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ベクトル値関数による像と値域

目次

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ベクトル値関数による点の像

ベクトル値関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、始集合の点\(x\in X\)を任意に選ぶと、\(f\)はそれに対して点\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( f_{1}\left( x\right) ,\cdots ,f_{m}\left( x\right)
\right) \in \mathbb{R} ^{m}
\end{equation*}を1つだけ定めます。これを\(f\)による\(x\)の(image)と呼びます。ただし、\(f_{i}:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \ \left( i=1,\cdots ,m\right) \)は\(f\)の成分関数です。

例(ベクトル値関数による点の像)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x^{2}-x,x+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( 2\right) &=&\left( 2^{2}-2,2+1\right) =\left( 2,3\right) \\
f\left( 1\right) &=&\left( 1^{2}-1,1+1\right) =\left( 0,2\right) \\
f\left( 0\right) &=&\left( 0^{2}-0,0+1\right) =\left( 0,1\right) \\
f\left( -1\right) &=&\left( \left( -1\right) ^{2}-\left( -1\right)
,-1+1\right) =\left( 2,0\right) \\
f\left( -2\right) &=&\left( \left( -2\right) ^{2}-\left( -2\right)
,-2+1\right) =\left( 6,-1\right)
\end{eqnarray*}などとなります。

例(ベクトル値関数による点の像)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{3}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( 2+x,3+2x,1-3x\right)
\end{equation*}を定めるものとします。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( 2\right) &=&\left( 2+2,3+2\cdot 2,1-3\cdot 2\right) =\left(
4,7,-5\right) \\
f\left( 1\right) &=&\left( 2+1,3+2\cdot 1,1-3\cdot 1\right) =\left(
3,5,-2\right) \\
f\left( 0\right) &=&\left( 2+0,3+2\cdot 0,1-3\cdot 0\right) =\left(
2,3,1\right) \\
f\left( -1\right) &=&\left( 2+\left( -1\right) ,3+2\left( -1\right)
,1-3\left( -1\right) \right) =\left( 1,1,4\right) \\
f\left( -2\right) &=&\left( 2+\left( -2\right) ,3+2\left( -2\right)
,1-3\left( -2\right) \right) =\left( 0,-1,7\right)
\end{eqnarray*}などとなります。

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)のグラフは、\begin{equation*}G\left( f\right) =\left\{ \left( x,y\right) \in X\times \mathbb{R} ^{m}\ |\ y=f\left( x\right) \right\}
\end{equation*}という\(X\times \mathbb{R} ^{m}\)の部分集合として定義されるため、組\(\left(x,y\right) \in X\times \mathbb{R} ^{m}\)を任意に選ぶと、\begin{equation*}\left( x,y\right) \in G\left( f\right) \Leftrightarrow y=f\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、組\(\left( x,y\right) \)が関数\(f\)のグラフの要素であることと、\(f\)による\(x\)の像が\(y\)であることは必要十分です。

 

ベクトル値関数による集合の像と値域

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)が与えられたとき、始集合の部分集合\(A\subset X\)を任意に選びます。\(f\)は\(A\)のそれぞれの要素\(x\)に対してその像\(f\left( x\right) \)を定めますが、これらの像をすべて集めてできる集合を、\begin{eqnarray*}f\left( A\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in A\right\} \\
&=&\left\{ \left( f_{1}\left( x\right) ,\cdots ,f_{m}\left( x\right) \right)
\in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in A\right\}
\end{eqnarray*}と表記し、これを\(f\)による\(A\)の(image)と呼びます。それぞれの\(x\in A\)に対して\(f\left( x\right) \)は\(\mathbb{R} ^{m}\)の点であるため、\(f\left( A\right) \)は\(\mathbb{R} ^{m}\)の部分集合です。

例(ベクトル値関数の値域)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x^{2}-x,x+1\right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)のグラフは以下の通りです。

図:ベクトル値関数のグラフ
図:ベクトル値関数のグラフ

\(f\)の値域は、\begin{eqnarray*}R\left( f\right) &=&f\left( \mathbb{R} \right) \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because \text{像の定義} \\
&=&\left\{ \left( x^{2}-x,x+1\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}であり、これを図示したものが以下です。

図:ベクトル値関数の値域
図:ベクトル値関数の値域
例(ベクトル値関数の値域)
関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( \cos \left( x\right) ,\sin \left( x\right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。この関数\(f\)のグラフは以下の通りです。

図:ベクトル値関数のグラフ
図:ベクトル値関数のグラフ

\(f\)の値域は、\begin{eqnarray*}R\left( f\right) &=&f\left( \mathbb{R} \right) \quad \because \text{値域の定義} \\
&=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because \text{像の定義} \\
&=&\left\{ \left( \cos \left( x\right) ,\sin \left( x\right) \right) \in \mathbb{R} ^{2}\ |\ x\in \mathbb{R} \right\} \quad \because f\text{の定義}
\end{eqnarray*}であり、これを図示したものが以下です。

図:ベクトル値関数の値域
図:ベクトル値関数の値域
例(ベクトル値関数による像)
太陽の位置を原点とする3次元空間\(\mathbb{R} ^{3}\)について考えます。関数\(f:\mathbb{R} _{+}\rightarrow \mathbb{R} ^{3}\)はそれぞれの時点\(t\in \mathbb{R} _{+}\)における惑星の位置\begin{equation*}f\left( x\right) =\left( x\left( t\right) ,y\left( t\right) ,z\left(
t\right) \right)
\end{equation*}を与えるものとします。時点\(t\)が\(0\)から\(1\)まで経過する間に惑星が通過する軌跡は、\begin{equation*}f\left( \left[ 0,1\right] \right) =\left\{ \left( x\left( t\right) ,y\left(
t\right) ,z\left( t\right) \right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ x\in \left[ 0,1\right] \right\}
\end{equation*}となります。\(f\)の値域は、\begin{equation*}f\left( \mathbb{R} _{+}\right) =\left\{ \left( x\left( t\right) ,y\left( t\right) ,z\left(
t\right) \right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ x\in \mathbb{R} \right\}
\end{equation*}ですが、これは惑星の軌道に相当します。

例(ベクトル値関数による像)
空集合は任意の集合の部分集合であるため、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)による空集合\(\phi \subset X\)の像を考えることもできます。関数による集合の像の定義より、これは、\begin{equation*}f(\phi )=\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in \phi \right\}
\end{equation*}となりますが、\(x\in \phi \)は恒偽式であるため\(f\left(\phi \right) =\phi \)となります。つまり、空集合の像は空集合です。

繰り返しになりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} ^{m}\)による始集合の部分集合\(A\subset X\)の像は、\begin{equation*}f\left( A\right) =\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in A\right\}
\end{equation*}と定義されるため、任意の要素\(y\in \mathbb{R} ^{m}\)について、\begin{eqnarray*}y\in f\left( A\right) &\Leftrightarrow &\exists x\in A:y=f\left( x\right)
\quad \because f\left( A\right) \text{の定義} \\
&\Leftrightarrow &\exists x\in A:\left( x,y\right) \in G\left( f\right)
\quad \because G\left( f\right) \text{の定義}
\end{eqnarray*}という関係が成り立ちます。以上を踏まえると、\(f\)による\(A\subset X\)の像を、\begin{eqnarray*}f\left( A\right) &=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in A\right\} \\
&=&\left\{ y\in \mathbb{R} ^{m}\ |\ \exists x\in A:y=f\left( x\right) \right\} \\
&=&\left\{ y\in \mathbb{R} ^{m}\ |\ \exists x\in A:\left( x,y\right) \in G\left( f\right) \right\}
\end{eqnarray*}などと様々な形で表現できます。特に、\(A=X\)の場合には、\begin{eqnarray*}R\left( f\right) &=&f\left( X\right) \\
&=&\left\{ f\left( x\right) \in \mathbb{R} ^{m}\ |\ x\in X\right\} \\
&=&\left\{ y\in \mathbb{R} ^{m}\ |\ \exists x\in X:y=f\left( x\right) \right\} \\
&=&\left\{ y\in \mathbb{R} ^{m}\ |\ \exists x\in X:\left( x,y\right) \in G\left( f\right) \right\}
\end{eqnarray*}となり、\(f\)の値域\(R\left( f\right) \)を上のように様々な形で表現できます。

次回はベクトル値関数による逆像と定義域について解説します。

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