WIIS

多変数関数

多変数の多項式関数

目次

関連知識

Mailで保存
Xで共有

多変数の多項式関数

多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in X\)に対して定める値が、非負の整数\(n\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k_{1},\cdots ,k_{n}}\in \mathbb{R} \ \left( k_{i}=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sum_{k_{1}=0}^{n}\cdots \sum_{k_{n}=0}^{n}c_{k_{1},\cdots
,k_{n}}x_{1}^{k_{1}}\cdots x_{n}^{k_{n}}
\end{equation*}という形で表すことができる場合には\(f\)を多項式関数(polynomials function)と呼びます。また、多項式関数\(f\)がそれぞれの\(x\)に対して定める値\(f\left( x\right) \)を多項式(polynomials)と呼びます。多項式を構成する、\begin{equation*}c_{k_{1},\cdots ,k_{n}}x_{1}^{k_{1}}\cdots x_{n}^{k_{n}}
\end{equation*}を多項式の(term)と呼びます。\(c_{k_{1},\cdots,k_{n}}\not=0\)である場合、項の次数は、\begin{equation*}k_{1}+\cdots +k_{n}
\end{equation*}と定義されます。また、最大の次数を持つ項の次数を多項式\(f\)そのものの次数とみなします。

例(多変数の多項式関数)
多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{n}\rightarrow \mathbb{R} \)がそれぞれの\(x\in \mathbb{R} ^{n}\)に対して定める値が、非負の整数\(n\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k_{1},\cdots ,k_{n}}\in \mathbb{R} \ \left( k_{i}=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{equation*}f\left( x\right) =\sum_{k_{1}=0}^{n}\cdots \sum_{k_{n}=0}^{n}c_{k_{1},\cdots
,k_{n}}x_{1}^{k_{1}}\cdots x_{n}^{k_{n}}
\end{equation*}という形で表すことができるとき、この\(f\)は多項式関数です。つまり、多項式関数は\(\mathbb{R} ^{n}\)上に定義可能です。
例(多変数の多項式関数)
2変数関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が多項式関数であることとは、\(f\)がそれぞれの\(\left( x,y\right) \in X\)に対して定める値が非負の整数\(n\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k_{1},k_{2}}\in \mathbb{R} \ \left( k_{i}=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{eqnarray*}f\left( x,y\right)
&=&\sum_{k_{1}=0}^{n}\sum_{k_{2}=0}^{n}c_{k_{1},k_{2}}x^{k_{1}}y^{k_{2}} \\
&=&c_{n,n}x^{n}y^{n}+c_{n,n-1}x^{n}y^{n-1}+\cdots +c_{0,0}
\end{eqnarray*}という形で表すことができることを意味します。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( x,y\right) &=&2x^{2}y^{2}-3x^{2}y+5x^{2}+6xy^{2}-xy-7x+4y^{2}+3y-1
\\
g\left( x,y\right) &=&5x^{5}+x^{4}-x^{2}+1 \\
h\left( x,y\right) &=&3
\end{eqnarray*}などはいずれも2変数の多項式関数です。ちなみに、\(f\)の次数は\(4\)、\(g\)の次数は\(5\)、\(h\)の次数は\(0\)です。一方、\begin{equation*}i\left( x,y\right) =3x^{3}y-xy+\sqrt{x}
\end{equation*}は多項式ではありません。なぜなら、\begin{equation*}
\sqrt{x}=x^{\frac{1}{2}}
\end{equation*}であり、この項の次数\(\frac{1}{2}\)は非負の整数ではないからです。
例(多変数の多項式関数)
3変数関数\(f:\mathbb{R} ^{3}\supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が多項式関数であることとは、\(f\)がそれぞれの\(\left( x,y,z\right) \in X\)に対して定める値が非負の整数\(n\in \mathbb{Z} _{+}\)と実数\(c_{k_{1},k_{2},k_{3}}\in \mathbb{R} \ \left( k_{i}=0,1,\cdots ,n\right) \)を用いて、\begin{eqnarray*}f\left( x,y,z\right)
&=&\sum_{k_{1}=0}^{n}\sum_{k_{2}=0}^{n}\sum_{k_{3}=0}^{n}c_{k_{1},k_{2},k_{3}}x^{k_{1}}y^{k_{2}}z^{k_{3}} \\
&=&c_{n,n,n}x^{n}y^{n}z^{n}+c_{n,n,n-1}x^{n}y^{n}z^{n-1}+\cdots +c_{0,0,0}
\end{eqnarray*}という形で表すことができることを意味します。例えば、\begin{eqnarray*}
f\left( x,y,z\right) &=&3x^{3}y^{3}z^{3}+2x^{2}y^{2}z^{2}-5xy^{2}+7z \\
g\left( x,y,z\right) &=&5x^{5}+3y \\
h\left( x,y,z\right) &=&7
\end{eqnarray*}などはいずれも3変数の多項式関数です。ちなみに、\(f\)の次数は\(9\)、\(g\)の次数は\(5\)、\(h\)の次数は\(0\)です。
例(多変数の多項式関数)
3辺の長さがそれぞれ\(x,y,z\)であるような直方体の体積は、\begin{equation*}f\left( x,y,z\right) =xyz
\end{equation*}ですが、この\(f\)は変数\(x,y,z\)に関する多項式関数です。3辺の長さがそれぞれ\(x,y,z\)であるような直方体の表面積は、\begin{equation*}g\left( x,y,z\right) =2xy+2yz+2xz
\end{equation*}ですが、この\(g\)もまた変数\(x,y,z\)に関する多項式関数です。
例(多変数の多項式関数)
店には\(n\)種類の商品が売っており、それぞれの商品\(k\ \left( =1,\cdots ,n\right) \)の価格が\(p_{k}>0\)であるものとします。\(p_{k}\)は定数です。商品\(k\)の購入量を\(x_{k}\geq 0\)で表記します。商品の購入量の組が\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{n}\)である場合の合計金額(税抜き)は、\begin{equation*}f\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =p_{1}x_{1}+\cdots +p_{n}x_{n}
\end{equation*}ですが、この\(f\)は変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に関する多項式関数です。消費税が\(10\)\% 課されるのであれば、商品の購入量の組が\(\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \in \mathbb{R} _{+}^{n}\)である場合の合計金額(税込み)は、\begin{equation*}g\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =1.1\left( p_{1}x_{1}+\cdots
+p_{n}x_{n}\right)
\end{equation*}ですが、この\(g\)もまた変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に関する多項式関数です。
例(多変数の多項式関数)
不快指数(temperature-humidity index)とは夏の蒸し暑さを表す指数です。具体的には、気温(摂氏)が\(x\)であり、湿度(% )が\(y\)である場合の不快指数は、\begin{equation*}f\left( x,y\right) =0.81x+0.01y\left( 0.99x-14.3\right) +46.3
\end{equation*}と定義されます。この\(f\)は変数\(x,y\)に関する多項式関数です。例えば、気温が\(30\)度で湿度が\(80\)% である場合の不快指数は、\begin{eqnarray*}f\left( 30,80\right) &=&0.81\cdot 30+0.01\cdot 80\left( 0.99\cdot
30-14.3\right) +46.3 \\
&=&82.92
\end{eqnarray*}です。また、気温が\(35\)度で湿度が\(50\)% である場合の不快指数は、\begin{eqnarray*}f\left( 35,50\right) &=&0.81\cdot 35+0.01\cdot 50\left( 0.99\cdot
35-14.3\right) +46.3 \\
&=&84.825
\end{eqnarray*}です。

 

演習問題

問題(多変数の多項式関数)
以下のように定義される多変数関数\(f:\mathbb{R} ^{2}\rightarrow \mathbb{R} \)は多項式関数ですか。理由とともに答えてください。また、多項式関数である場合にはその次数を特定してください。

  1. \(f\left( x,y\right) =x+xy-y\)
  2. \(f\left( x,y\right) =x^{2}+xy^{4}+\frac{x}{y}-2y^{3}\)
  3. \(f\left( x,y\right) =x^{2}+1.2xy^{4}+x^{2}y^{4}-9\)
  4. \(f\left( x,y\right) =x+y+9^{\left( -1\right) }\)
  5. \(f\left( x,y\right) =5x^{10}y+11x^{2}y^{5}+3x^{5}y^{3}\)
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関連知識

Mailで保存
Xで共有

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです

会員登録

有料のプレミアム会員であれば、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題とその解答)へのアクセスなどが可能になります。

ワイズのユーザーは年齢・性別・学歴・社会的立場などとは関係なく「学ぶ人」として対等であり、お互いを人格として尊重することが求められます。ユーザーが快適かつ安心して「学ぶ」ことに集中できる環境を整備するため、広告やスパム投稿、他のユーザーを貶めたり威圧する発言、学んでいる内容とは関係のない不毛な議論などはブロックすることになっています。詳細はガイドラインをご覧ください。

誤字脱字、リンク切れ、内容の誤りを発見した場合にはコメントに投稿するのではなく、以下のフォームからご連絡をお願い致します。

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録