関数\(f\)が有界開区間\(\left( a,b\right) \)上で微分可能であることを要求しており、有界閉区間\(\left[ a,b\right] \)上で微分可能であることまでは要求していません。つまり、\(f\)が点\(a\)において右側微分可能であることや、\(f\)が点\(b\)において左側微分可能であることを要求していないということです。実際、以下の例から明らかであるように、\(f\)が区間\(\left[ a,b\right] \)の端点において片側微分可能でない場合においても、ロルの定理の主張は成り立ちます。

例(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \supset \left[ -1,1\right] \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \left[ -1,1\right] \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sqrt{1-x^{2}}
\end{equation*}を定めるものとします。先に確認したように、この関数\(f\)はロルの定理が要求する条件を満たすとともに、停留点\(0\)を持ちます。その一方で、この関数\(f\)は定義域\(\left[ -1,1\right] \)の端点において片側微分可能ではありません。実際、\begin{eqnarray*}\frac{f\left( -1+h\right) -f\left( -1\right) }{h} &=&\frac{\sqrt{1-\left(
-1+h\right) ^{2}}-\sqrt{1-\left( -1\right) ^{2}}}{h} \\
&=&\frac{\sqrt{2h-h^{2}}}{h} \\
&=&\sqrt{\frac{2-h}{h}} \\
&=&\sqrt{\frac{2}{h}-1}
\end{eqnarray*}であることを踏まえると、\begin{eqnarray*}
\lim_{h\rightarrow 0+}\frac{f\left( -1+h\right) -f\left( -1\right) }{h}
&=&\lim_{h\rightarrow 0+}\sqrt{\frac{2}{h}-1}=+\infty \\
\lim_{h\rightarrow 0-}\frac{f\left( -1+h\right) -f\left( -1\right) }{h}
&=&\lim_{h\rightarrow 0-}\sqrt{\frac{2}{h}-1}=-\infty
\end{eqnarray*}となるため、\(f\)は区間\(\left[ -1,1\right] \)の左側の端点\(-1\)において左側微分可能ではなく、右側の端点\(1\)において右側微分可能ではありません。

 

演習問題

問題(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}-6x+5
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\left( 2,4\right) \)上に停留点を持つことをロルの定理を用いて証明してください。その上で、停留点を求めてください。
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問題(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{3}-4x+1
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は\(\left( -2,2\right) \)上に停留点を持つことをロルの定理を用いて証明してください。その上で、停留点を求めてください。
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問題(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\frac{x^{2}-4x+3}{x-2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有界閉区間\(\left[1,3\right] \subset \mathbb{R} \)上においてロルの定理が要求する条件を満たすでしょうか。議論してください。また、\(\left( 1,3\right) \)上に停留点が存在する場合には求めてください。
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問題(ロルの定理)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\vert x-1\right\vert
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有界閉区間\(\left[0,2\right] \subset \mathbb{R} \)上においてロルの定理が要求する条件を満たすでしょうか。議論してください。また、\(\left( 0,2\right) \)上に停留点が存在する場合には求めてください。
証明

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問題(ロルの定理)
本文中で取り上げた車の例のように、現実の場面におけるロルの定理の応用例を挙げてください(それほど厳密ではなくても構いません)。回答はコメント欄に投稿してください。

次回は逆関数定理について解説します。

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