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複素関数

複素正接関数(複素tan関数)の極限

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複素正接関数の極限

複素正接関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(z\in Z\)に対して定める値が、\begin{equation*}f\left( z\right) =\tan \left( z\right)
\end{equation*}であるということです。ただし、\(f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}Z &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \cos \left( z\right) \not=0\right\} \\
&=&\mathbb{C} \backslash \left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm
3\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{eqnarray*}です。

定義域上の点\(a\in Z\)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、極限は、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =\tan \left( a\right)
\end{equation*}となります。

命題(複素正接関数の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in Z\)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\tan \left( z\right)
\end{equation*}を定めるものとする。ただし、\begin{equation*}
Z=\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \cos \left( z\right) \not=0\right\}
\end{equation*}である。点\(a\in Z\)を任意に選んだとき、\(z\rightarrow a\)の場合に\(f\)は複素数へ収束するとともに、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) =\tan \left( a\right)
\end{equation*}が成り立つ。

証明

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例(複素正接関数の極限)
以下の複素関数\begin{equation*}
\tan \left( z\right) :\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \end{equation*}が与えられているものとします。ただし、\begin{equation*}
Z=\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \cos \left( z\right) \not=0\right\}
\end{equation*}です。これは複素正接関数であるため、先の命題より、点\(a\in Z\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\lim_{z\rightarrow a}\tan \left( z\right) =\tan \left( a\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}\tan \left( z\right) &=&\tan \left( i\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1}\tan \left( z\right) &=&\tan \left( 1\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1+i}\tan \left( z\right) &=&\tan \left( 1+i\right)
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

例(複素正接関数との合成の極限)
複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in Z\)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =\tan \left( z^{2}+z+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。ただし、\begin{equation*}
Z=\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \cos \left( z^{2}+z+1\right) \not=0\right\}
\end{equation*}です。\(f\)は複素多項式関数\(z^{2}+z+1\)と複素正接関数\(\tan \left( z\right) \)の合成関数であることに注意してください。点\(a\in Z\)を任意に選んだとき、複素多項式関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a}\left( z^{2}+z+1\right) =a^{2}+a+1 \quad \cdots (1)
\end{equation}を得ます。\(a\in Z\)および\(Z\)の定義より\(\cos \left( a^{2}+a+1\right) \not=0\)であるため、複素正接関数の極限より、\begin{equation}\lim_{z\rightarrow a^{2}+a+1}\tan \left( z\right) =\tan \left(
a^{2}+a+1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}となるため(\(\tan \left( z\right) \)は点\(a^{2}+a+1\)において連続)、もとの複素関数\(f\)に関して、\begin{eqnarray*}\lim_{z\rightarrow a}f\left( z\right) &=&\lim_{z\rightarrow a}\tan \left(
z^{2}+z+1\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\tan \left( a^{2}+a+1\right) \quad \because \left( 1\right) ,\left(
2\right) \text{および合成関数の極限}
\end{eqnarray*}が成り立ちます。したがって、例えば、\begin{eqnarray*}
\lim_{z\rightarrow i}f\left( z\right) &=&\tan \left( i^{2}+i+1\right) =\tan
\left( i\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1}f\left( z\right) &=&\tan \left( 1^{2}+1+1\right) =\tan
\left( 3\right) \\
\lim_{z\rightarrow 1+i}f\left( z\right) &=&\tan \left( \left( 1+i\right)
^{2}+\left( 1+i\right) +1\right) =\tan \left( 2+3i\right)
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

 

複素正接関数の無限大における極限

複素正接関数\(\tan \left( z\right) \)の定義域は、\begin{eqnarray*}Z &=&\left\{ z\in \mathbb{C} \ |\ \cos \left( z\right) \not=0\right\} \\
&=&\mathbb{C} \backslash \left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm
3\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{eqnarray*}であるため、複素正接関数は無限大の近傍において定義されておらず、したがって無限大における極限をとることはできません。

 

演習問題

問題(複素正接関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow 1+i}\tan \left( z-i\right)
\end{equation*}を評価してください。

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問題(複素正接関数との合成の極限)
以下の極限\begin{equation*}
\lim_{z\rightarrow i}\tan \left( \frac{1}{z-1}\right)
\end{equation*}を評価してください。

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