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逆像と位相を用いた対応の連続性の判定

目次

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逆像を用いた上半連続性の判定

位相が導入されている集合\(A,B\)について考えます。\(A,B\)が距離空間である場合やユークリッド空間である場合などを想定してください。復習になりますが、写像\(f:A\rightarrow B\)に関して以下の3つの命題\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f\text{は連続である}
\\
&&\left( b\right) \ \text{任意の開集合}Y\subset B\text{の逆像}f^{-1}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の開集合である} \\
&&\left( c\right) \ \text{任意の閉集合}Y\subset B\text{の逆像}f^{-1}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の閉集合である}
\end{eqnarray*}はお互いに必要十分です。対応に関しても位相を用いて連続性を表現できるのでしょうか。まずは上半連続性について議論します。

復習になりますが、対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が定義域上の点\(a\in A\)において上半連続であることとは、\begin{equation*}f\left( a\right) \subset U
\end{equation*}を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選んだときに、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ a\in V \\
&&\left( b\right) \ \forall v\in V:f\left( v\right) \subset U
\end{eqnarray*}をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在することを意味します。対応\(f\)が上半連続であることとは、\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において上半連続であることを意味します。加えて、終集合の部分集合\(Y\subset B\)を任意に選んだとき、\(f\)による\(Y\)の上逆像は、\begin{equation*}f^{+}\left( Y\right) =\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \subset Y\right\}
\end{equation*}と定義され、\(f\)による\(Y\)の下逆像は、\begin{equation*}f^{-}\left( Y\right) =\left\{ a\in A\ |\ f\left( a\right) \cap Y\not=\phi
\right\}
\end{equation*}と定義されます。さて、対応の上半連続性は写像の連続性を一般化した概念であるとともに、対応による集合の上逆像や下逆像はいずれも写像による集合の逆像を一般化した概念であることを踏まえると、対応の上半連続性に関しても、それを上逆像や下逆像に関する性質として表現できるのではないかという予想が立ちます。実際、対応の上半連続性に関して以下の命題が成り立ちます。

命題(逆像を用いた上半連続性の判定)
位相が導入された集合\(A,B\)に関する対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)に関して、以下の3つの命題\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f\text{は上半連続である} \\
&&\left( b\right) \ \text{任意の開集合}Y\subset B\text{の上逆像}f^{+}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の開集合である} \\
&&\left( c\right) \ \text{任意の閉集合}Y\subset B\text{の下逆像}f^{-}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の閉集合である}
\end{eqnarray*}はお互いに必要十分である。

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例(逆像を用いた上半連続性の判定)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x<1\right) \\
\left[ 0,1\right] & \left( if\ x=1\right) \\
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x>1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図の太線として表されています。

図:対応
図:対応

この対応\(f\)は上半連続であるため(確認してください)、先の命題より、\(\mathbb{R} \)上の任意の開集合\(Y\)の上逆像\(f^{+}\left( Y\right) \)は\(\mathbb{R} \)上の開集合になるはずです。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}f^{+}\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \mathbb{R} \right\} =\mathbb{R} \\
f^{+}\left( \left( -1,\frac{1}{2}\right) \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \left( -1,\frac{1}{2}\right) \right\} =\left(
-\infty ,1\right) \cup \left( 1,+\infty \right) \\
f^{+}\left( \left( 0,1\right) \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \left( 0,1\right) \right\} =\phi \\
f^{+}\left( \phi \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \phi \right\} =\phi
\end{eqnarray*}などとなりますが、これらはいずれも\(\mathbb{R} \)上の開集合です。これは先の命題の主張と整合的です。やはり先の命題より、\(\mathbb{R} \)上の任意の閉集合\(Y\)の下逆像\(f^{-}\left( Y\right) \)は\(\mathbb{R} \)上の閉集合になるはずです。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}f^{-}\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \mathbb{R} \not=\phi \right\} =\mathbb{R} \\
f^{-}\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \left[ 0,1\right] \not=\phi \right\} =\mathbb{R} \\
f^{-}\left( \left\{ 0\right\} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \left\{ 0\right\} \not=\phi \right\} =\mathbb{R} \\
f^{-}\left( \phi \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \phi \not=\phi \right\} =\phi
\end{eqnarray*}などとなりますが、これらはいずれも\(\mathbb{R} \)上の閉集合です。これは先の命題の主張と整合的です。

先の命題は対応が上半連続であるための必要十分条件であるため、対応が上半連続ではないことを示す手段としても活用可能です。具体的には、対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、ある開集合\(Y\subset B\)の上逆像\(f^{+}\left( Y\right) \)が\(A\)上の開集合ではなかったり、ある閉集合\(Y\subset B\)の下逆像\(f^{-}\left( Y\right) \)が\(A\)上の閉集合ではない場合、いずれにおいても、\(f\)は上半連続ではないことが先の命題より保証されます。

例(逆像を用いた上半連続性の判定)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
\left[ 0,1\right] & \left( if\ x<1\right) \\
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x\geq 1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図のグレーの領域と太線として表されています(点線を含まない)。

図:対応
図:対応

1点集合\(\left\{ 1\right\} \subset \mathbb{R} \)に注目すると、これは閉集合である一方で、その下逆像は、\begin{equation*}f^{-}\left( \left\{ 1\right\} \right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \left\{ 1\right\} \not=\phi \right\} =\left(
-\infty ,1\right)
\end{equation*}という開集合であるため、先の命題より、\(f\)は上半連続ではありません。

 

逆像を用いた下半連続性の判定

復習になりますが、対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が定義域上の点\(a\in A\)において下半連続であることとは、\begin{equation*}f\left( a\right) \cap U\not=\phi
\end{equation*}を満たす\(B\)上の開集合\(U\)を任意に選んだときに、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ a\in V \\
&&\left( b\right) \ \forall v\in V:f\left( v\right) \cap U\not=\phi
\end{eqnarray*}をともに満たす\(A\)上の開集合\(V\)が存在することを意味します。対応\(f\)が下半連続であることとは、\(f\)が定義域\(A\)上の任意の点において下半連続であることを意味します。対応の上半連続性と同様、対応の下半連続性は写像の連続性を一般化した概念であることを踏まえると、対応の下半連続性に関しても、それを上逆像や下逆像に関する性質として表現できるのではないかという予想が立ちます。実際、対応の下半連続性に関して以下の命題が成り立ちます。

命題(逆像を用いた下半連続性の判定)
位相が導入された集合\(A,B\)に関する対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)に関して、以下の3つの命題\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ f\text{は下半連続である} \\
&&\left( b\right) \ \text{任意の開集合}Y\subset B\text{の下逆像}f^{-}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の開集合である} \\
&&\left( c\right) \ \text{任意の閉集合}Y\subset B\text{の上逆像}f^{+}\left( Y\right) \text{は}A\text{上の閉集合である}
\end{eqnarray*}はお互いに必要十分である。

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例(逆像を用いた下半連続性の判定)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
\left[ 0,1\right] & \left( if\ x<1\right) \\
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x\geq 1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図のグレーの領域と太線として表されています(点線を含まない)。

図:対応
図:対応

この対応\(f\)は下半連続であるため(確認してください)、先の命題より、\(\mathbb{R} \)上の任意の開集合\(Y\)の下逆像\(f^{-}\left( Y\right) \)は\(\mathbb{R} \)上の開集合になるはずです。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}f^{-}\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \mathbb{R} \not=\phi \right\} =\mathbb{R} \\
f^{-}\left( \left( -1,\frac{1}{2}\right) \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \left( -1,\frac{1}{2}\right) \not=\phi \right\} =\mathbb{R} \\
f^{-}\left( \left( 0,1\right) \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \left( 0,1\right) \not=\phi \right\} =\left(
-\infty ,1\right) \\
f^{-}\left( \phi \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \cap \phi \not=\phi \right\} =\phi
\end{eqnarray*}などとなりますが、これらはいずれも\(\mathbb{R} \)上の開集合です。これは先の命題の主張と整合的です。やはり先の命題より、\(\mathbb{R} \)上の任意の閉集合\(Y\)の上逆像\(f^{+}\left( Y\right) \)は\(A\)上の閉集合になるはずです。具体例を挙げると、\begin{eqnarray*}f^{+}\left( \mathbb{R} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \mathbb{R} \right\} =\mathbb{R} \\
f^{+}\left( \left[ 0,1\right] \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \left[ 0,1\right] \right\} =\mathbb{R} \\
f^{+}\left( \left\{ 0\right\} \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \left\{ 0\right\} \right\} =[1,+\infty ) \\
f^{+}\left( \phi \right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \phi \right\} =\phi
\end{eqnarray*}などとなりますが、これらはいずれも\(\mathbb{R} \)上の閉集合です。これは先の命題の主張と整合的です。

先の命題は対応が下半連続であるための必要十分条件であるため、対応が下半連続ではないことを示す手段としても活用可能です。具体的には、対応\(f:A\twoheadrightarrow B\)が与えられたとき、ある開集合\(Y\subset B\)の下逆像\(f^{-}\left( Y\right) \)が\(A\)上の開集合ではなかったり、ある閉集合\(Y\subset B\)の上逆像\(f^{+}\left( Y\right) \)が\(A\)上の閉集合ではない場合、いずれにおいても、\(f\)は下半連続ではないことが先の命題より保証されます。

例(逆像を用いた下半連続性の判定)
対応\(f:\mathbb{R} \twoheadrightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{ll}
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x<1\right) \\
\left[ 0,1\right] & \left( if\ x=1\right) \\
\left\{ 0\right\} & \left( if\ x>1\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。この対応のグラフは下図の太線として表されています。

図:対応
図:対応

1点集合\(\left\{ 0\right\} \subset \mathbb{R} \)に注目すると、これは閉集合である一方で、その上逆像は、\begin{equation*}f^{+}\left( \left\{ 0\right\} \right) =\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \subset \left\{ 0\right\} \right\} =\left( -\infty
,1\right) \cup \left( 1,+\infty \right)
\end{equation*}という開集合であるため、先の命題より、\(f\)は下半連続ではありません。

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