集合 X から集合 Y への対応 f:X↠Y が与えられたとき、Y のそれぞれの要素 y に対してその逆像 f⁻¹(y) を定める対応が定義可能です。そのような対応 f⁻¹:Y↠X を f の逆対応と呼びます。

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2019年6月9日:公開

逆対応

集合\(X\)から集合\(Y\)への対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)が与えられたとき、\(Y\)のそれぞれの要素\(y\)の逆像は、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\{x\in X\ |\ y\in f\left( x\right) \}
\end{equation*}と定義されます。そこで、\(Y\)のそれぞれの要素\(y\)に対して\(X\)の部分集合である\(f^{-1}\left( y\right) \)を定める対応\(f^{-1}:Y\twoheadrightarrow X \)を定義し、これを\(f\)の逆対応(inverse correspondence)と呼びます。

定義より、任意の順序対\(\left( x,y\right) \in X\times Y\)について、\begin{equation*}
y\in f\left( x\right) \Leftrightarrow x\in f^{-1}\left( y\right)
\end{equation*}という関係が成立します。つまり、\(y\)が\(f\)による\(x\)の像に含まれることは、\(x\)が\(f^{-1}\)による\(y\)の像に含まれるための必要十分条件です。

例(逆対応)
\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ 0,1\right] \)に対して対応\(f:\left[ 0,1\right] \twoheadrightarrow \left[ 0,1\right] \)を、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cc}
\{0\} & if\ x<1 \\ \left[ 0,1\right] & if\ x=1\end{array}\right. \end{equation*}と定義するとき、その逆対応\(f^{-1}:\left[ 0,1\right] \twoheadrightarrow \left[ 0,1\right] \)は、\begin{equation*} f^{-1}\left( y\right) =\left\{ \begin{array}{cc} \left[ 0,1\right] & if\ y=0 \\ \{1\} & if\ y>0\end{array}\right.
\end{equation*}となります。
例(逆対応)
\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ 0,1\right] \)に対して対応\(f:\left[ 0,1\right] \twoheadrightarrow \left[ 0,1\right] \)を、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\left[ 0,x\right] \end{equation*}と定義するとき、その逆対応\(f^{-1}:\left[ 0,1\right] \twoheadrightarrow \left[ 0,1\right] \)は、\begin{equation*}
f^{-1}\left( y\right) =\left[ y,1\right] \end{equation*}となります。

 

逆対応の逆対応

写像\(f:X\rightarrow Y\)に対してその逆写像\(f^{-1}:Y\rightarrow X\)は存在するとは限らないのとは異なり、対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)の逆対応\(f^{-1}:Y\twoheadrightarrow X\)は必ず存在します。なぜなら、仮にある\(y\in Y\)に対して\(f^{-1}\left( y\right) =\phi \)である場合でも、空集合\(\phi \)は任意の集合の部分集合であるため、\(f^{-1}\left( y\right) \subset Y\)が必ず成り立つからです。

逆対応\(f^{-1}:Y\twoheadrightarrow X\)は\(Y\)から\(X\)への対応ですので、さらにその逆対応\(\left( f^{-1}\right) ^{-1}:X\twoheadrightarrow Y\)も必ず存在します。しかしこれは\(f\)と一致します。

命題(逆対応の逆対応)
対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)に対して\((f^{-1})^{-1}=f\)が成り立つ。
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次回は対応の定義域と値域について学びます。
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