教材一覧
EUCLIDEAN TOPOLOGY

内点・内部

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

内点

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)の近傍の中に\(A\)の部分集合であるようなものが存在するならば、すなわち、\begin{equation*}\exists \varepsilon >0:N_{\varepsilon }\left( a\right) \subset A
\end{equation*}が成り立つならば、\(a\)を\(A\)の内点(interior point)と呼びます。ただし、点の近傍は、\begin{eqnarray*}N_{\varepsilon }\left( a\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\} \quad \because \text{近傍の定義} \\
&=&\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ \sqrt{\sum_{i=1}^{n}\left( x_{i}-a_{i}\right) ^{2}}<\varepsilon
\right\} \quad \because \text{距離の定義}
\end{eqnarray*}と定義されます。したがって、点\(a\)が集合\(A\)の内点であることとは、十分小さい距離\(\varepsilon \)を選べば、\(a\)からの距離が\(\varepsilon \)よりも小さい場所にある\(\mathbb{R} ^{n}\)上の任意の点が\(A\)の点であることが保証されることを意味します。

一般に、集合\(X\)が集合\(Y\)の部分集合であることは\(X\)が\(Y\)の補集合\(Y^{c}\)と交わらないことは必要十分です。したがって、点\(a\)が集合\(A\)の内点であることを、\begin{equation*}\exists \varepsilon >0:N_{\varepsilon }\left( a\right) \cap A^{c}=\phi
\end{equation*}と表現することもできます。つまり、点\(a\)の近傍の中に\(A\)の補集合と交わらないものが存在するならば\(a\)は\(A\)の内点です。

繰り返しになりますが、集合\(A\)の内点\(a\)が与えられたとき、定義より、\begin{equation*}\exists \varepsilon >0:N_{\varepsilon }\left( a\right) \subset A
\end{equation*}が成り立ちます。近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)はその中心\(a\)を要素として持つため、上の関係より、\(a\)は\(A\)の要素でもあります。つまり、集合\(A\)の内点は必ず\(A\)の要素であるということです。言い換えると、\(A\)の要素ではない点は\(A\)の内点になり得ないため、\(A\)の内点を探す際には\(A\)の点だけを候補としても問題ありません。

命題(集合の内点はその集合の要素)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)に対して、\(A\)の任意の内点は\(A\)の要素である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

例(点の近傍の内点)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする近傍は、\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。この近傍の点\(b\in N_{\varepsilon }\left(a\right) \)を任意に選ぶと、近傍系の性質より、\begin{equation*}\exists \delta >0:N_{\delta }\left( b\right) \subset N_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}が成り立ちますが、これは点\(b\)が\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の内点であることを意味します。\(N_{\varepsilon }\left(a\right) \)の任意の点\(b\)について同様の議論が成立するため、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の任意の要素は\(N_{\varepsilon}\left( a\right) \)の内点であることが明らかになりました。また、先の命題より\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の要素ではない点は\(N_{\varepsilon}\left( a\right) \)の内点ではありません。したがって、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)のすべての内点からなる集合は\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)です。
例(点の閉近傍の内点)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍は、\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。この閉近傍\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の点の中でも\(d\left( b,a\right) <\varepsilon \)を満たす点\(b\in \mathbb{R} ^{n}\)、すなわち点\(a\)の近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の要素であるような点\(b\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\delta =\varepsilon -d\left( b,a\right) >0
\end{equation*}とおけば\(N_{\delta }\left( b\right) \subset C_{\varepsilon }\left( a\right) \)が成り立つため、\(b\)が\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の内点であることが示されます(演習問題にします)。一方、\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の点の中でも\(d\left( b,a\right) =\varepsilon \)を満たす点\(b\in \mathbb{R} ^{n}\)を任意に選んだとき、これに対して\(N_{\delta }\left(b\right) \subset C_{\varepsilon }\left( a\right) \)を満たす\(\delta >0\)は存在しないため、\(b\)は\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の内点ではありません(演習問題にします)。また、先の命題より\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の要素ではない任意の点は\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の内点ではありません。したがって、\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)のすべての内点からなる集合は\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)です。
例(有理数空間の直積の内点)
\(n\)個の有理数空間の直積\(\mathbb{Q} ^{n}\)について考えます。\(n\in \mathbb{N} \)です。点\(a\in \mathbb{Q} ^{n}\)と半径\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだ上で近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)を作ると、無理数の稠密性より、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の中には無理数を成分とする点\(b\in \mathbb{R} ^{n}\backslash \mathbb{Q} ^{n}\)が必ず存在する(演習問題にします)ため\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\mathbb{Q} ^{n}\)の部分集合ではなく、したがって\(a\)は\(\mathbb{Q} ^{n}\)の内点ではありません。\(\mathbb{Q} ^{n}\)の任意の点\(a\)について同様の議論が成立するため、\(\mathbb{Q} ^{n}\)の任意の点は\(\mathbb{Q} ^{n}\)の内点ではありません。また、先の命題より\(\mathbb{Q} ^{n}\)の要素ではない任意の点は\(\mathbb{Q} ^{n}\)の内点ではありません。したがって\(\mathbb{Q} ^{n}\)は内点を持ちません。
例(無理数空間の直積の内点)
\(n\)個の無理数空間の直積\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)について考えます。\(n\in \mathbb{N} \)です。点\(a\in \left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)と半径\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだ上で近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)を作ると、有理数の稠密性より、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)の中には有理数を成分とする点\(b\in \mathbb{Q} ^{n}\)が必ず存在する(演習問題にします)ため\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の部分集合ではなく、したがって\(a\)は\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の内点ではありません。\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の任意の点\(a\)について同様の議論が成立するため、\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の任意の点は\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の内点ではありません。また、先の命題より\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の要素ではない任意の点は\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の内点ではありません。したがって\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)は内点を持ちません。
例(ユークリッド空間の内点)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)について考えます。\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)と\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだ上で近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)を作ると、これは明らかに\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合であるため\(a\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)の内点です。\(\mathbb{R} ^{n}\)の任意の点\(a\)について同様の議論が成立するため、\(\mathbb{R} ^{n}\)のすべての内点からなる集合は\(\mathbb{R} ^{n}\)であることが明らかになりました。

 

内部

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)のすべての内点からなる集合を\(A\)の内部(interior)や開核(open kernel)などと呼び、\begin{equation*}A^{i},\quad A^{\circ },\quad \mathrm{int}\left( A\right)
\end{equation*}などで表記します。定義より、任意の点\(x\in \mathbb{R} ^{n}\)に対して、\begin{eqnarray*}x\in A^{i} &\Leftrightarrow &\exists \varepsilon >0:N_{\varepsilon }\left(
x\right) \subset A\quad \because \text{内部の定義} \\
&\Leftrightarrow &\exists \varepsilon >0:N_{\varepsilon }\left( x\right)
\cap A^{c}=\phi \quad \because \subset \text{の定義}
\end{eqnarray*}などの関係が成り立ちます。

例(点の近傍の内部)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする近傍\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\}
\end{equation*}について考えます。先に確認したように、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)のすべての内点からなる集合は\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)であるため、\begin{equation*}\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{i}=N_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}となります。
例(点の閉近傍の内部)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}について考えます。先に確認したように、\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)のすべての内点からなる集合は\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)であるため、\begin{equation*}\left( C_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{i}=N_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}となります。
例(有理数空間の直積の内部)
先に確認したように、\(n\)個の有理数空間の直積\(\mathbb{Q} ^{n}\)は内点を持たないため、\begin{equation*}\left( \mathbb{Q} ^{n}\right) ^{i}=\phi
\end{equation*}となります。
例(無理数空間の直積の内部)
先に確認したように、\(n\)個の無理数空間の直積\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)は内点を持たないため、\begin{equation*}\left( \left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\right) ^{i}=\phi
\end{equation*}となります。
例(ユークリッド空間の内部)
先に確認したように、ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)のすべての内点からなる集合は\(\mathbb{R} ^{n}\)であるため、\begin{equation*}\left( \mathbb{R} ^{n}\right) ^{i}=\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}となります。

 

内部を用いて開集合であることを判定する

先に示したように、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)の内点は\(A\)の要素であるため、\(A\)の内部は\(A\)の部分集合です。つまり、\(A^{i}\subset A\)という関係が常に成り立ちます。

命題(集合の内部はその集合の部分集合)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}A^{i}\subset A
\end{equation*}という関係が成り立つ。

逆に、\(A\subset A^{i}\)という関係もまた成り立つのでしょうか。以下の例が示唆するように、この関係は成立するとは限りません。

例(集合と内部の関係)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)と開近傍\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)に注目します。具体的には、\begin{eqnarray*}C_{\varepsilon }\left( a\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\} \\
N_{\varepsilon }\left( a\right) &=&\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\}
\end{eqnarray*}です。定義より、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の真部分集合であるため\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \subset N_{\varepsilon}\left( a\right) \)は成り立ちません。一方、先に示したように\(\left( C_{\varepsilon }\left( a\right)\right) ^{i}=N_{\varepsilon }\left( a\right) \)であるため、これは\(C_{\varepsilon }\left(a\right) \subset \left( C_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{i}\)が成り立たないことを意味します。

では、どのような条件のもとで\(A\subset A^{i}\)という関係が成立するのでしょうか。実は、\(A\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合である場合、そしてその場合にのみ\(A\subset A^{i}\)という関係もまた成立します。

命題(内部による開集合の特徴づけ)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)について、\(A\subset A^{i}\)が成り立つことは、\(A\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合であるための必要十分条件である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

以上の2つの命題を踏まえると、開集合を以下のように特徴づけられます。

命題(内部による開集合の特徴づけ)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)について、\(A=A^{i}\)が成り立つことは、\(A\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合であるための必要十分条件である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

つまり、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が開集合であることを示すためには、その内部\(A^{i}\)を特定した上で、それが\(A\)と一致することを示せばよいということになります。

例(点の近傍は開集合)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする近傍\begin{equation*}N_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) <\varepsilon \right\}
\end{equation*}について考えます。先に確認したように、\begin{equation*}
\left( N_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{i}=N_{\varepsilon }\left(
a\right)
\end{equation*}が成り立つため、\(N_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合です。
例(ユークリッド空間は開集合)
先に確認したように、ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)に関して、\begin{equation*}\left( \mathbb{R} ^{n}\right) ^{i}=\mathbb{R} ^{n}
\end{equation*}が成り立つため、\(\mathbb{R} ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合です。

逆に、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)が開集合ではないことを示すためには、\(A\)の内部\(A^{i}\)を特定した上で、それが\(A\)と一致しないことを示せばよいということになります。

例(点の閉近傍は開集合ではない)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}について考えます。先に確認したように、\begin{equation*}
\left( C_{\varepsilon }\left( a\right) \right) ^{i}=N_{\varepsilon }\left(
a\right) \not=C_{\varepsilon }\left( a\right)
\end{equation*}が成り立つため、\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合ではありません。
例(有理数空間の直積は開集合ではない)
先に確認したように、\(n\)個の有理数空間の直積\(\mathbb{Q} ^{n}\)に関して、\begin{equation*}\left( \mathbb{Q} ^{n}\right) ^{i}=\phi \not=\mathbb{Q} ^{n}
\end{equation*}が成り立つため、\(\mathbb{Q} ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合ではありません。
例(無理数空間の直積は開集合ではない)
先に確認したように、\(n\)個の無理数空間の直積\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)に関して、\begin{equation*}\left( \left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\right) ^{i}=\phi \not=\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}
\end{equation*}が成り立つため、\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合ではありません。

 

開集合系による内部の特徴づけ

\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)の内部\(A^{i}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合であるため、さらにその内部\(\left( A^{i}\right) ^{i}\)を考えることができますが、実はこれは\(A^{i}\)と一致します(演習問題にします)。つまり、\begin{equation*}\left( A^{i}\right) ^{i}=A^{i}
\end{equation*}が成り立つということです。先の命題より、これは\(A^{i}\)が\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合であることを意味します。\(\mathbb{R} ^{n}\)の任意の部分集合の内部は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合であるということです。

命題(内部は開集合)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の任意の部分集合\(A\)について、その内部\(A^{i}\)は\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合である。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A\)を任意に選んだ上で、その内部\(A^{i}\)をとります。これまでの議論より、\(A^{i}\)は\(A\)の部分集合であり、なおかつ\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合でもあります。\(A\)の部分集合であるような\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合は\(A^{i}\)の他にも存在する可能性はありますが、\(A^{i}\)はそのような集合の中でも最大のものです。つまり、\(A\)の部分集合であるような\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合\(B\)を任意に選んだとき、これと\(A^{i}\)の間には\(B\subset A^{i}\)という関係が成り立つということです(演習問題にします)。

命題(開集合系による内部の特徴づけ)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の任意の部分集合\(A\)について、その内部\(A^{i}\)は\(A\)の部分集合であるような開集合の中でも最大のものである。すなわち、\(\mathbb{R} ^{n}\)の開集合系を\(\mathcal{O}\)で表すとき、\(A^{i}\in \mathcal{O}\)であるとともに、\begin{equation*}\forall B\in \mathcal{O}:\left( B\subset A\Rightarrow B\subset A^{i}\right)
\end{equation*}が成り立つ。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

\(\mathbb{R} ^{n}\)の開集合系\(\mathcal{O}\)と部分集合\(A\)が与えられたとします。このとき、\(\mathcal{O}\)に属する\(\mathbb{R} ^{n}\)上の開集合の中でも、\(A\)の部分集合でありなおかつその中で最大のものをとればそれは\(A\)の内部\(A^{i}\)になります。したがって\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合の内部という概念は\(\mathbb{R} ^{n}\)の開集合系\(\mathcal{O}\)から間接的に定義することも可能です。

 

内部と集合演算

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選びます。\(A\subset B\)が成り立つ場合、それらの内部についても\(A^{i}\subset B^{i}\)が成り立ちます。

命題(包含関係と内部)

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}A\subset B\Rightarrow A^{i}\subset B^{i}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選びます。このとき、\begin{equation*}\left( A\cap B\right) ^{i}=A^{i}\cap B^{i}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、2つの集合について、それらの共通部分の内部は、個々の集合の内部の共通部分と一致するということです。

命題(共通部分と内部)

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\left( A\cap B\right) ^{i}=A^{i}\cap B^{i}
\end{equation*}が成り立つ。

証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選びます。このとき、\begin{equation*}A^{i}\cup B^{i}\subset \left( A\cup B\right) ^{i}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。つまり、2つの集合について、それらの和集合の内部は、個々の集合の内部の和集合を部分集合として含むということです。

命題(和集合と内部)
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}A^{i}\cup B^{i}\subset \left( A\cup B\right) ^{i}
\end{equation*}が成り立つ。
証明

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

ちなみに、\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合\(A,B\)について、\begin{equation*}\left( A\cup B\right) ^{i}\subset A^{i}\cup B^{i}
\end{equation*}という関係は成り立つとは限りません。以下の例から明らかです。

例(和集合と内部)
\(1\)次元ユークリッド空間\(\mathbb{R} \)の部分集合である\(\left(-1,0\right) \)と\([0,1)\)について考えます。これらの和集合の内部は、\begin{eqnarray*}\left( \left( -1,0\right) \cup \lbrack 0,1)\right) ^{i} &=&\left(
-1,1\right) ^{i}\quad \because \cup \text{の定義} \\
&=&\left( -1,1\right) \quad \because \text{内部の定義}
\end{eqnarray*}である一方、それぞれの内部の和集合は、\begin{eqnarray*}
\left( -1,0\right) ^{i}\cup \lbrack 0,1)^{i} &=&\left( -1,0\right) \cup
\left( 0,1\right) \quad \because \text{内部の定義} \\
&=&\left( -1,1\right) \backslash \left\{ 0\right\} \quad \because \cup \text{の定義}
\end{eqnarray*}であるため、\begin{equation*}
\left( -1,0\right) ^{i}\cup \lbrack 0,1)^{i}\subset \left( \left(
-1,0\right) \cup \lbrack 0,1)\right) ^{i}
\end{equation*}が成り立つ一方で、\begin{equation*}
\left( \left( -1,0\right) \cup \lbrack 0,1)\right) ^{i}\subset \left(
-1,0\right) ^{i}\cup \lbrack 0,1)^{i}
\end{equation*}は成り立たないことが確認されました。

 

演習問題

問題(点の閉近傍の内部)
ユークリッド空間の点\(a\in \mathbb{R} ^{n}\)を中心とし、半径を\(\varepsilon >0\)とする閉近傍は、\begin{equation*}C_{\varepsilon }\left( a\right) =\left\{ x\in \mathbb{R} ^{n}\ |\ d\left( x,a\right) \leq \varepsilon \right\}
\end{equation*}と定義されます。\(C_{\varepsilon }\left( a\right) \)の内部を理由とともに明らかにしてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(有理数空間の直積の内部)
\(n\)個の有理数空間の直積\(\mathbb{Q} ^{n}\)の内部を理由とともに明らかにしてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(無理数空間の直積の内部)
\(n\)個の無理数空間の直積\(\left( \mathbb{R} \backslash \mathbb{Q} \right) ^{n}\)の内部を理由とともに明らかにしてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回はユークリッド空間の部分集合の外点や外部について学びます。

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

内点・内部

内点・内部

実数空間 R の部分集合 A が与えられたとき、点 a∈R の近傍の中に A の部分集合であるようなものが存在するならば、a を A の内点と呼びます。また、A のすべての内点からなる集合を A の内部と呼びます。

内点・内部

内部を用いた開集合の判定

実数空間 R の部分集合 A がその内部と一致することは、A が開集合であるための必要十分条件です。したがって、集合 A の内部が A と一致すれば A は開集合であり、A の内部が A と一致しなければ A は開集合ではありません。

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録