複素対数関数の連続性
複素対数関数\(f:\mathbb{C} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{C} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \backslash \left\{ 0\right\} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( z\right) =\mathrm{Ln}\left( z\right)
\end{equation*}であるということです。
複素対数関数\(f\)は複素平面上の実軸の非負の領域\begin{equation*}\mathbb{R} _{-}=\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \mathrm{Re}\left( z\right) \leq 0\wedge \mathrm{Im}\left( z\right)=0\right\}
\end{equation*}上の点\(a\in \mathbb{R} _{-}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において連続ではありません。その一方で、\(\mathbb{R} _{-}\)の補集合\begin{eqnarray*}\mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-} &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \mathrm{Re}\left( z\right) >0\vee \mathrm{Im}\left( z\right) \not=0\right\} \\
&=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \left\vert z\right\vert >0\wedge -\pi <\mathrm{Arg}\left( z\right) <\pi
\right\}
\end{eqnarray*}に属する点\(a\in \mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において連続です。したがって、\(f\)は\(\mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)上において連続です。
\end{equation*}を定めるものとする。\(a\in \mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において連続である。したがって、\(f\)は\(\mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)上で連続である。ただし、\begin{eqnarray*}\mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-} &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \mathrm{Re}\left( z\right) >0\vee \mathrm{Im}\left( z\right) \not=0\right\} \\
&=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \left\vert z\right\vert >0\wedge -\pi <\mathrm{Arg}\left( z\right) <\pi
\right\}
\end{eqnarray*}である。
\mathrm{Ln}\left( z\right) :\mathbb{C} \backslash \left\{ 0\right\} \rightarrow \mathbb{C} \end{equation*}は複素対数関数であるため、先の命題より、\(\mathrm{Ln}\left( z\right) \)は\(\mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)上で連続です。
\end{equation*}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)を任意に選んだとき、複素恒等関数の連続性より\(z\)は点\(a\)において連続であり、複素対数関数の連続性より\(\mathrm{Ln}\left( z\right) \)もまた点\(a\)において連続です。したがって、積の法則より\(zL\left( z\right) \)すなわち\(f\)もまた点\(a\)において連続です。\(\mathbb{C} \backslash \left\{ 0\right\} \)上の任意の点\(a\)において同様であるため、\(f\)は\(\mathbb{C} \backslash \left\{ 0\right\} \)上で連続です。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素対数関数\(\mathrm{Ln}\left( z\right) \)と複素多項式関数\(z+1\)の合成関数であることに注意してください。以下の集合\begin{eqnarray*}Z &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ z+1\in \mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\right\} \\
&=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \left\vert z+1\right\vert >0\wedge -\pi <\mathrm{Arg}\left( z+1\right)
<\pi \right\}
\end{eqnarray*}に注目します。点\(a\in Z\)を任意に選んだとき、\(a\in \mathbb{C} \)であるため、複素多項式関数の連続性より\(z+1\)は点\(a\)において連続です。\(a\in Z\)ゆえに\(a+1\in \mathbb{C} \backslash \mathbb{R} _{-}\)であるため、複素対数関数の連続性より\(\mathrm{Ln}\left( z\right) \)は点\(a+1\)において連続です。したがって、複素合成関数の連続性より\(\mathrm{Ln}\left( z+1\right) \)すなわち\(f\)は点\(a\)において連続です。\(Z\)上の任意の点\(a\)において同様であるため、\(f\)は\(Z\)上で連続です。
演習問題
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)が連続な点を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\begin{eqnarray*}
Z &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ 2z-i\not=0\wedge z^{2}+1\not=0\right\} \\
&=&\mathbb{Z} \backslash \left\{ \frac{i}{2},i,-i\right\}
\end{eqnarray*}です。\(f\)が連続な点を特定してください。
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\begin{eqnarray*}
Z &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ z^{2}+1\not=0\right\} \\
&=&\mathbb{C} \backslash \left\{ i,-i\right\}
\end{eqnarray*}です。\(f\)が連続な点を特定してください。
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