WIIS

複素関数の微分

複素定数関数の微分

目次

Mailで保存
Xで共有

複素定数関数の微分

複素定数関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が与えられているものとします。つまり、\(f\)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、ある定数\(c\in \mathbb{C} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( z\right) =c
\end{equation*}と表されるということです。

点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\(f\)は点\(a\)において微分可能であるとともに、そこでの微分係数は、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}となります。

命題(複素定数関数の微分)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、定数\(c\in \mathbb{C} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( z\right) =c
\end{equation*}と表されるものとする。点\(a\in \mathbb{C} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}f^{\prime }\left( a\right) =0
\end{equation*}が成り立つ。したがって、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が存在して、それぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}を定める。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(複素定数関数の微分)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =i
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が存在して、それぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}を定めます。

例(複素定数関数の微分)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =1+i
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が存在して、それぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}を定めます。

例(複素定数関数の微分)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =1
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)が存在して、それぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}を定めます。

 

複素定数関数は整関数

複素定数関数は整関数です。

命題(複素定数関数は整関数)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、定数\(c\in \mathbb{C} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( z\right) =c
\end{equation*}と表されるものとする。\(f\)は整関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(複素定数関数は整関数)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =i
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、\(f\)は整関数です。
例(複素定数関数は整関数)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =1+i
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、\(f\)は整関数です。
例(複素定数関数は整関数)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f\left( z\right) =1
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は複素定数関数であるため、先の命題より、\(f\)は整関数です。

 

解析関数が複素定数関数であるための条件

複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)の定義域\(Z\)は複素平面\(\mathbb{C} \)上の開集合であるとともに、\(f\)は\(Z\)上の解析関数であるものとします。加えて、\begin{equation*}\exists c\in \mathbb{R} ,\ \forall z\in Z:\left\vert f\left( z\right) \right\vert =c
\end{equation*}が成り立つものとします。つまり、複素変数の実数値関数\begin{equation*}
\left\vert f\left( z\right) \right\vert :\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定数関数であるということです。この場合、もとの複素関数\(f\)は\(Z\)上において複素定数関数になります。

命題(解析関数が複素定数関数であるための条件)
複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)の定義域\(Z\)は複素平面\(\mathbb{C} \)上の開集合であるとともに、\(f\)は\(Z\)上の解析関数であるものとする。さらに、\begin{equation*}\exists c\in \mathbb{R} ,\ \forall z\in Z:\left\vert f\left( z\right) \right\vert =c
\end{equation*}が成り立つものとする。このとき、\(f\)は\(Z\)上において複素定数関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)の定義域\(Z\)は複素平面\(\mathbb{C} \)上の開集合であるとともに、\(f\)は\(Z\)上の解析関数であるものとします。加えて、\begin{equation*}\forall z\in Z:f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}が成り立つものとします。この場合、もとの複素関数\(f\)は\(Z\)上において複素定数関数になります。

命題(解析関数が複素定数関数であるための条件)
複素関数\(f:\mathbb{C} \supset Z\rightarrow \mathbb{C} \)の定義域\(Z\)は複素平面\(\mathbb{C} \)上の開集合であるとともに、\(f\)は\(Z\)上の解析関数であるものとする。さらに、\begin{equation*}\forall z\in Z:f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}が成り立つものとする。このとき、\(f\)は\(Z\)上において複素定数関数である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

 

演習問題

問題(コーシー・リーマンの方程式と複素定数関数の微分)
複素関数\(f:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)がそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して定める値が、定数\(c\in \mathbb{C} \)を用いて、\begin{equation*}f\left( z\right) =c
\end{equation*}と表されるものとします。\(f\)は\(\mathbb{C} \)上で微分可能であるとともに、導関数\(f^{\prime }:\mathbb{C} \rightarrow \mathbb{C} \)はそれぞれの\(z\in \mathbb{C} \)に対して、\begin{equation*}f^{\prime }\left( z\right) =0
\end{equation*}を定めます。本文中では以上のことを微分の定義にもとづいて証明しましたが、同じことをコーシー・リーマンの方程式を用いて証明してください。

解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

Mailで保存
Xで共有

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです

会員登録

有料のプレミアム会員であれば、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。

ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等であり、お互いを人格として尊重することが求められます。ユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するため、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックすることになっています。詳細はガイドラインをご覧ください。

誤字脱字、リンク切れ、内容の誤りを発見した場合にはコメントに投稿するのではなく、以下のフォームからご連絡をお願い致します。

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録