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複素関数

複素関数の実部と虚部

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複素関数の実部と虚部

複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの複素数\(z\in Z\)に対して複素数\begin{equation*}f\left( z\right) =\mathrm{Re}\left( f\left( z\right) \right) +i\mathrm{Im}\left(
f\left( z\right) \right)
\end{equation*}を値として定めます。ただし、\(\mathrm{Re}\left( f\left( z\right)\right) \)は複素数\(f\left( z\right) \)の実部に相当する実数であり、\(\mathrm{Im}\left( f\left( z\right) \right) \)は複素数\(f\left( z\right) \)の虚部に相当する実数です。

このような事情を踏まえると、それぞれの複素数\(z\in Z\)に対して、\(f\)が定める複素数の実部\begin{equation*}u\left( z\right) =\mathrm{Re}\left( f\left( z\right) \right)
\end{equation*}に特定する複素変数の実数値関数\begin{equation*}
u:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これをもとの複素関数\(f\)の実部(real part)と呼びます。複素関数\(f\)の実部を、\begin{equation*}\mathrm{Re}\left( f\right) :\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表記することもできます。

また、それぞれの複素数\(z\in Z\)に対して、\(f\)が定める複素数の虚部\begin{equation*}v\left( z\right) =\mathrm{Im}\left( f\left( z\right) \right)
\end{equation*}に特定する複素変数の実数値関数\begin{equation*}
v:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。これをもとの複素関数\(f\)の虚部(real part)と呼びます。複素関数\(f\)の虚部を、\begin{equation*}\mathrm{Im}\left( f\right) :\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}と表記することもできます。

以上の定義を踏まえると、複素数\(z\in Z\)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{eqnarray*}f\left( z\right) &=&\mathrm{Re}\left( f\left( z\right) \right) +i\mathrm{Im}\left( f\left( z\right) \right) \\
&=&u\left( z\right) +iv\left( z\right)
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{equation*}
f\left( z\right) =u\left( z\right) +iv\left( z\right)
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、複素関数\(f\)は2つの実数値関数\(u,v\)の組合せとして表現できます。

命題(複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)が与えられたとき、それに対して、以下の条件\begin{equation*}\forall z\in Z:f\left( z\right) =u\left( z\right) +iv\left( z\right)
\end{equation*}を満たす関数\(u,v:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \)が存在する。
証明

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2変数関数としての複素関数の実部と虚部

複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)およびその実部\(u:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \)と虚部\(v:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \)の間には以下の関係\begin{equation}\forall z\in Z:f\left( z\right) =u\left( z\right) +iv\left( z\right)
\quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことが明らかになりました。複素数\(z\in Z\)を任意に選んだとき、これは何らかの実数\(x,y\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{equation}z=x+yi \quad \cdots (2)
\end{equation}と表すことができるため、以下の関係\begin{eqnarray*}
f\left( z\right) &=&f\left( x+yi\right) \quad \because \left( 2\right) \\
&=&u\left( x+yi\right) +iv\left( x+yi\right) \quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。このような事情を踏まえると、複素関数\(f\)の実部\(u\)と虚部\(v\)を、実数を値としてとり得る2つの変数\(x,y\)に関する2変数の実数値関数\begin{eqnarray*}u\left( x,y\right) &:&\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \\
v\left( x,y\right) &:&\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}とみなすことができます。このような解釈のもとでは、複素数\(z=x+y\in Z\)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}f\left( z\right) =u\left( x,y\right) +iv\left( x,y\right)
\end{equation*}が成り立ちます。

例(2変数関数としての複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =z^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。複素数\(z=x+yi\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}f\left( z\right) &=&f\left( x+yi\right) \\
&=&\left( x+yi\right) ^{2}\quad \because f\text{の定義} \\
&=&x^{2}+2xyi+y^{2}i^{2} \\
&=&\left( x^{2}-y^{2}\right) +2xyi
\end{eqnarray*}であるため、\(f\)の実部と虚部は、\begin{eqnarray*}u\left( x,y\right) &=&x^{2}-y^{2} \\
v\left( x,y\right) &=&2xy
\end{eqnarray*}であることが明らかになりました。

 

実部と虚部から複素関数を特定する

複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)およびその実部\(u:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \)と虚部\(v:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられた状況において複素数\(z=x+yi\in Z\)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation}f\left( z\right) =u\left( x,y\right) +iv\left( x,y\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}が成り立つことが明らかになりました。逆に、2つの関数\begin{eqnarray*}
u\left( x,y\right) &:&\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \\
v\left( x,y\right) &:&\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{eqnarray*}が与えられれば、\(\left(1\right) \)を満たすものとして複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)を定義できます。

例(実部と虚部から複素関数を特定する)
関数\(u\left( x,y\right) :\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}u\left( x,y\right) =xy^{2}
\end{equation*}を定め、関数\(v\left( x,y\right) :\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}v\left( x,y\right) =x^{2}-4y^{3}
\end{equation*}を定めるものとします。このとき、それぞれの\(z=\left( x,y\right) \in \mathbb{C} \)に対して、\begin{eqnarray*}f\left( z\right) &=&f\left( x,y\right) \\
&=&u\left( x,y\right) +iv\left( x,y\right) \\
&=&xy^{2}+i\left( x^{2}-4y^{3}\right) \quad \because u,v\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定める複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が定義可能です。\(f\)による複素数\(1\in \mathbb{C} \)の像は、\begin{eqnarray*}f\left( 1\right) &=&1\cdot 0^{2}+i\left( 1^{2}-4\cdot 0^{3}\right) \\
&=&0+i \\
&=&i
\end{eqnarray*}であり、\(f\)による複素数\(i\in \mathbb{C} \)の像は、\begin{eqnarray*}f\left( i\right) &=&0\cdot 1^{2}+i\left( 0^{2}-4\cdot 1^{3}\right) \\
&=&-4i
\end{eqnarray*}であり、\(f\)による複素数\(1+i\in \mathbb{C} \)の像は、\begin{eqnarray*}f\left( 1+i\right) &=&1\cdot 1^{2}+i\left( 1^{2}-4\cdot 1^{3}\right) \\
&=&1-3i
\end{eqnarray*}です。

 

演習問題

問題(複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =z^{2}-\left( 2+i\right) z
\end{equation*}を定めるものとします。\(z=x+yi\)とした上で、\(f\)の実部と虚部を\(x,y\)を変数とする関数として表現してください。
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問題(複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =z+2\mathrm{Re}\left( z\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(z=x+yi\)とした上で、\(f\)の実部と虚部を\(x,y\)を変数とする関数として表現してください。
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問題(複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =z^{2}+\overline{z}^{2}
\end{equation*}を定めるものとします。\(z=x+yi\)とした上で、\(f\)の実部と虚部を\(x,y\)を変数とする関数として表現してください。
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問題(複素関数の実部と虚部)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =e^{2z+i}
\end{equation*}を定めるものとします。\(z=x+yi\)とした上で、\(f\)の実部と虚部を\(x,y\)を変数とする関数として表現してください。
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