対応 f:X↠Y とその終集合 Y の部分集合 B が与えられたとき、X のそれぞれの要素 x の像 f(x) は Y の部分集合ですが、これは B に部分集合として含まれるか否かのどちらか一方です。そこで、f(x) が B の部分集合になるような X の要素 x からなる集合を f による B の上逆像や強逆像などと呼びます。これは写像による集合の逆像を一般化した概念です。

2019年4月9日:公開

集合の上逆像

対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)とその終集合\(Y\)の部分集合\(B\)が与えられたとき、\(X\)のそれぞれの要素\(x\)の像\(f\left( x\right) \)は\(Y\)の部分集合ですが、これは\(B\)に部分集合として含まれるか否かのどちらか一方です。そこで、\(f\left( x\right) \)が\(B\)の部分集合になるような\(X\)の要素\(x\)からなる集合を、\begin{equation*}
f^{+}\left( B\right) =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) \subset B\right\}
\end{equation*}で表し、これを\(f\)による\(B\)の上逆像(upper inverse
image of \(B\) under \(f\))や強逆像(strong inverse image of \(B\) under \(f\))などと呼びます。\(f^{+}\left( B\right) \)は明らかに\(X\)の部分集合です。

例(集合の上逆像)
下図中の実線および灰色の領域(境界を含む)あわせた領域をグラフとする対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)について考えます。

図:対応による集合の上逆像

図中の\(Y\)の部分集合\(B\)の上逆像\(f^{+}\left( B\right) \)を特定しましょう。図中の\(X\)の部分集合\(A\)に属する点\(x\)を任意に選んだとき、その像\(f\left( x\right) \)はいずれも\(B\)からはみ出ているため\(x\not\in f^{+}\left( B\right) \)です。また、\(A\)に属さない点\(x\)を任意に選んだとき、その像\(f\left( x\right) \)はいずれも\(B\)と交わらないため\(x\not\in f^{+}\left( B\right) \)です。したがって\(f^{+}\left( B\right) =\phi \)となります。

例(集合の上逆像)
下図中の灰色の領域(実線の境界を含む)をグラフとする対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)について考えます。

図:対応による集合の下逆像

図中の\(Y\)の部分集合\(B\)の上逆像\(f^{+}\left( B\right) \)を特定しましょう。図中の\(X\)の部分集合\(A\)に属する点\(x\)を任意に選んだとき、その像\(f\left( x\right) \)はいずれも\(B\)の部分集合であるため\(x\in f^{+}\left( B\right) \)です。また、\(A\)に属さない点\(x\)を任意に選んだとき、その像\(f\left( x\right) \)はいずれも\(B\)からはみ出ているため\(x\not\in f^{+}\left( B\right) \)です。したがって\(f^{+}\left( B\right) =A\)となります。

 

写像による集合の逆像との関係

写像\(f:X\rightarrow Y\)による\(Y\)の部分集合\(B\)の逆像は、\begin{equation*}
f^{-1}\left( B\right) =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) \in B\right\}
\end{equation*}と定義されます。

写像\(f\)が上のように与えられたとき、対応\(g:X\twoheadrightarrow Y\)を、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
g\left( x\right) =\{f\left( x\right) \}
\end{equation*}を定めるものとして定義します。このとき、\begin{align*}
g^{+}\left( B\right) & =\left\{ x\in X\ |\ g\left( x\right) \subset B\right\} \quad \because g^{+}\text{の定義} \\
& =\left\{ x\in X\ |\ \left\{ f\left( x\right) \right\} \subset B\right\} \quad \because g\text{の定義} \\
& =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) \in B\right\} \quad \because f\left( x\right) \in Y \\
& =f^{-1}\left( B\right) \quad \because f^{-1}\text{の定義}
\end{align*}すなわち、\begin{equation*}
g^{+}\left( B\right) =f^{-1}\left( B\right)
\end{equation*}という関係が成り立つため、対応による集合の上逆像は、写像による集合の逆像を拡張した概念だと言えます。

 

終集合の上逆像は始集合と一致する

対応による終集合の上逆像は始集合と一致します。

命題(終集合の上逆像と始集合の関係)
対応\(f:X\twoheadrightarrow Y\)について、\begin{equation*}
f^{+}\left( Y\right) =X
\end{equation*}が成り立つ。
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次回は対応による集合の下逆像について学びます。
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