教材一覧
教材一覧
教材検索
CORRESPONDENCE

対応の連続性

目次

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

対応の上半連続性

これまでは任意の集合\(A,B\)に関する対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)について考えてきましたが、ここからは\(A,B\)に位相が設定されている状況を想定します。具体的には、\(A,B\)がそれぞれ距離空間である場合や、\(A,B\)がそれぞれユークリッド空間である場合などを想定してください。

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、定義域上の点\(a\in A\)を任意に選んだ上で、\(f\)によるその像\(f\left( a\right) \subset B\)をとります。その上で、\(f\left( a\right) \)の開近傍を任意に選びます。つまり、\begin{equation*}
f\left( a\right) \subset U
\end{equation*}を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選ぶということです。このとき、点\(a\)の開近傍であるとともに、その任意の要素の\(f\)による像が\(U\)の部分集合になるものが存在するならば、すなわち、\begin{eqnarray*}
&&\left( 1\right) \ a\in V \\
&&\left( 2\right) \ \forall v\in V:f\left( v\right) \subset U
\end{eqnarray*}をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在する場合には、対応\(f\)は点\(a\)において上半連続(upper hemi-continuous at \(a\))であると言います。

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)と定義域の部分集合\(X\subset A\)が与えられたとき、\(f\)が\(X\)上の任意の点において上半連続であるならば、\(f\)は\(X\)上で上半連続である(upper hemi-continuous on \(X\))と言います。特に、対応\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において上半連続である場合、\(f\)は上半連続である(upper hemi-continuous)と言います。

例(対応の上半連続性)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left\{ 0\right\} & if\ x<1 \\
\left[ 0,1\right] & if\ x=1 \\
\left\{ 0\right\} & if\ x>1\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図の太線として表されています。

図:対応
図:対応

\(a<1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\(f\left( a\right) \subset U\)すなわち、\begin{equation}
\left\{ 0\right\} \subset U \quad\cdots (1)
\end{equation}を満たす\(\mathbb{R} \)上の開集合\(U\)を任意に選びます。\(a+\varepsilon <1\)を満たす\(\varepsilon >0\)を任意に選んだ上で、有界な開区間\(\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \)を作ります。この開区間は\(a\)を要素として持つ\(\mathbb{R} \)上の開集合であるとともに、\(f\)の定義より、\begin{equation*}
\forall x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) :f\left( x\right)
=\left\{ 0\right\}
\end{equation*}が成り立ちます。これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}
\forall x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) :f\left( x\right)
\subset U
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は\(a\)において上半連続であることが示されました。\(a\geq 1\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R} \)においても\(f\)は上半連続です(演習問題にします)。したがって、\(f\)は上半連続な対応です。

例(対応の上半連続性)
写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、これは、それぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
g\left( a\right) =\left\{ f\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を像として定める対応\(g:A\twoheadrightarrow B\)と同一視できます。この写像\(f\)が定義域上の点\(a\in A\)において連続であることとは、点\(f\left( a\right) \in B\)の任意の開近傍\(U\)に対して、\(f\left( V\right) \subset U\)を満たす点\(a\)の開近傍\(V\)が存在することを意味します。つまり、\(f\left( a\right) \subset U\)を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選んだとき、それに対して、\(a\in V\)と\(f\left( V\right) \subset U\)をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在するということです。これは先の対応\(g\)が点\(a\)において上半連続であるための必要十分条件であるため(演習問題にします)、対応が点において上半連続であることは、写像が点において連続であることを拡張した概念であることが明らかになりました。

 

対応の下半連続性

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、定義域上の点\(a\in A\)を任意に選んだ上で、\(f\)によるその像\(f\left( a\right) \subset B\)をとります。その上で、\(f\left( a\right) \)と交わる開集合を任意に選びます。つまり、\begin{equation*}
f\left( a\right) \cap U\not=\phi
\end{equation*}を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選ぶということです。このとき、点\(a\)の開近傍であるとともに、その任意の要素の\(f\)による像が\(U\)と交わるものが存在するならば、すなわち、\begin{eqnarray*}
&&\left( 1\right) \ a\in V \\
&&\left( 2\right) \ \forall v\in V:f\left( v\right) \cap U\not=\phi
\end{eqnarray*}をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在する場合には、対応\(f\)は点\(a\)において下半連続(lower hemi-continuous at \(a\))であると言います。

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)と定義域の部分集合\(X\subset A\)が与えられたとき、\(f\)が\(X\)上の任意の点において下半連続であるならば、\(f\)は\(X\)上で下半連続である(lower hemi-continuous on \(X\))と言います。特に、対応\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において下半連続である場合、\(f\)は下半連続である(lower hemi-continuous)と言います。

例(対応の下半連続性)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left[ 0,1\right] & if\ x<1 \\
\left\{ 0\right\} & if\ x\geq 1\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図のグレーの領域と太線として表されています(点線を含まない)。

図:対応
図:対応

\(a<1\)を満たす点\(a\in \mathbb{R} \)を任意に選んだ上で、\(f\left( a\right) \cap U\not=\phi \)すなわち、\begin{equation}
\left[ 0,1\right] \cap U\not=\phi \quad\cdots (1)
\end{equation}を満たす\(\mathbb{R} \)上の開集合\(U\)を任意に選びます。\(a+\varepsilon <1\)を満たす\(\varepsilon >0\)を任意に選んだ上で、有界な開区間\(\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \)を作ります。この開区間は\(a\)を要素として\(\mathbb{R} \)上の開集合であるとともに、\begin{equation*}
\forall x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) :f\left( x\right) =
\left[ 0,1\right] \end{equation*}であることから、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}
\forall x\in \left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) :f\left( x\right)
\cap U\not=\phi
\end{equation*}が成り立つため、\(f\)は\(a\)において下半連続であることが示されました。\(a\geq 1\)を満たす任意の点\(a\in \mathbb{R} \)においても\(f\)は下半連続です(演習問題にします)。したがって、\(f\)は下半連続な対応です。

例(対応の下半連続性)
写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、これは、それぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
g\left( a\right) =\left\{ f\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を像として定める対応\(g:A\twoheadrightarrow B\)と同一視できます。繰り返しになりますが、この写像\(f\)が定義域上の点\(a\in A\)において連続であることとは、点\(f\left( a\right) \in B\)の任意の開近傍\(U\)に対して、\(f\left( V\right) \subset U\)を満たす点\(a\)の開近傍\(V\)が存在することを意味します。つまり、\(f\left( a\right) \subset U\)を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選んだとき、それに対して、\(a\in V\)と\(f\left( V\right) \subset U\)をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在するということです。これは先の対応\(g\)が点\(a\)において下半連続であるための必要十分条件であるため(演習問題にします)、対応が点において下半連続であることもまた、写像が点において連続であることを拡張した概念であることが明らかになりました。

 

上半連続性と下半連続性の関係

先に例を通じて確認したように、対応に関する上半連続性と下半連続性の概念はともに、写像に関する連続性を拡張したものです。言い換えると、写像と実質的に等しい対応を議論の対象とした場合、すなわち、写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、それぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
g\left( a\right) =\left\{ f\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を像として定める対応\(g:A\twoheadrightarrow B\)を議論の対象とした場合、この対応\(g\)が定義域上の点において上半連続であることと下半連続であることは概念として一致します。ただ、一般の対応に関しては、上半連続性と下半連続性は概念として一致するとは限りません。以下の例から明らかです。

例(上半連続性と下半連続性の関係)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left\{ 0\right\} & if\ x<1 \\
\left[ 0,1\right] & if\ x=1 \\
\left\{ 0\right\} & if\ x>1\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図の太線として表されています。

図:対応
図:対応

先に示したように、この対応\(f\)は点\(1\)において上半連続です。一方、この対応\(f\)は点\(1\)において下半連続ではありません。実際、\(f\left( 1\right) =\left[ 0,1\right] \)であることを踏まえると、\(0<\delta <1\)を満たす実数\(\delta \)に対して、\begin{equation}
f\left( 1\right) \cap \left( 1-\delta ,1+\delta \right) \not=\phi \quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。有界な開区間\(\left( 1-\delta ,1+\delta \right) \)は\(\mathbb{R} \)上の開集合です。他方で、\(1\in V\)を満たす\(\mathbb{R} \)上の開集合\(V\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
\exists v\in V:f\left( v\right) =\left\{ 0\right\}
\end{equation*}が成り立つため、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}
\exists v\in V:f\left( v\right) \cap \left( 1-\delta ,1+\delta \right) =\phi
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(1\)において下半連続ではないことが明らかになりました。

例(上半連続性と下半連続性の関係)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left[ 0,1\right] & if\ x<1 \\
\left\{ 0\right\} & if\ x\geq 1\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図のグレーの領域と太線として表されています(点線を含まない)。

図:対応
図:対応

先に示したように、この対応\(f\)は点\(1\)において下半連続です。一方、この対応\(f\)は点\(1\)において上半連続ではありません。実際、\(f\left( 1\right) =\left\{ 0\right\} \)であることを踏まえると、\(0<\delta <1\)を満たす実数\(\delta \)に対して、\begin{equation}
f\left( 1\right) \subset \left( 1-\delta ,1+\delta \right) \quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立ちます。有界な開区間\(\left( 1-\delta ,1+\delta \right) \)は\(\mathbb{R} \)上の開集合です。他方で、\(1\in V\)を満たす\(\mathbb{R} \)上の開集合\(V\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
\exists v\in V:f\left( v\right) =\left[ 0,1\right] \end{equation*}が成り立つため、これと\(\left( 1\right) \)より、\begin{equation*}
\exists v\in V:f\left( v\right) \not\subset \left( 1-\delta ,1+\delta
\right)
\end{equation*}となるため、\(f\)は\(1\)において上半連続ではないことが明らかになりました。

 

対応の連続性

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が定義域上の点\(a\in A\)において上半連続かつ下半連続である場合、対応\(f\)は点\(a\)において連続である(continuous at \(a\))であると言います。

対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)と定義域の部分集合\(X\subset A\)が与えられたとき、\(f\)が\(X\)上の任意の点において連続であるならば、\(f\)は\(X\)上で連続である(continuous on \(X\))と言います。特に、対応\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において連続である場合、\(f\)は連続である(continuous)と言います。

例(対応の連続性)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\left[ 0,x\right] & if\ x\geq 0 \\
\left[ -x,0\right] & if\ x<0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図のグレーの領域と太線として表されています(点線を含まない)。この対応\(f\)は連続です(演習問題にします)。

図:対応
図:対応
例(対応の連続性)
写像\(f:A\rightarrow B\)が与えられたとき、これは、それぞれの\(a\in A\)に対して、\begin{equation*}
g\left( a\right) =\left\{ f\left( a\right) \right\}
\end{equation*}を像として定める対応\(g:A\twoheadrightarrow B\)と同一視できます。先に示したように、この対応\(g\)が定義域上の点\(a\in A\)において上半連続であること、\(g\)が\(a\)において下半連続であること、そして写像\(f\)が\(a\)において連続であることは必要十分であるため、対応が点において連続であることもまた、写像が点において連続であることを拡張した概念であることが明らかになりました。

次回は集合の逆像(上逆像・下逆像)を用いて対応の連続性を表現します。

質問・コメント(プレミアム会員限定) 演習問題(プレミアム会員限定) 次へ進む
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

予算対応の連続性

予算対応の連続性

予算対応が上半連続かつ下半連続である場合、すなわち連続対応である場合には、消費者が直面する最適化問題を解く際にベルジュの最大値定理を利用できるため、様々な望ましい性質を導くことができます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録