WIIS

教材一覧
教材一覧
教材検索
VECTOR VALUED FUNCTION

1変数関数とベクトル値関数の合成関数

目次

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

1変数関数とベクトル値関数の合成関数

1変数関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域がベクトル値関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の定義域の部分集合であるものとします。つまり、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\forall x\in X:f\left( x\right) \in Y
\end{equation*}が成り立つということです。関数\(f\)は定義域\(X\)のそれぞれの要素\(x\)に対して値\(f\left( x\right) \)を定めますが、上の条件より点\(f\left( x\right) \)は関数\(g\)の定義域の要素であるため、\(g\)は点\(f\left( x\right) \)に対して値\(g\left( f\left( x\right) \right) \)を定めます。したがって、以上の条件が満たされる場合、それぞれの\(x\in X\)に対して\(g\left( f\left( x\right) \right) \in \mathbb{R} ^{m}\)を値として定める新たなベクトル値関数が定義可能です。このベクトル値関数を、\begin{equation*}g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}
\end{equation*}と表記し、\(f\)と\(g\)の合成関数(composite function)と呼びます。定義より、それぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) =g\left( f\left( x\right) \right) \in \mathbb{R} ^{m}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。

例(1変数関数とベクトル値関数の合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sin \left( x\right)
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left( x^{2}-x,x+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)の値域は明らかに\(g\)の定義域の部分集合であるため合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&g\left( \sin \left( x\right) \right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( \sin ^{2}\left( x\right) -\sin \left( x\right) ,\sin \left(
x\right) +1\right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(多変数関数とベクトル値関数の合成関数)
平面上に描かれた原点\(\left( 0,0\right) \)を中心とする半径\(r>0\)の円周上に存在する点が、時間\(t\)の経過とともに円周上を等速で移動する様子を記述します。角度が\(\theta \in \mathbb{R} \)であるような円周上の点の座標は、\begin{equation*}g\left( \theta \right) =\left( r\cos \left( \theta \right) ,r\sin \left(
\theta \right) \right)
\end{equation*}です。角度の初期値が\(\theta _{0}\)であり、これは単位時間当たり\(v>0\)ずつ一定のペースで変化するのであれば、時点\(t\in \mathbb{R} _{+}\)における角度の大きさは、\begin{equation*}f\left( t\right) =\theta _{0}+vt
\end{equation*}となります。以上を踏まえると、時点\(t\)における円周上の点の座標は、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( t\right) &=&g\left( f\left( t\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&g\left( \theta _{0}+vt\right) \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\left( r\cos \left( \theta _{0}+vt\right) ,r\sin \left( \theta
_{0}+vt\right) \right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}となります。

 

合成関数の定義域

繰り返しになりますが、1変数関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)の値域がベクトル値関数\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)の定義域の部分集合である場合には、つまり、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\forall x\in X:f\left( x\right) \in Y
\end{equation*}が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が定義可能です。一方、上の条件が成り立たない場合には、すなわち、\begin{equation*}\exists x\in X:f\left( x\right) \not\in Y
\end{equation*}が成り立つ場合、関数\(g\)はそもそも上の点\(f\left( x\right) \)において定義されていないため\(g\left( f\left(x\right) \right) \)は定義不可能であり、したがって合成関数\(g\circ f\)は定義不可能です。以上を踏まえると、合成関数\(g\circ f\)の定義域は、\begin{equation*}D\left( g\circ f\right) =\left\{ x\in X\ |\ f\left( x\right) \in Y\right\}
\end{equation*}となります。

例(合成関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},\sqrt{x}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。合成関数\(g\circ f\)の定義域を特定します。関数\(g\)の定義域が\(\mathbb{R} _{++}\)であることを踏まえると、\(g\circ f\)の定義域は、\begin{eqnarray*}D\left( g\circ f\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ f\left( x\right) \in \mathbb{R} _{++}\right\} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ x^{2}>0\right\} \quad \because f\text{の定義} \\
&=&\mathbb{R} \backslash \left\{ 0\right\}
\end{eqnarray*}となります。

例(合成関数の定義域)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =-x^{2}-1
\end{equation*}を定め、関数\(g:\mathbb{R} _{++}\rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} _{++}\)に対して、\begin{equation*}g\left( x\right) =\left( \frac{1}{x},\sqrt{x}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。関数\(f\)がそれぞれの\(x\)に対して定める値\(f\left( x\right) \)は負の実数ですが、関数\(g\)の変数は正の実数であるため、そもそも合成関数\(g\circ f\)は定義不可能です。

次回はベクトル値関数の極限について解説します。

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

ベクトル値関数
ベクトル値関数(曲線)の定義

実数空間もしくはその部分集合を定義域とし、値としてユークリッド空間の点をとる写像をベクトル値関数や曲線などと呼びます。

グラフ
ベクトル値関数のグラフ

ベクトル値関数 f が与えられたとき、y=f(x) を満たすベクトル (x,y) からなる集合を f のグラフと呼びます。

合成関数
合成関数

関数 f の値域が関数 g の定義域の部分集合である場合には、f の定義域のそれぞれの値 x に対して g(f(x)) を定めるような関数が定義可能であり、これを f と g の合成写像と呼びます。

ベクトル値関数
ベクトル値関数による逆像と定義域

ベクトル値関数による点の逆像、集合の逆像、定義域などの概念を定義します。また、ベクトル値関数の定義域を求める方法を解説します。

合成写像
合成写像

集合 A から集合 B への写像 f:A→B と、集合 B から集合 C への写像 g:B→C が与えられたとき、A のそれぞれの要素 a に対して C の要素である g(f(a)) を像として定める写像を作ることができるため、これを f と g の合成写像と呼びます。

合成関数
合成関数の微分

微分可能な関数を合成して得られる関数もまた微分可能です。合成関数の微分公式と、合成関数を微分する際に役立つ連鎖公式について解説します。

ベクトル値関数
ベクトル値関数の極限

1変数のベクトル値関数(曲線)が収束することの意味を解説した上で、さらにイプシロン・デルタ論法を用いて厳密に定義します。

ベクトル値関数
成分関数を用いたベクトル値関数の収束判定

ベクトル値関数(曲線)が収束することと、そのすべての成分関数が収束することは必要十分です。したがって、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論は、1変数関数である成分関数の収束可能性に関する議論に帰着させられます。

ベクトル値関数
点列を用いたベクトル値関数の収束判定

ベクトル値関数(曲線)の収束可能性に関する議論は点列の収束可能性に関する議論に置き換えられます。さらに、点列の収束可能性に関する議論は座標数列の収束可能性に関する議論に置き換えることができるため、結局、ベクトル値関数の収束可能性に関する議論を数列の収束可能性に関する議論に帰着させることができます。

ベクトル値関数
ベクトル値関数の片側極限

1変数のベクトル値関数(曲線)の変数が点に限りなく近づいていく際の経路を指定する形で定義される極限概念を片側極限と呼びます。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

ベクトル値関数