ユークリッド空間上の点列という概念を定義します。点列は数列を一般化した概念です。
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点列

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の無限個の点を順番に並べたもの\begin{equation*}
x_{1},x_{2},\cdots ,x_{v},\cdots
\end{equation*}を\(\mathbb{R} ^{n}\)における点列(sequence of points)と呼びます。数学では有限個の\(\mathbb{R} ^{n}\)の点を並べたものを点列として扱いません。点列は無限に続く点の列です。

点列をフォーマルな形で表現します。繰り返しになりますが、点列とは無限個の\(\mathbb{R} ^{n}\)の点を順番に並べたものであるため、それを総体的に表現するためには、点列を構成する1番目の点\(x_{1}\)、2番目の点\(x_{2}\)、3番目の点\(x_{3}\)、\(\cdots \)などをすべて特定する必要があります。点列は無限個の点の並びですが、このような作業を実際に無限回行うことは不可能です。ただ、このような作業を「それぞれの自然数\(v\in \mathbb{N} \)に対して点\(x_{v}\in \mathbb{R} ^{n}\)を1つずつ定めること」として一般化できるため、点列を表現することとは、\(\mathbb{N} \)から\(\mathbb{R} ^{n}\)への写像を与えることと実質的に同じです。そのようなこともあり、点列を写像\begin{equation*}
x:\mathbb{N} \rightarrow
\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}として定義することもできます。この写像\(x\)がそれぞれの自然数\(v\)に対して定める像\(x\left( v\right) \)は、点列を構成する\(v\)番目の点です。

通常、写像\(f:A\rightarrow B\)が定義域の値\(a\in A\)に対して定める像を\(f\left( a\right) \in B\)と表記しますが、点列に相当する写像\(x:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{R} ^{n}\)が自然数\(v\in \mathbb{N} \)に対して定める像\(x\left( v\right) \in \mathbb{R} ^{n}\)に関しては、これを、\begin{equation*}
x_{v}
\end{equation*}と表記し、点列の(term)と呼びます。点列を\(\left\{ x_{v}\right\} _{v=1}^{\infty }\)や\(\left\{ x_{v}\right\} _{v\in \mathbb{N} }\)、もしくはよりシンプルに\(\left\{ x_{v}\right\} \)と表現することもできます。

自然数を\(1\)から始まる整数と定義するのであれば、点列を構成する前から\(v\)番目の項は\(x_{v}\)であり、これを点列の第\(v\)項(\(v\)-th term)と呼びます。特に、点列の最初の項\(x_{1}\)を初項(first term)と呼びます。

点列の第\(v\)項\(x_{v}\)が具体的な形で与えられているならば、\(x_{v}\)中の\(v\)に具体的な自然数を代入することにより、すべての項を具体的な形で明らかにできます。つまり、\(x_{v}\)は点列のすべての項を一般化した表現と考えられるため、これを一般項(general term)と呼ぶこともあります。点列の一般項\(x_{v}\)の形が分かっている場合には、その点列を「一般項が\(x_{v}\)の点列」と呼ぶこともできます。

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\{x_{v}\}\)の一般項\(x_{v}\)は\(n\)次元ベクトルですが、その成分を明示したい場合には、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },\cdots
,x_{v}^{\left( n\right) }\right) \in
\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}と表記することとします。この表記にしたがうと、点列\(\{x_{v}\}\)の各項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\left( x_{1}^{\left( 1\right) },x_{1}^{\left( 2\right) },\cdots
,x_{1}^{\left( n\right) }\right) \\
x_{2} &=&\left( x_{2}^{\left( 1\right) },x_{2}^{\left( 2\right) },\cdots
,x_{2}^{\left( n\right) }\right) \\
&&\vdots \\
x_{v} &=&\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },\cdots
,x_{v}^{\left( n\right) }\right) \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}という形になります。つまり、\(x_{v}^{\left( i\right) }\)は点列\(\{x_{v}\}\)の第\(v\)項の第\(i\)成分に相当する実数です。

例(点列)
\(1\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)における点列\(x:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの自然数\(v\in \mathbb{N} \)に対して実数\(x_{v}\in \mathbb{R} \)を1つずつ定める写像であり、これは数列に他なりません。つまり、点列は数列を拡張した概念であり、逆に点列の特殊ケースが数列です。例えば、\(\mathbb{R} \)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=2\left( 3^{v-1}\right)
\end{equation*}で与えられているとき、この点列の各項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&2\left( 3^{0}\right) =2 \\
x_{2} &=&2\left( 3^{1}\right) =6 \\
x_{3} &=&2\left( 3^{2}\right) =18 \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}となります。
例(点列)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)における点列\(x:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{R} ^{2}\)はそれぞれの自然数\(v\in \mathbb{N} \)に対して2次元ベクトル\(x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)を1つずつ定める写像です。例えば、\(\mathbb{R} ^{2}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( v,\frac{1}{v}\right)
\end{equation*}で与えられているとき、この点列の各項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\left( x_{1}^{\left( 1\right) },x_{1}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( 1,1\right) \\
x_{2} &=&\left( x_{2}^{\left( 1\right) },x_{2}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( 2,\frac{1}{2}\right) \\
x_{3} &=&\left( x_{3}^{\left( 1\right) },x_{3}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( 3,\frac{1}{3}\right) \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}となります。
例(点列)
\(3\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{3}\)における点列\(x:\mathbb{N} \rightarrow \mathbb{R} ^{3}\)はそれぞれの自然数\(v\in \mathbb{N} \)に対して3次元ベクトル\(x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },x_{v}^{\left( 3\right) }\right) \in \mathbb{R} ^{3}\)を1つずつ定める写像です。例えば、\(\mathbb{R} ^{3}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },x_{v}^{\left(
3\right) }\right) =\left( v,v^{2},v^{3}\right)
\end{equation*}で与えられているとき、この点列の各項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\left( x_{1}^{\left( 1\right) },x_{1}^{\left( 2\right)
},x_{1}^{\left( 3\right) }\right) =\left( 1,1^{2},1^{3}\right) \\
x_{2} &=&\left( x_{2}^{\left( 1\right) },x_{2}^{\left( 2\right)
},x_{2}^{\left( 3\right) }\right) =\left( 2,2^{2},2^{3}\right) \\
x_{3} &=&\left( x_{3}^{\left( 1\right) },x_{3}^{\left( 2\right)
},x_{3}^{\left( 3\right) }\right) =\left( 3,3^{2},3^{3}\right) \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}となります。

 

座標数列

繰り返しになりますが、ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\{x_{v}\}\)の一般項は、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },\cdots
,x_{v}^{\left( n\right) }\right) \in
\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}という\(n\)次元ベクトルであるため、その第\(k\in \left\{ 1,2,\cdots ,n\right\} \)成分\(x_{v}^{\left( k\right) }\)に注目すると、それを一般項とする数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)が得られます。つまり、数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)の第\(v\)項はもとの点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(v\)項の第\(k\)成分に相当する実数です。このような数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)をもとの点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の第\(k\)座標数列(\(k\) th coordinate sequence)と呼びます。どの成分に注目するかにより、\(\mathbb{R} ^{n}\)の点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)からは\(n\)個の座標数列\begin{equation*}
\left\{ x_{v}^{\left( 1\right) }\right\} ,\left\{ x_{v}^{\left( 2\right)
}\right\} ,\cdots ,\left\{ x_{v}^{\left( n\right) }\right\}
\end{equation*}を得ることができます。

例(座標数列)
\(2\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{2}\)における点列\(\left\{ x_{v}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) }\right)
=\left( v,\frac{1}{v}\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。この点列\(\left\{ x_{1}\right\} \)の第\(1\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( 1\right) }\right\} \)の一般項は、\begin{equation*}
x_{v}^{\left( 1\right) }=v
\end{equation*}であり、第\(2\)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( 2\right) }\right\} \)の一般項は、\begin{equation*}
x_{v}^{\left( 2\right) }=\frac{1}{v}
\end{equation*}です。
例(座標数列)
\(3\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{3}\)における点列一般項が、\begin{equation*}
x_{v}=\left( x_{v}^{\left( 1\right) },x_{v}^{\left( 2\right) },x_{v}^{\left(
3\right) }\right) =\left( v,v^{2},v^{3}\right)
\end{equation*}で与えられているものとします。この点列の第\(k\ \left( =1,2,3\right) \)座標数列\(\left\{ x_{v}^{\left( k\right) }\right\} \)の一般項は、\begin{equation*}
x_{v}^{\left( k\right) }=v^{k}
\end{equation*}です。

次回は点列の収束について学びます。

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