閉グラフを持つ対応
位相が導入されている集合\(A,B\)について考えます。\(A,B\)が距離空間である場合やユークリッド空間である場合などを想定してください。対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)のグラフは、\begin{equation*}G\left( f\right) =\left\{ \left( x,y\right) \in A\times B\ |\ y\in f\left(
x\right) \right\}
\end{equation*}と定義されますが、グラフ\(G\left( f\right) \)が\(A\times B\)上の閉集合である場合には、\(f\)は閉グラフ(closed graph)を持つと言います。
対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)および定義域上の点\(a\in A\)が与えられたとき、この点\(a\)に収束する\(A\)上の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選びます。つまり、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :x_{v}\in A \\
&&\left( b\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }x_{v}=a\in A
\end{eqnarray*}を満たす点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)を任意に選ぶということです。さらに、この点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)と対応\(f\)から、任意の番号\(v\)について\(y_{v}\in f\left( x_{v}\right) \)が成り立つとともに点\(b\in B\)へ収束する\(B\)上の点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)を任意に選びます。つまり、以下の条件\begin{eqnarray*}&&\left( c\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :y_{v}\in f\left( x_{v}\right) \\
&&\left( d\right) \ \forall v\in \mathbb{N} :y_{v}\in B \\
&&\left( d\right) \ \lim_{v\rightarrow \infty }y_{v}=b\in B
\end{eqnarray*}を満たす点列\(\left\{ y_{v}\right\} \)を任意に選ぶということです。以上のように選ばれた任意の点列\(\left\{ x_{v}\right\} ,\left\{ y_{v}\right\} \)の極限の間に、\begin{equation*}b\in f\left( a\right)
\end{equation*}という関係が成り立つのであれば、\(f\)は点\(a\)において閉じている(closed at \(a\))と言います。さらに、\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において閉じているならば、\(f\)は閉じている(closed)と言います。
対応\(f\)が点\(a\)において閉じているためには、以上の条件を満たす点列\(\left\{ x_{v}\right\} ,\left\{ y_{v}\right\} \)が「存在する」ことを示しただけでは不十分であり、以上の条件を満たす「任意の」点列\(\left\{ x_{v}\right\} ,\left\{y_{v}\right\} \)について\(b\in f\left( a\right) \)が成り立つことを示す必要があることに注意が必要です。
対応が閉グラフを持つことと、対応が閉じていることは必要十分です。
閉グラフを用いた対応の上半連続性の判定
対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が閉グラフを持つとともに、その終集合\(B\)がコンパクト集合である場合には、\(f\)は上半連続になることが保証されます。
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