ランチェスターの法則を包括的に分かりやすく解説

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ランチェスターの第 1 法則(一騎打ちの法則)と第 2 法則(確率戦の法則)それぞれについて、その前提・導出方法・インプリケーションなどを分かりやすくかつ包括的に解説します。また、ランチェスターの法則をビジネスに応用した場合のインプリケーションについても触れます。

戦略 ランチェスターの法則 ランチェスターの第1法則 ランチェスターの第2法則 一騎打ちの法則 確率戦の法則

2019年10月3日:公開

戦略とは何か?

戦争に勝つ方法を最初に組織的に研究したのは古代ギリシアだと言われています。古代ギリシアでは、将軍の術(ストラテジア)と兵士の術(タクティコース)について研究が行われました。

将軍の術とは軍が効率的に勝つための考え方やルールのことであり、これは戦略(ストラテジー)の起源です。戦略は将軍の頭の中に構想として存在するものであり、目には見えません。

一方、兵士の術とは戦地における兵士の動かし方のことであり、これは戦術(タクティクス)の起源です。戦術は目に見えます。

 

ランチェスターの第 1 法則(一騎打ちの法則)

第 1 法則の前提と導出方法

戦略(軍が効率的に勝つための考え方やルール)の中で最も有名なものの 1 つはランチェスターの法則(Lanchester’s laws)です。

古代ギリシアのファランクス
古代ギリシアのファランクス

古代ギリシアにおける戦争ではファランクスと呼ばれる重装歩兵が槍を持って横に並び、合図と共に一斉に敵に向かって進軍しました。日本の戦国時代における戦争でも同様です。槍や刀のように射程距離が短い武器を使った近接戦では、それぞれの兵士は一度に一人の相手としか戦えません。飛行機による戦闘でも、機関銃を使わない体当たりの空中戦の場合には、やはり戦闘は 1 対 1 で発生します。

戦闘が常に 1 対 1 で行われる状況において、仮に両軍の武器や兵士の性能が等しいのであれば、一方の軍で 1 人戦死した場合、確率的に他方の軍でも 1 人戦死しているはずです。その結果、両軍の初期兵力数に関係なく、戦死者の比率は\(1:1\)となります。

例えば\(X\)軍の初期兵数が\(50\)人、\(Y\)軍の初期兵数が\(100\)人のときに、どちら一方が全滅するまで近接戦を行う状況を想定します。両軍の武器や兵士の性能が等しく、常に 1 対 1 の戦闘が行われるならば両軍とも\(50\)人とも失うため、最終的に\(X\)軍は全滅する一方で\(Y\)軍には\(50\)人が生き残ります。

両軍の武器や兵士の性能に差がある場合にはどうなるでしょうか。\(X\)軍の武器ないし兵士の性能が総合的に\(Y\)軍よりも 2 倍優れているとしましょう。このとき、確率的に\(X\)軍で 1 人戦死すれば\(Y\)軍では 2 人戦死しているはずです。その結果、両軍の初期兵力数に関係なく、戦死者の比率は\(X:Y=1:2\)になります。

先の例と同様に、\(X\)軍が\(50\)人、\(Y\)軍が\(100\)人のときに、どちらか一方が全滅するまで近接戦を行う状況を想定します。ただし今回は、\(X\)軍の武器・兵士の性能は\(Y\)軍の 2 倍です。戦いでは常に 1 対 1 の戦闘が行われるならば、最終的に両軍とも全滅します。

以上の議論を定式化します。\(X\)軍と\(Y\)軍が近接戦を行う状況を想定します。それぞれの兵士は一度に一人の相手としか戦えないものとします。包囲戦などは行われないということです。時点\(t\ \left( \geq 0\right) \)における\(X\)軍の残存兵数を\(x\left( t\right) \)、\(Y\)軍の残存兵数を\(y\left( t\right) \)でそれぞれ表します。初期時点\(t=0\)における両軍の兵数を、\begin{eqnarray}
x_{0} &=&x\left( 0\right) \tag{1} \\
y_{0} &=&y\left( 0\right) \tag{2}
\end{eqnarray}でそれぞれ表します。兵士の性能を表す定数を\(\alpha ,\beta >0\)で表します。つまり、\(X\)軍は単位時間当たりに\(\alpha \)人の敵兵を倒す能力を持ち、\(Y\)軍は単位時間当たりに\(\beta \)人の敵兵を倒す能力を持つということです。定数\(\alpha ,\beta \)は武器の性能や兵士の熟練度、能力などに依存します。

先の議論より、近接戦において戦闘が常に 1 対 1 で行われる場合には両軍の戦死者の比率は兵力数に依存しないため、それぞれの時点\(t\)における各軍の損害を、\begin{eqnarray}
\frac{dx\left( t\right) }{dt} &=&-\beta \tag{3} \\
\frac{dx\left( t\right) }{dt} &=&-\alpha \tag{4}
\end{eqnarray}と表すことができます。\(\left( 3\right) \)の左辺を\(t\)について積分すると、\(\left( 1\right) \)より\(x\left( t\right) -x\left( 0\right) =x\left( t\right) -x_{0}\)を得て、\(\left( 3\right) \)の右辺を\(t\)について積分すると\(-\beta t\)を得ます。\(\left( 3\right) \)より両者は等しいため、\(x\left( t\right) -x_{0}=-\beta t\)すなわち、\begin{equation}
x\left( t\right) =x_{0}-\beta t \tag{5}
\end{equation}が成り立ちます。\(\left( 4\right) \)も同様にして\(t\)について積分すると、\begin{equation}
y\left( t\right) =y_{0}-\alpha t \tag{6}
\end{equation}を得ます。\(\left( 5\right) ,\left( 6\right) \)から\(t\)を消去して整理すると、\begin{equation}
\alpha x\left( t\right) -\beta y\left( t\right) =\alpha x_{0}-\beta y_{0} \tag{7}
\end{equation}を得ます。これをランチェスターの 1 次法則(Lanchester’s linear law)や一騎打ちの法則などと呼びます。

一騎打ち戦における戦闘力は兵士の性能と初期兵数の積

ランチェスターの 1 次法則\(\left( 7\right) \)で留意すべき点は、その右辺が定数であり、その符号に応じて\(x\left( t\right) \)と\(y\left( t\right) \)のどちらか一方だけが\(0\)になり得るということです。右辺が正の場合、すなわち\(\alpha x_{0}>\beta y_{0}\)が成り立つ場合には、\(y\left( t\right) \)だけが\(0\)になり得るため最終的に\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅します。一方、右辺が負の場合、すなわち\(\alpha x_{0}<\beta y_{0}\)が成り立つ場合には、\(x\left( t\right) \)だけが\(0\)になり得るため最終的に\(Y\)軍が勝利して\(X\)軍は全滅します。

接近戦において兵士が常に 1 対 1 で戦う場合、どちらの軍が最終的に勝つかは\(\alpha x_{0}\)と\(\beta y_{0}\)の大小関係によって決まるというわけです。そのような意味において、兵士の性能と初期兵数の積である\(\alpha x_{0}\)や\(\beta y_{0}\)を各軍の戦闘力と定義できます。これが 1 つ目の教訓です。

性能が等しい軍どうしの一騎打ち戦では両軍の被害が等しい

特に、両軍の兵士の性能が等しい(\(\alpha =\beta \))場合には、\(\left( 7\right) \)より、\begin{equation*}
x\left( t\right) -y\left( t\right) =x_{0}-y_{0}
\end{equation*}を得ます。先ほどと同様に考えると、\(x_{0}>y_{0}\)の場合には最終的に\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅します。この場合の\(X\)軍の生存者数は\(x\left( t\right) =x_{0}-y_{0}\)です。逆に、\(x_{0}<y_{0}\)の場合には\(Y\)軍が勝利して\(X\)軍は全滅します。この場合の\(Y\)軍の生存者数は\(y\left( t\right) =y_{0}-x_{0}\)です。

つまり、接近戦において兵士が常に 1 対 1 で戦う場合、両軍の兵の性能が等しければ、どちらの軍が最終的に勝つかは初期兵数によって決まります。さらに、勝利した軍の生存者数は両軍の初期兵数の差に等しくなります。これが 2 つ目の教訓です。

以上の議論はすべて近接戦において兵士が 1 対 1 で常に戦う場合にのみ成立します。兵力数が少ない方が兵力数が多い方から包囲される場合には、この法則通りになりません。兵力数が少ない方が包囲されないためには、山の険しい所や森が深い所など、大軍が行動しにくい所を戦場に選ぶ必要があります。

 

ランチェスターの第 2 法則(確率戦の法則)

第 2 法則の前提と導出方法

ライフルや機関銃のように射程距離が長い武器を使って遠隔戦を行う場合には、それぞれの兵は一度に複数の敵兵をターゲットにできます。したがって、この場合にはランチェスターの第 1 法則を適用することはできません。

現代戦
現代戦

\(X\)軍と\(Y\)軍が遠隔戦を行う状況を想定します。時点\(t\ \left( \geq 0\right) \)における\(X\)軍の残存兵数を\(x\left( t\right) \)、\(Y\)軍の残存兵数を\(y\left( t\right) \)でそれぞれ表します。初期時点\(t=0\)における両軍の兵数を、先ほどと同様に、\begin{eqnarray}
x_{0} &=&x\left( 0\right) \tag{8} \\
y_{0} &=&y\left( 0\right) \tag{9}
\end{eqnarray}でそれぞれ表します。それぞれの兵士は複数の敵兵を同時にターゲットにすることができるものとします。\(X\)軍のそれぞれの兵士は確率的に単位時間あたり\(\alpha >0\)人の敵兵を倒す能力を持ち、\(y\)軍のそれぞれの兵士は確率的に単位時間あたり\(\beta >0\)人の敵兵を倒す能力を持ちます。この違いは武器の性能や兵士の熟練度、能力に由来します。

確率戦において兵士は複数の敵兵を同時に狙えることから、それぞれの時点\(t\)における各軍の損害は、敵軍のそれぞれの兵によって倒される自軍の兵の人数と、その時点における敵軍の人数の積として表されます。つまり、任意の時点\(t\)に関して、\begin{eqnarray}
\frac{dx\left( t\right) }{dt} &=&-\beta y\left( t\right) \tag{10} \\
\frac{dy\left( t\right) }{dt} &=&-\alpha x\left( t\right) \tag{11}
\end{eqnarray}という関係が成り立ちます。\(\left( 10\right) \)の両辺に\(\alpha x\left( t\right) \)をかけ、\(\left( 11\right) \)の両辺に\(\beta y\left( t\right) \)をかけた上で辺々引くと、\begin{equation}
\alpha x\left( t\right) \frac{dx\left( t\right) }{dt}-\beta y\left( t\right) \frac{dy\left( t\right) }{dt}=0 \tag{12}
\end{equation}を得ます。合成関数の微分公式(連鎖公式)より、一般に、\begin{equation*}
\frac{d}{dx}\left[ f\left( x\right) \right] ^{2}=2f\left( x\right) \frac{df\left( x\right) }{dx}
\end{equation*}という関係が成り立つことを踏まえた上で\(\left( 12\right) \)の各辺を\(t\)について積分すると、\begin{equation}
\alpha \left[ x\left( t\right) \right] ^{2}-\beta \left[ y\left( t\right) \right] ^{2}=C \tag{13}
\end{equation}を得ます。ただし\(C\)は積分定数ですが、\(t=0\)の場合について考えると、\begin{eqnarray*}
C &=&\alpha \left[ x\left( 0\right) \right] ^{2}-\beta \left[ y\left( 0\right) \right] ^{2}\quad \because \left( 13\right) \\
&=&\alpha x_{0}^{2}-\beta y_{0}^{2}\quad \because \left( 8\right) ,\left( 9\right)
\end{eqnarray*}と特定できます。これと\(\left( 13\right) \)より、\begin{equation}
\alpha \left[ x\left( t\right) \right] ^{2}-\beta \left[ y\left( t\right) \right] ^{2}=\alpha x_{0}^{2}-\beta y_{0}^{2} \tag{14}
\end{equation}を得ます。これをランチェスターの 2 次 法則(Lanchester’s square law)や確率戦の法則などと呼びます。

遠隔戦における戦闘力は兵士の性能と初期兵数の 2 乗の積

ランチェスターの 2 次法則\(\left( 14\right) \)において留意すべき点は、その右辺が定数であり、その符号に応じて\(x\left( t\right) \)と\(y\left( t\right) \)のどちらか一方だけが\(0\)になり得るということです。右辺が正の場合、すなわち\(\alpha x_{0}^{2}>\beta y_{0}^{2}\)が成り立つ場合には、\(y\left( t\right) \)だけが\(0\)になり得るため最終的に\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅します。一方、右辺が負の場合、すなわち\(\alpha x_{0}^{2}<\beta y_{0}^{2}\)が成り立つ場合には、\(x\left( t\right) \)だけが\(0\)になり得るため最終的に\(Y\)軍が勝利して\(X\)軍は全滅します。

それぞれの兵士が複数の敵兵をターゲットにできる遠隔戦においては、どちらの軍が最終的に勝つかは\(\alpha x_{0}^{2}\)と\(\beta y_{0}^{2}\)の大小関係によって決まるというわけです。そのような意味において、兵士の性能と初期兵数の 2 乗の積である\(\alpha x_{0}^{2}\)や\(\beta y_{0}^{2}\)を各軍の戦闘力と定義できます。接近戦において兵が常に 1 対 1 で戦う場合には軍の戦闘力が兵士の性能と初期兵数の積として表される一方で、遠隔戦の場合には兵数が 2 乗になって効いてきます。これが 1 つ目の教訓です。

性能が等しい軍どうしの遠隔戦では兵数の差が大きな損失の差へつながる

特に、両軍の兵士の性能が等しい(\(\alpha =\beta \))場合には、\(\left( 14\right) \)より、\begin{equation*}
\left[ x\left( t\right) \right] ^{2}-\left[ y\left( t\right) \right] ^{2}=x_{0}^{2}-y_{0}^{2}
\end{equation*}を得ます。先ほどと同様に考えると、\(x_{0}^{2}>y_{0}^{2}\)の場合には最終的に\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅します。この場合の\(X\)軍の生存者数は\(x\left( t\right) =\sqrt{x_{0}^{2}-y_{0}^{2}}\)です。逆に、\(x_{0}^{2}<y_{0}^{2}\)の場合には\(Y\)軍が勝利して\(X\)軍は全滅します。この場合の\(Y\)軍の生存者数は\(y\left( t\right) =\sqrt{y_{0}^{2}-x_{0}^{2}}\)です。

つまり、遠隔戦においてそれぞれの兵士が複数の敵兵をターゲットにできる場合、両軍の兵の性能が等しい場合には、どちらの軍が最終的に勝つかは初期兵数の 2 乗によって決まります。さらに、勝利した軍の生存者数は両軍の初期兵数の 2 乗の差の平方根に等しくなります。これが 2 つ目の教訓です。遠隔戦では兵士の数のわずかな差が、戦闘力、ひいては損失や残存兵士数の大きな差へつながります。

 

強者の戦略と弱者の戦略

両軍の兵の性能が等しい場合

議論を整理しましょう。兵士の性能が等しい 2 つの軍\(X,Y\)が戦う状況を想定します。初期兵数をそれぞれ\(x_{0},y_{0}\)で表します。接近戦において兵士が常に 1 対 1 で戦う場合には、ランチェスターの第 1 法則より、どちらの軍が最終的に勝つかは\(x_{0}\)と\(y_{0}\)の大小によって決まります。仮に\(x_{0}>y_{0}\)ならば\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅し、\(X\)軍の生存者は\(x_{0}-y_{0}\)人です。一方、遠隔戦においてそれぞれの兵士が複数の敵兵をターゲットにできる場合には、どちらの軍が最終的に勝つかは\(x_{0}^{2}\)と\(y_{0}^{2}\)の大小によって決まります。仮に\(x_{0}>y_{0}\)ならば\(X\)軍が勝利して\(Y\)軍は全滅し、\(X\)軍の生存者は\(\sqrt{x_{0}^{2}-y_{0}^{2}}\)人です。

ランチェスターの法則は、接近戦と遠隔戦のどちらを採用すべきかという問いへの指針を与えてくれます。まずは、初期兵数がより多い\(X\)軍の立場から考えます。\(X\)軍は接近戦と遠隔戦のどちらでも勝利できますが、それぞれの場合の生存者数を比較するとどうでしょうか。ともに正の数であるため、両者の 2 乗を比較すると、\begin{eqnarray*}
\left( \sqrt{x_{0}^{2}-y_{0}^{2}}\right) ^{2}-\left( x_{0}-y_{0}\right) ^{2} &=&\left( x_{0}^{2}-y_{0}^{2}\right) -\left(
x_{0}^{2}-2x_{0}y_{0}+y_{0}^{2}\right) \\
&=&2x_{0}y_{0} \\
&>&0
\end{eqnarray*}したがって、\begin{equation*}
\sqrt{x_{0}^{2}-y_{0}^{2}}>x_{0}-y_{0}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、初期兵数がより多い\(X\)軍は遠隔戦に持ち込んだほうが自身の損害を減らすことができます。遠隔戦では初期兵数の 2 乗が戦力として効いてくるため、兵数が多い軍は遠隔戦に持ち込んだ方が有利なのです。逆に、兵数が少ない軍は接近戦に持ち込んだほうが相手により大きな損害を与えられるため、接近戦で 1 対 1 の戦いに持ち込んだほうが相対的に望ましいと言えます。

両軍の兵の性能が異なる場合

続いて、兵数だけでなく武器の性能にも違いがあるケースについて考えます。\(X\)軍の初期兵数\(x_{0}\)は\(Y\)軍の初期兵数\(y_{0}\)の 2 倍である一方で、\(Y\)軍の武器・兵士の性能\(\beta \)は\(X\)軍の武器・兵士の性能\(\alpha \)の 3 倍だとします。つまり、\(x_{0}=2y_{0}\)かつ\(\beta =3\alpha \)が成り立つということです。両軍が接近戦で衝突する場合には、\begin{equation*}
\alpha x_{0}-\beta y_{0}=2\alpha y_{0}-3\alpha y_{0}=-\alpha y_{0}<0 \end{equation*}となるため、ランチェスターの 1 次法則より\(Y\)軍が勝利します。一方、両軍が遠隔戦で衝突する場合には、\begin{equation*} \alpha x_{0}^{2}-\beta y_{0}^{2}=\alpha \left( 2y_{0}\right) ^{2}-3\alpha y_{0}^{2}=\alpha y_{0}^{2}>0
\end{equation*}となるため、ランチェスターの 2 次法則より\(X\)軍が勝利してしまいます。\(X\)軍は武器や兵士の性能で\(Y\)軍に及びませんが兵数では勝っており、この特長を生かすためには遠隔戦に持ち込むべきです。逆に、\(Y\)軍は兵数では\(X\)軍には及びませんが武器や兵士の性能では勝っているため、この特長を生かすためには接近戦に持ち込むべきです。

強者は遠隔戦に、弱者は接近戦に持ち込むべき

局地的な戦闘において、兵数がより多い軍を強者と呼び、兵数がより少ない軍を弱者とそれぞれ呼ぶのであれば、強者はランチェスターの第 1 法則が適用できるような戦場で戦うべきであり、逆に弱者はランチェスターの第 2 法則が適用できるような戦場で戦うべきです。つまり、強者は見通しの良い場所で遠隔戦に持ち込み、多対一の状況で闘うことで自身の損害を抑えることができます。また、強者は兵士の性能で劣っていても、遠隔戦ならば数の力によって勝利できます。

一方、弱者は狭い場所で接近戦に持ち込み、一対一の状況で戦うことで相手により多くの存在を与えることができます。弱者は兵士の数で劣っていても、接近戦ならば兵士の性能を向上させることで勝利するチャンスが生まれます。以上がランチェスターの法則の教訓です。

 

ビジネスへの応用

ランチェスターの法則は軍事に関する戦略ですが、これをビジネスに応用するとどのようなことが言えるでしょうか。経営を市場シェアをめぐって行われる企業どうしの戦争と解釈します。ある企業の営業が別の企業の営業に勝利すれば、勝利した企業は市場シェアを伸ばすことができます。企業の目標は自社の市場シェアを効率的に増やすこと、すなわち競争相手を効率的に壊滅させることです。企業の戦力は営業の人数と質に依存します。営業の質とは営業の個人としての能力だけでなく、販売する製品やサービスの質、企業の資金力などにも依存します。

ビジネス戦略
ビジネス戦略

ランチェスターの法則によると、強者に相当する企業はランチェスターの第 2 法則が適用できるような市場で戦うべきです。自身の強みであるリソースの多さを活用するために、広い場所での多対一の勝負に持ち込む必要があります。具体的には、大都市や広い地域を営業エリアに設定したり、複数の様々な製品を販売品目として設定することでより効率的に戦えます。また、競争相手が性能の良い製品を販売し始めたら、自身も追随して同様の製品を販売すれば、物量戦に持ち込むことができます。

一方、弱者に相当する企業はランチェスターの第 1 法則が適用できるような市場で戦うべきです。狭い場所での一対一の勝負に持ち込む必要があります。具体的には、地方都市や狭い地域を営業エリアに設定したり、1 つの専用製品を販売品目として設定することでより効率的に戦えます。また、物量戦ではかなわないため、製品や営業の質を上げることも重要になります。

 

市場占拠率の目標数値

強者と弱者がそれぞれ採用すべき戦略の方針は明らかになりましたが、この知識を活用するためには、そもそも自社が市場における強者と弱者のどちらであるかを知る必要があります。強者と弱者を明確に分ける基準として広く知られているのは、マーケティングコンサルタントの田岡信夫と統計学者の斧田大公望が 1960 年代に開発した市場占拠率の目標数値モデルです。これは、コロンビア大学の数学者バーナード・クープマンが1943年に発表したランチェスターの戦略方程式を市場競争モデルと解釈することで得られたモデルです。

強者と弱者を分ける市場シェアは\(26.12\%\)であり、これを下限目標値と呼びます。また、市場シェアが\(41.70\%\)に達すればその企業は安定的な強者の地位を得るものとされ、これを安定目標値と呼びます。さらに、市場シェアが\(73.88\%\)以上に達すればその企業は絶対的優位の地位を得るものとされ、これを上限目標値と呼びます。この 3 つの目標値を総称して 3 大目標値と呼びます。

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