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複素関数

複素指数関数の極限

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複素指数関数の極限

複素指数関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{z}
\end{equation*}であるということです。

点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、極限は、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =e^{a}
\end{equation*}となります。

命題(複素指数関数の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{z}
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =e^{a}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(複素指数関数の極限)
以下の複素関数\begin{equation*}
e^{z}:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \end{equation*}は複素指数関数であるため、先の命題より、点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}e^{z}=e^{a}
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}e^{z} &=&e^{i} \\
\lim_{z\rightarrow 1}e^{z} &=&e^{1} \\
\lim_{z\rightarrow 1+i}e^{z} &=&e^{1+i}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(複素指数関数との合成の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{z^{2}+z+1}
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素多項式関数\(z^{2}+z+1\)と複素指数関数\(e^{z}\)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、複素多項式関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a}\left( z^{2}+z+1\right) =a^{2}+a+1 \quad \cdots (1)
\end{equation}であるとともに、点\(a^{2}+a+1\in \mathbb{C} \)において、複素指数関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a^{2}+a+1}e^{z}=e^{a^{2}+a+1} \quad \cdots (2)
\end{equation}となるため(\(e^{z}\)は点\(a^{2}+a+1\)において連続)、もとの複素関数\(f\)に関して、\begin{eqnarray*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) &=&\lim_{z\rightarrow
a}e^{z^{2}+z+1}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&e^{a^{2}+a+1}\quad \because \left( 1\right) ,\left( 2\right) \text{および合成関数の極限}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}f\left( z\right) &=&e^{i^{2}+i+1}=e^{i} \\
\lim_{z\rightarrow 1}f\left( z\right) &=&e^{1^{2}+1+1}=e^{3} \\
\lim_{z\rightarrow 1+i}f\left( z\right) &=&e^{\left( 1+i\right) ^{2}+\left(
1+i\right) +1}=e^{2+3i}
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

 

複素指数関数の無限大における極限

複素指数関数は無限大において複素数へ収束せず、無限大へ発散もしません。

命題(複素指数関数の無限大における極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{z}
\end{equation*}を定めるものとする。このとき、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall b\in \mathbb{C} :\lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=b \\
&&\left( b\right) \ \lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=\infty
\end{eqnarray*}がともに成り立つ。

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演習問題

問題(複素指数関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow 1+i}e^{z-i}
\end{equation*}を評価してください。

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問題(複素指数関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow i}e^{\frac{1}{z-1}}
\end{equation*}を評価してください。

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問題(複素指数関数の無限大における極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{z}
\end{equation*}を定めるものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall b\in \mathbb{C} :\lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=b \\
&&\left( b\right) \ \lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=\infty
\end{eqnarray*}がともに成り立ちます。本文中では、以上の事実を絶対値\(\left\vert f\left( z\right) \right\vert \)に注目した上で証明しましたが、同じことを、関数\(f\left( \frac{1}{z}\right) \)および\(\frac{1}{f\left( \frac{1}{z}\right) }\)を用いて証明してください。
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関連知識

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