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拡大実数値関数の連続性

目次

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拡大実数値関数

距離空間やユークリッド空間など位相が導入された集合を定義域とし、拡大実数を値としてとる写像\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)を議論の対象とします。ただし、拡大実数とは有限な実数に正負の無限大を加えた概念であり、\(\mathbb{R} ^{\ast }=\mathbb{R} \cup \left\{ \pm \infty \right\} \)です。つまり、定義域\(A\)のそれぞれの要素\(a\)に対して\(f\)が定める像\(f\left( a\right) \)は有限な実数であるか正ないし負の無限大であるということです。このような写像を拡大実数値関数(extended real-valued function)と呼ぶこととします。

例(拡大実数値関数)
実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)の終集合\(\mathbb{R} \)は拡大実数系\(\mathbb{R} ^{\ast }\)の部分集合であるため、実数値関数は特別な拡大実数値関数です。逆に言うと、拡大実数値関数は実数値関数の拡張です。
例(拡大実数値関数)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)を任意に選んだ上で、それぞれの\(x\in \mathbb{R}^{n}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
+\infty & if\ x\in A \\
1 & if\ x\not\in A\end{array}\right.
\end{equation*}を定める写像\(f:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)を構成すると、これは拡大実数値関数です。

 

拡大実数値関数の上半連続性

拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、有限な実数\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\(f\)が定める値が\(c\)以上になるような定義域\(A\)上の点からなる集合を、\begin{equation*}
U\left( c\right) =\left\{ x\in A\ |\ f\left( x\right) \geq c\right\}
\end{equation*}と表記し、これを\(f\)の\(c\)に関する上方位集合(upper contour set)と呼びます。\(U\left( c\right) \)は位相が導入された集合\(A\)の部分集合であるため、\(U\left( c\right) \)が\(A\)上において閉集合であるか否かを判定できます。以上を踏まえた上で、任意の実数\(c\in \mathbb{R}\)に対する上方位集合\(U\left( c\right) \)が\(A\)上の閉集合であるとき、\(f\)は上半連続である(upper semi-continuous)であると言います。

例(上半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(c\leq 0\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
U\left( c\right) =\mathbb{R} \end{equation*}となりますが、全区間\(\mathbb{R} \)は閉集合です。また、\(0<c\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
U\left( c\right) =(-\infty ,-\sqrt{c}]\cup \lbrack \sqrt{c},+\infty )
\end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の無限半閉区間は閉集合であり、なおかつ有限個の閉集合の和集合もまた閉集合であるため、上の\(U\left( c\right) \)は閉集合です。以上で任意の\(c\in \mathbb{R}\)に関する上方位集合\(U\left( c\right) \)が\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが明らかになったため、\(f\)は上半連続です。

例(上半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(c\leq 0\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
U\left( c\right) =\mathbb{R} \end{equation*}となりますが、全区間\(\mathbb{R} \)は閉集合です。また、\(0<c\leq 1\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
U\left( c\right) =(-\infty ,-\sqrt{c}]\cup \left\{ 0\right\} \cup \lbrack
\sqrt{c},+\infty )
\end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の1点集合と無限半閉区間は閉集合であり、なおかつ有限個の閉集合の和集合もまた閉集合であるため、上の\(U\left( c\right) \)は閉集合です。最後に、\(1<c\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
U\left( c\right) =(-\infty ,-\sqrt{c}]\cup \lbrack \sqrt{c},+\infty )
\end{equation*}となりますが、先ほどと同様の理由によりこれもまた閉集合です。以上で任意の\(c\in \mathbb{R}\)に関する上方位集合\(U\left( c\right) \)が\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが明らかになったため、\(f\)は上半連続です。

例(上半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
-1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(-1<c\leq 0\)を満たす\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
U\left( c\right) =\left( -\infty ,0\right) \cup \left( 0,+\infty \right)
\end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の無限半開区間は開集合であり、なおかつ開集合の和集合もまた開集合であるため、上の\(U\left( c\right) \)は開集合であり閉集合ではありません。したがって、\(f\)は上半連続ではないことが明らかになりました。

上の3つの例が示唆するように、関数\(f\)が上半連続であることとは\(f\)のグラフが途切れずにつながっている(最初の例)か、途切れている場合においても上方にジャンプしている(2番目の例)ことを意味します。グラフが途切れており、なおかつそこで下方へジャンプしている場合(3番目の例)、その関数\(f\)は上半連続ではありません。

拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、有限な実数\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\(f\)が定める値が\(c\)よりも小さくなるような定義域\(A\)上の点からなる集合を、\begin{equation*}
L_{s}\left( c\right) =\left\{ x\in A\ |\ f\left( x\right) <c\right\}
\end{equation*}と表記し、これを\(f\)の\(c\)に関する狭義下方位集合(strict lower contour set)と呼びます。それぞれの実数\(c\)について、狭義下方位集合\(L_{s}\left( c\right) \)は上方位集合\(U\left( c\right) \)の補集合であるため、すなわち、\begin{equation*}
A\backslash U\left( c\right) =L_{s}\left( c\right)
\end{equation*}という関係が成り立つため、開集合および閉集合の定義を踏まえると、\(f\)が上半連続であることを以下のように表現することもできます(証明は演習問題にします)。

命題(拡大実数値関数の上半連続性)
位相が導入された集合上に定義された拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、任意の実数\(c\in \mathbb{R}\)に関する狭義下方位集合\(L_{s}\left( c\right) \)が\(A\)上の開集合であることは、\(f\)が上半連続であるための必要十分条件である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

 

拡大実数値関数の下半連続性

拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、有限な実数\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\(f\)が定める値が\(c\)以下になるような定義域\(A\)上の点からなる集合を、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\left\{ x\in A\ |\ f\left( x\right) \leq c\right\}
\end{equation*}と表記し、これを\(f\)の\(c\)に関する下方位集合(lower contour set)と呼びます。\(L\left( c\right) \)は位相が導入された集合\(A\)の部分集合であるため、\(L\left( c\right) \)が\(A\)上において閉集合であるか否かを判定できます。以上を踏まえた上で、任意の実数\(c\in \mathbb{R}\)に対する下方位集合\(L\left( c\right) \)が\(A\)上の閉集合であるとき、\(f\)は下半連続である(lower semi-continuous)であると言います。

例(下半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(c<0\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\phi
\end{equation*}となりますが、空集合\(\phi \)は閉集合です。また、\(0\leq c\)を満たす任意の\(c\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\left[ -\sqrt{c},\sqrt{c}\right] \end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の有界閉区間は閉集合です。以上で任意の\(c\in \mathbb{R}\)に関する下方位集合\(L\left( c\right) \)が\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが明らかになったため、\(f\)は下半連続です。

例(下半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
-1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(c<-1\)を満たす\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\phi
\end{equation*}となりますが、空集合\(\phi \)は閉集合です。また、\(-1\leq c\leq 0\)を満たす\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\left\{ 0\right\}
\end{equation*}となりますが、1点集合は閉集合です。また、\(0<c\)を満たす\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
L\left( c\right) =\left[ -\sqrt{c},\sqrt{c}\right] \end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の有界閉区間は閉集合です。以上で任意の\(c\in \mathbb{R}\)に関する下方位集合\(L\left( c\right) \)が\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが明らかになったため、\(f\)は下半連続です。

例(下半連続な関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
x^{2} & if\ x\not=0 \\
1 & if\ x=0\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします(下図)。

図:関数
図:関数

\(0<c<1\)を満たす\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}
L\left( c\right) =[-\sqrt{c},0)\cup (0,\sqrt{c}] \end{equation*}となりますが、\(\mathbb{R} \)上の有界半閉区間は開集合であり、なおかつ開集合の和集合もまた開集合であるため、上の\(L\left( c\right) \)は開集合であり閉集合ではありません。したがって、\(f\)は下半連続ではないことが明らかになりました。

上の3つの例が示唆するように、関数\(f\)が下半連続であることとは\(f\)のグラフが途切れずにつながっている(最初の例)か、途切れている場合においても下方にジャンプしている(2番目の例)ことを意味します。グラフが途切れており、なおかつそこで上方へジャンプしている場合(3番目の例)、その関数\(f\)は下半連続ではありません。

拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、有限な実数\(c\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\(f\)が定める値が\(c\)よりも大きくなるような定義域\(A\)上の点からなる集合を、\begin{equation*}
U_{s}\left( c\right) =\left\{ x\in A\ |\ f\left( x\right) >c\right\}
\end{equation*}と表記し、これを\(f\)の\(c\)に関する狭義上方位集合(strict upper contour set)と呼びます。それぞれの実数\(c\)について、狭義上方位集合\(U_{s}\left( c\right) \)は下方位集合\(L\left( c\right) \)の補集合であるため、すなわち、\begin{equation*}
A\backslash L\left( c\right) =U_{s}\left( c\right)
\end{equation*}という関係が成り立つため、開集合および閉集合の定義を踏まえると、\(f\)が下半連続であることを以下のように表現することもできます(証明は演習問題にします)。

命題(拡大実数値関数の下半連続性)
位相が導入された集合上に定義された拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が与えられたとき、任意の実数\(c\in \mathbb{R}\)に関する狭義上方位集合\(U_{s}\left( c\right) \)が\(A\)上の開集合であることは、\(f\)が下半連続であるための必要十分条件である。
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拡大実数値関数の連続性

拡大実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}^{\ast }\)が上半連続かつ下半連続である場合、\(f\)は連続(continuous)であると言います。

これまで例を通じて確認したように、拡大実数値関数\(f\)が上半連続であることとは、\(f\)のグラフが途切れずにつながっているか、途切れている場合においても上方にジャンプしていることを意味します。逆に、\(f\)が下半連続であることとは、\(f\)のグラフが途切れずにつながっているか、途切れている場合においても下方にジャンプしていることを意味します。したがって、\(f\)が連続であること、すなわち\(f\)が上半連続かつ下半連続であることとは、\(f\)のグラフが途切れずにつながっており、上方や下方にジャンプしていないことを意味しています。これは実数値関数\(f\)が連続であることの直感的な意味と合致します。つまり、拡大実数値関数の連続性は、実数値関数の連続性を拡張したものであることが予想されます。実際、これは正しい予想です。以下で検証しましょう。

実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)が連続であることは様々な形で表現できますが、位相を前提としたとき、以下の3つの命題は互いに必要十分になります。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ f\text{は連続である}
\\
&&\left( b\right) \ \text{任意の開集合}B\subset \mathbb{R}\text{の逆像}f^{-1}\left( B\right) \text{は}A\text{上の開集合である} \\
&&\left( c\right) \ \text{任意の閉集合}B\subset \mathbb{R}\text{の逆像}f^{-1}\left( B\right) \text{は}A\text{上の閉集合である}
\end{eqnarray*}実数値関数に関しても先と同様に上半連続性と下半連続性をそれぞれ定義できますが、実数値関数が上半連続かつ下半連続であることとは、上の\(\left( a\right) ,\left( b\right) ,\left( c\right) \)の意味において連続であることと必要十分になります。証明は以下の通りです。

実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)が連続であるものとします。このとき、任意の\(c\in \mathbb{R}\)に関する上方位集合\(U\left( c\right) \)と下方位集合\(L\left( c\right) \)がともに\(A\)上の閉集合であることを示すことが目標です。具体的には、上方位集合に関しては、\begin{eqnarray*}
U\left( c\right) &=&\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \geq c\right\} \\
&=&\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \in \lbrack c,+\infty )\right\} \quad
\because f\text{の終集合は}\mathbb{R} \\
&=&f^{-1}\left( [c,+\infty )\right) \quad \because f^{-1}\text{の定義}
\end{eqnarray*}となりますが、半閉区間\([c,+\infty )\)は\(\mathbb{R} \)上の閉集合であるため、\(f\)の連続性(上の\(\left( c\right) \))より、その逆像\(f^{-1}\left( [c,+\infty )\right) \)すなわち\(U\left( c\right) \)は\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが示されました。また、下方位集合に関しては、\begin{eqnarray*}
L\left( c\right) &=&\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \leq c\right\} \\
&=&\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \in (-\infty ,c]\right\} \quad
\because f\text{の終集合は}\mathbb{R} \\
&=&f^{-1}\left( (-\infty ,c]\right) \quad \because f^{-1}\text{の定義}
\end{eqnarray*}となりますが、半閉区間\((-\infty ,c]\)は\(\mathbb{R} \)上の閉集合であるため、\(f\)の連続性(上の\(\left( c\right) \))より、その逆像\(f^{-1}\left( (-\infty ,c]\right) \)すなわち\(L\left( c\right) \)は\(\mathbb{R} \)上の閉集合であることが示されました。以上は目標は達成されました。

逆の証明、すなわち、上半連続かつ下半連続な実数値関数\(f\)が連続であることの証明は演習問題にします。

命題(実数値関数の連続性)
位相が導入された集合上に定義された実数値関数\(f:A\rightarrow \mathbb{R}\)が与えられたとき、\(f\)が上半連続かつ下半連続であることは、\(f\)が連続であるための必要十分条件である。
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次回は最大値の定理と最小値の定理について解説します。

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