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ユークリッド空間における閉包を用いた閉集合の判定

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閉集合であることの判定

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、その閉包\(A^{a}\)は、\begin{equation}A\subset A^{a} \quad \cdots (1)
\end{equation}という関係を常に満たす一方で、\begin{equation}
A^{a}\subset A \quad \cdots (2)
\end{equation}を満たすとは限りません。一方、\(A\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合である場合、そしてその場合にのみ\(\left( 2\right) \)が成り立ちます。つまり、\(\left(2\right) \)が成り立つことと\(A\)が閉集合であることは必要十分です。したがって、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が閉集合であることを示すためには、\(A\)の任意の触点が\(A\)の要素であることを示せばよいということになります。\(\left( 1\right) \)は常に成り立つことを踏まえると、\(\left( 2\right) \)は、\begin{equation*}A^{a}=A
\end{equation*}と必要十分です。したがって、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が閉集合であることを示すためには、\(A\)の閉包\(A^{a}\)を特定した上で、それが\(A\)と一致することを示してもよいということになります。

例(点の閉近傍は閉集合)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍は、\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。\(n=1\)の場合、これは有界な閉区間\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left[ a-x,a+x\right] \end{equation*}と一致し、\(n=2\)の場合、これは点\(a\)を中心とする円盤(境界を含む)\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ \sqrt{\left( x_{1}-a_{1}\right) ^{2}+\left( x_{2}-a_{2}\right) ^{2}}\leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}と一致します。いずれにせよ、この集合の閉包は、\begin{equation*}
\left( C_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{a}=C_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}を満たすため、\(C_{\varepsilon}\left( a\right) \)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合です。
例(1点集合は閉集合)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を任意に選んだ上で、その点だけを要素とする\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\begin{equation*}\left\{ a\right\}
\end{equation*}を定義します。この集合の閉包は、\begin{equation*}
\left\{ a\right\} ^{a}=\left\{ a\right\}
\end{equation*}を満たすため、\(\left\{ a\right\} \)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合です。
例(ユークリッド空間は閉集合)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の閉包は、\begin{equation*}\left( \mathbb{R} ^{n}\right) ^{a}=\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}を満たすため、\(\mathbb{R} ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合です。

 

閉集合ではないことの判定

逆に、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、\begin{equation*}A^{a}\not\subset A
\end{equation*}が成り立つことや、もしくは、\begin{equation*}
A^{a}\not=A
\end{equation*}が成り立つことはいずれも\(A\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合ではないことと必要十分です。したがって、\(A\)が閉集合でないことを示すためには、\(A\)の触点の中に\(A\)の要素でないものが存在することを示せばよいということになります。もしくは、\(A\)の閉包が\(A\)と一致しない場合にも\(A\)は閉集合ではありません。

ちなみに、閉集合でないことは開集合であることを必ずしも意味しないため注意が必要です。

例(点の近傍は閉集合ではない)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする(開)近傍は、\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。\(n=1\)の場合、これは有界な開区間\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left( a-x,a+x\right)
\end{equation*}と一致し、\(n=2\)の場合、これは点\(a\)を中心とする円盤(境界を除く)\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ \sqrt{\left( x_{1}-a_{1}\right) ^{2}+\left( x_{2}-a_{2}\right) ^{2}}<\varepsilon \right\}
\end{equation*}と一致します。いずれにせよ、この集合の閉包は、\begin{equation*}
\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{a}=C_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}ですが、近傍\(N_{\varepsilon }\left(a\right) \)は閉近傍\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の真部分集合であるため、\begin{equation*}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{a}\not=N_{\varepsilon
}\left( a\right)
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合ではありません。
例(有理数空間の直積の閉包は閉集合ではない)
有限\(n\)個の有理数空間の直積\(\mathbb{Q} ^{n}\)の閉包は、\begin{equation*}\left( \mathbb{Q} ^{n}\right) ^{a}=\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}であるため、\begin{equation*}
\left( \mathbb{Q} ^{n}\right) ^{a}\not=\mathbb{Q} ^{n}
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\(\mathbb{Q} ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合ではありません。
例(無理数空間の直積の閉包は閉集合ではない)
有限\(n\)個の無理数空間の直積\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の閉包は、\begin{equation*}\left( \left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\right) ^{a}=\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}であるため、\begin{equation*}
\left( \left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\right) ^{a}\not=\mathbb{Q} ^{n}
\end{equation*}が成り立ちます。したがって、\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の閉集合ではありません。

次回はユークリッド空間の部分集合の集積点(極限点)について解説します。

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