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ベルジュの最大値定理

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価値関数が実数値関数であるための条件

集合\(A,B\)には位相が導入されているものとします。具体的には、距離空間やユークリッド空間などを想定してください。目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)と制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)がそれぞれ与えられたとき、パラメータの値\(a\in A\)を任意に選べば、それに対して制約付き最大化問題\begin{equation*}
\sup_{x\in X}f\left( a,x\right) \quad \text{s.t.}\quad x\in g\left( a\right)
\end{equation*}を構成することができます。以上を踏まえたとき、価値関数はそれぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
V\left( a\right) =\sup \left\{ f\left( a,x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in g\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を像として定める拡大実数値関数\(V:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)として定義され、最適選択対応はそれぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
X^{\ast }\left( a\right) =\left\{ x\in g\left( a\right) \ |\ f\left(
x,a\right) =V\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を定める対応\(X^{\ast }:A\twoheadrightarrow X\)として定義されます。

パラ―メータの値\(a\in A\)について\(X^{\ast }\left( a\right) \not=\phi \)が成り立つことは、\(a\)のもとでの制約付き最大化問題に解が存在することを意味します。この場合、目的関数\(f\left( a,x\right) \)は制約集合\(g\left( a\right) \)上の点において最大値を持ちます。つまり、\begin{equation*}
\max \left\{ f\left( a,x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in g\left( a\right) \right\}
\end{equation*}が存在するということです。一般に、\(\mathbb{R}\)の非空な部分集合に最大値が存在する場合、それは上限と一致します。したがってこの場合、\begin{equation*}
V\left( a\right) =\max \left\{ f\left( a,x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in g\left( a\right) \right\}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、\(X^{\ast }\left( a\right) \not=\phi \)が成り立つ場合、価値関数\(V\)は点\(a\)において有限な実数を値としてとるということです。したがって、最適選択対応\(X^{\ast }\)が非空値をとるならば、すなわちパラ―メータ\(a\)の値によらず制約付き最大化問題には必ず解が存在するのであれば、価値関数は実数値関数になります。では、どのような条件のもとで最適選択対応\(X^{\ast }\)は非空値をとるのでしょうか。以下の命題はこの問いに対する答えを与えてくれます。

命題(価値関数が実数値関数であるための条件)
目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)が上半連続性を満たすとともに制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)が非空値かつコンパクト値をとる場合、価値関数\(V:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)はパラメータのそれぞれの値\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
V\left( a\right) =\max \left\{ f\left( a,x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in g\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を定めるとともに、最適選択対応\(X^{\ast }:A\twoheadrightarrow X\)は非空値かつコンパクト値をとる。
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価値関数が連続であるための条件

価値関数\(V\)が実数値関数であることを保証するためには、目的関数\(f\)が上半連続性を満たすとともに、制約対応\(g\)が非空値かつコンパクト値をとる対応であればよいことが明らかになりました。さらに、制約対応\(g\)が上半連続性を満たす場合には、価値関数\(V\)が上半連続であることも保証できます。

命題(価値関数が上半連続であるための条件)
目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)が上半連続性を満たすとともに制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)が非空値かつコンパクト値をとる上半連続対応である場合、価値関数は実数値関数\(V:A\rightarrow \mathbb{R}\)であるとともに上半連続性を満たす。
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価値関数\(V\)が上半連続であることを保証するためには、目的関数\(f\)が上半連続性を満たすとともに、制約対応\(g\)が非空値かつコンパクト値をとる上半連続対応であればよいことが明らかになりました。一方、価値関数\(V\)が下半連続であることを保証するためには、制約対応\(g\)がコンパクト値をとることを要求する必要はありません。具体的には、目的関数\(f\)が下半連続性を満たすとともに、制約対応\(g\)が下半連続性を満たすのであれば、価値関数\(V\)が下半連続になることが保証されます。

命題(価値関数が下半連続であるための条件)
目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)が下半連続性を満たすとともに制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)が下半連続性を満たす場合、価値関数\(V:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)は下半連続性を満たす。
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ベルジュの最大値定理

目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)が連続関数であるとともに制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)が非空値かつコンパクト値をとる連続対応であるものとします。目的関数\(f\)が連続であることは、それが上半連続かつ下半連続であることを意味し、\(g\)が連続であることは、それが上半連続対応かつ下半連続であることを意味します。したがって、先に示した諸命題が要求する条件がいずれの満たされるため、この場合、価値関数\(V\)は実数値関数であるとともに、上半連続かつ下半連続になります。これは\(V\)が連続関数であることを意味します。加えて、最適選択対応\(X^{\ast }\)は非空値かつコンパクト値をとります。以上の結果に加えて、与えられた条件のもとでは、最適選択対応\(X^{\ast }\)が上半連続になることもまた保証されます。これをベルジュの最大値定理(Berge maximum theorem)と呼びます。

命題(ベルジュの最大値定理)
目的関数\(f:A\times X\rightarrow \mathbb{R}\)が連続関数であるとともに制約対応\(g:A\twoheadrightarrow X\)が非空値かつコンパクト値をとる連続対応である場合、価値関数\(V:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)はパラメータのそれぞれの値\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
V\left( a\right) =\max \left\{ f\left( a,x\right) \in \mathbb{R}\ |\ x\in g\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を定める連続関数になる。加えて、最適選択対応\(X^{\ast }:A\twoheadrightarrow X\)は非空値かつコンパクト値をとる上半連続対応になる。
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