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凸関数・凹関数

凸関数・凹関数の和

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1変数の凸関数・凹関数どうしの和

区間上に定義された2つの1変数関数\(f,g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in I\)に対して、\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな1変数関数\(f+g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(f,g\)がともに凸関数であるならば\(f+g\)もまた凸関数です。また、\(f,g\)がともに凸関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凸関数であるならば\(f+g\)もまた狭義凸関数です。

命題(凸関数の和)
区間上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f+g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f,g\)がともに凸関数であるならば、\(f+g\)もまた凸関数である。
  2. \(f,g\)がともに凸関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凸関数であるならば、\(f+g\)もまた狭義凸関数である。
証明

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上の命題は\(2\)個の関数に関するものですが、\(3\)個以上の関数に関しても同様の主張が成り立ちます。つまり、\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるならば関数\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた凸関数であり、関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるとともに少なくとも1つが狭義凸関数であるならば\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた狭義凸関数になります(演習問題)。

凹関数と狭義凹関数に関しても同様の主張が成り立ちます。

命題(凹関数の和)
区間上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f+g:\mathbb{R} \supset I\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f,g\)がともに凹関数であるならば、\(f+g\)もまた凹関数である。
  2. \(f,g\)がともに凹関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凹関数であるならば、\(f+g\)もまた狭義凹関数である。
証明

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上の命題は\(2\)個の関数に関するものですが、\(3\)個以上の関数に関しても同様の主張が成り立ちます。つまり、\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凹関数であるならば関数\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた凹関数であり、関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凹関数であるとともに少なくとも1つが狭義凹関数であるならば\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた狭義凹関数になります。

例(凸関数・凹関数どうしの和)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}+x+1
\end{equation*}を定めるものとします。\(x^{2}\)は狭義凸関数であり\(x+1\)は凸関数であるため、それらの和である\(f\)は狭義凸関数です。
例(凸関数・凹関数どうしの和)
関数\(f:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\ln \left( x\right) +x+1
\end{equation*}を定めるものとします。\(\ln \left( x\right) \)は狭義凹関数であり\(x+1\)は凹関数であるため、それらの和である\(f\)は狭義凹関数です。

 

多変数の凸関数・凹関数どうしの和

多変数の凸関数と凹関数についても同様の主張が成り立ちます。具体的には以下の通りです。

凸集合上に定義された2つの多変数関数\(f,g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( f+g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) +g\left( x\right)
\end{equation*}を定める新たな多変数関数\(f+g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能です。\(f,g\)がともに凸関数であるならば\(f+g\)もまた凸関数です。また、\(f,g\)がともに凸関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凸関数であるならば\(f+g\)もまた狭義凸関数です。

命題(凸関数の和)
凸集合上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f+g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f,g\)がともに凸関数であるならば、\(f+g\)もまた凸関数である。
  2. \(f,g\)がともに凸関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凸関数であるならば、\(f+g\)もまた狭義凸関数である。
証明

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上の命題は\(2\)個の関数に関するものですが、\(3\)個以上の関数に関しても同様の主張が成り立ちます。つまり、\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるならば関数\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた凸関数であり、関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるとともに少なくとも1つが狭義凸関数であるならば\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた狭義凸関数になります。

凹関数と狭義凹関数に関しても同様の主張が成り立ちます。

命題(凹関数の和)
凸集合上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f+g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義する。このとき以下が成り立つ。

  1. \(f,g\)がともに凹関数であるならば、\(f+g\)もまた凹関数である。
  2. \(f,g\)がともに凹関数であるとともに、少なくとも一方が狭義凹関数であるならば、\(f+g\)もまた狭義凹関数である。
証明

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上の命題は\(2\)個の関数に関するものですが、\(3\)個以上の関数に関しても同様の主張が成り立ちます。つまり、\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凹関数であるならば関数\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた凹関数であり、関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凹関数であるとともに少なくとも1つが狭義凹関数であるならば\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた狭義凹関数になります。

例(凸関数・凹関数どうしの和)
関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =x^{2}+y^{2}+x+y+1
\end{equation*}を定めるものとします。\(x^{2}+y^{2}\)は狭義凸関数であり\(x+y+1\)は凸関数であるため、それらの和である\(f\)は狭義凸関数です。
例(凸関数・凹関数どうしの和)
関数\(f:\mathbb{R} _{++}^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} _{++}^{2}\)に対して、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =\ln \left( x\right) +\ln \left( y\right) +x+y+1
\end{equation*}を定めるものとします。\(\ln \left( x\right) +\ln \left( y\right) \)は狭義凹関数であり\(x+y+1\)は凹関数であるため、それらの和である\(f\)は狭義凹関数です。

 

演習問題

問題(凸関数の和)
凸集合上に定義された\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(f_{1}+\cdots +f_{m}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。ただし、\(m\geq 2\)です。このとき以下が成り立つことを示してください。

  1. \(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるならば、\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた凸関数である。
  2. \(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるとともに少なくとも1つが狭義凸関数であるならば、\(f_{1}+\cdots +f_{m}\)もまた狭義凸関数である。
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問題(凸関数の和)
凸集合上に定義された\(m\)個の関数\(f_{1},\cdots ,f_{m}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)とスカラー\(c_{1},\cdots ,c_{m}\in \mathbb{R} \)それぞれ任意に与えられたとき、そこから関数\(c_{1}f_{1}+\cdots +c_{m}f_{m}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。ただし、\(m\geq 2\)です。このとき以下が成り立つことを示してください。

  1. \(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるとともに\(c_{1},\cdots ,c_{m}\)がいずれも正であるならば、\(c_{1}f_{1}+\cdots+c_{m}f_{m}\)もまた凸関数である。
  2. \(f_{1},\cdots ,f_{m}\)がいずれも凸関数であるとともに少なくとも1つが狭義凸関数であり、なおかつ\(c_{1},\cdots ,c_{m}\)がいずれも正であるならば、\(c_{1}f_{1}+\cdots +c_{m}f_{m}\)もまた狭義凸関数である。
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問題(凸関数の差)
凸集合上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( f-g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) -g\left( x\right)
\end{equation*}を定める関数\(f-g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。\(f\)と\(g\)が凸関数である場合に\(f-g\)もまた凸関数であることを保証できるでしょうか。議論してください。
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問題(凸関数の積)
凸集合上に定義された関数\(f,g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれ任意に与えられたとき、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( f\cdot g\right) \left( x\right) =f\left( x\right) \cdot g\left(
x\right)
\end{equation*}を定める関数\(f\cdot g:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を定義します。\(f\)と\(g\)が凸関数である場合に\(f\cdot g\)もまた凸関数であることを保証できるでしょうか。議論してください。
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