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複素関数

複素双曲線余弦関数(複素cosh関数)の極限

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複素双曲線正弦関数の極限

複素双曲線余弦関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( z\right) =\cosh \left( z\right)
\end{equation*}であるということです。

点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、極限は、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =\cosh \left( a\right)
\end{equation*}となります。

命題(複素双曲線余弦関数の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\cosh \left( z\right)
\end{equation*}を定めるものとする。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =\cosh \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(複素双曲線余弦関数の極限)
以下の複素関数\begin{equation*}
\cosh \left( z\right) :\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \end{equation*}は複素双曲線余弦関数であるため、先の命題より、点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}\cosh \left( z\right) =\cosh \left( a\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}\cosh \left( z\right) &=&\cosh \left( i\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1}\cosh \left( z\right) &=&\cosh \left( 1\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1+i}\cosh \left( z\right) &=&\cosh \left( 1+i\right)
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(複素双曲線余弦関数との合成の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\cosh \left( z^{2}+z+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素多項式関数\(z^{2}+z+1\)と複素双曲線余弦関数\(\cosh \left( z\right) \)の複素合成関数であることに注意してください。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、複素多項式関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a}\left( z^{2}+z+1\right) =a^{2}+a+1 \quad \cdots (1)
\end{equation}であるとともに、点\(a^{2}+a+1\in \mathbb{C} \)において、複素双曲線余弦関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a^{2}+a+1}\cosh \left( z\right) =\cosh \left(
a^{2}+a+1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}となるため(\(\cosh \left( z\right) \)は点\(a^{2}+a+1\)において連続)、もとの複素関数\(f\)に関して、\begin{eqnarray*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) &=&\lim_{z\rightarrow a}\cosh \left(
z^{2}+z+1\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\cosh \left( a^{2}+a+1\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left(
2\right) \text{および複素合成関数の極限}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}f\left( z\right) &=&\cosh \left( i^{2}+i+1\right)
=\cosh \left( i\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1}f\left( z\right) &=&\cosh \left( 1^{2}+1+1\right)
=\cosh \left( 3\right) \\
\lim_{z\rightarrow i+i}f\left( z\right) &=&\cosh \left( \left( 1+i\right)
^{2}+\left( 1+i\right) +1\right) =\cosh \left( 2+3i\right)
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

 

複素双曲線余弦関数の無限大における極限

複素双曲線余弦関数は無限大において複素数へ収束せず、無限大へ発散もしません。

命題(複素双曲線余弦関数の無限大における極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\cosh \left( z\right)
\end{equation*}を定めるものとする。このとき、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ \forall b\in \mathbb{C} :\lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=b \\
&&\left( b\right) \ \lim_{z\rightarrow \infty }f\left( z\right) \not=\infty
\end{eqnarray*}が成り立つ。

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演習問題

問題(複素双曲線余弦関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow 1+i}\cosh \left( z-i\right)
\end{equation*}を評価してください。

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問題(複素双曲線余弦関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow i}\cosh \left( \frac{1}{z-1}\right)
\end{equation*}を評価してください。

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問題(複素双曲線余弦関数の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\cosh \left( z\right)
\end{equation*}を定めるものとします。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =\cosh \left( a\right)
\end{equation*}が成り立ちます。本文中では、以上の命題を複素指数関数の極限などを用いて証明しましたが、\(f\)の実部と虚部が実数へ収束することを示す形で同じ命題を証明してください。
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