教材一覧
SYSTEM OF LINEAR EQUATIONS

1次方程式の解法

< 前のページ
次のページ >

少なくとも1つの係数がゼロではない1次方程式の解法

変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}a_{1}x_{1}+\cdots +a_{n}x_{n}=b
\end{equation*}が与えられたとき、これは係数\(a_{1},\cdots ,a_{n},b\in \mathbb{R} \)の値を基準に以下の3種類に分類可能です。それぞれの場合について解法を解説します。

1つ目のパターンは係数\(a_{1},a_{2},\cdots ,a_{n}\)の中の少なくとも1つが\(0\)ではない場合です。この場合、例えば\(a_{1}\not=0\)であるならば、その乗法逆元\(a_{1}^{-1}=\frac{1}{a_{1}}\not=0\)に相当する実数が存在します。ここで、変数\(x_{2},\cdots ,x_{n}\)に代入する値\(k_{2},\cdots ,k_{n}\)をそれぞれ任意に選びます。\(\mathbb{R} \)は四則演算について閉じているため、このとき、\begin{equation*}a_{1}^{-1}b-a_{1}^{-1}a_{2}k_{2}-\cdots -a_{1}^{-1}a_{n}k_{n}
\end{equation*}もまた実数であることが保証されます。そこでこれを変数\(x_{1}\)に代入する値として定めます。つまり、\begin{equation}\left( x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n}\right) =\left(
a_{1}^{-1}b-a_{1}^{-1}a_{2}k_{2}-\cdots -a_{1}^{-1}a_{n}k_{n},k_{2},\cdots
,k_{n}\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}を与えられた1次方程式に代入するということです。すると、\begin{equation*}
a_{1}\left( a_{1}^{-1}b-a_{1}^{-1}a_{2}k_{2}-\cdots
-a_{1}^{-1}a_{n}k_{n}\right) +a_{2}k_{2}+\cdots +a_{n}k_{n}=b
\end{equation*}を得ます。これは真でしょうか。左辺を整理すると、\begin{eqnarray*}
&&a_{1}\left( a_{1}^{-1}b-a_{1}^{-1}a_{2}k_{2}-\cdots
-a_{1}^{-1}a_{n}k_{n}\right) +a_{2}k_{2}+\cdots +a_{n}k_{n} \\
&=&a_{1}a_{1}^{-1}b-a_{1}a_{1}^{-1}a_{2}k-\cdots
-a_{1}a_{1}^{-1}+a_{n}k_{n}+a_{2}k_{2}+\cdots +a_{n}k_{n} \\
&=&b+\left( a_{2}k_{2}-a_{2}k_{2}\right) +\cdots +\left(
a_{n}k_{n}-a_{n}k_{n}\right) \\
&=&b
\end{eqnarray*}となりますが、これは右辺の値と一致することが確認されたため、\(\left( 1\right) \)は与えられた1次方程式の一般解であることが確認されました。

命題(1次方程式の解)
変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}a_{1}x_{1}+a_{2}x_{2}+\cdots +a_{n}x_{n}=b
\end{equation*}が\(a_{1}\not=0\)を満たす場合、その一般解は、\begin{equation*}\left( x_{1},x_{2},\cdots ,x_{n}\right) =\left(
a_{1}^{-1}b-a_{1}^{-1}a_{2}k_{2}-\cdots -a_{1}^{-1}a_{n}k_{n},k_{2},\cdots
,k_{n}\right)
\end{equation*}となる。ただし、\(k_{2},\cdots ,k_{n}\in \mathbb{R} \)は任意の実数である。

上の命題は\(a_{1}\not=0\)の場合に関するものですが、\(a_{1}\)とは異なる係数が非ゼロの場合にも、同様の命題が成り立ちます。

例(1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2},x_{3}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}2x_{1}-4x_{2}+x_{3}=8
\end{equation*}で与えられているものとします。\(\left( x_{2},x_{3}\right)=\left( k_{2},k_{3}\right) \)を任意に選んだ上で、\begin{eqnarray*}x_{1} &=&2^{-1}\cdot 8+2^{-1}\cdot 4k_{2}-2^{-1}\cdot k_{3} \\
&=&4+2k_{2}-\frac{1}{2}k_{3}
\end{eqnarray*}とおくと、先の命題より、\begin{equation*}
\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 4+2k_{2}-\frac{1}{2}k_{3},k_{2},k_{3}\right)
\end{equation*}は与えられた1次方程式の一般解になります。例えば、\(\left( k_{2},k_{3}\right)=\left( 3,2\right) \)とおけば、特殊解\begin{equation*}\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 9,3,2\right)
\end{equation*}が得られます。
例(1次方程式の解)
変数\(x_{1}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}ax_{1}=b
\end{equation*}で与えられているものとします。\(a\not=0\)である場合、その一般解は、\begin{equation*}x_{1}=a^{-1}b
\end{equation*}となります。これは1つの実数であるため特殊解でもあります。

 

すべての係数がゼロだが定数項がゼロではない1次方程式の解法

2つ目の可能性は、変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}a_{1}x_{1}+\cdots +a_{n}x_{n}=b
\end{equation*}について、係数\(a_{1},\cdots ,a_{n}\)はいずれも\(0\)である一方で、定数項\(b\)は\(0\)ではない場合、すなわち、\begin{equation*}0x_{1}+\cdots +0x_{n}=b\quad \left( b\not=0\right)
\end{equation*}であるような場合です。ここで、変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に代入する値\(k_{1},\cdots ,k_{n}\)をそれぞれ任意に選びます。つまり、\begin{equation*}\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =\left( k_{1},\cdots ,k_{n}\right)
\end{equation*}を与えられた1次方程式に代入するということです。すると、\begin{equation*}
0k_{1}+\cdots +0k_{n}=b
\end{equation*}を得ます。これは真でしょうか。左辺を変形すると、\begin{eqnarray*}
0k_{1}+\cdots +0k_{n} &=&0+\cdots +0 \\
&=&0
\end{eqnarray*}となる一方、仮定より右辺の\(b\)は\(0\)ではないため、上の命題は偽です。任意の\(k_{1},\cdots ,k_{n}\)について同様の議論が成り立つため、与えられた1次方程式は解を持たないことが明らかになりました。

命題(1次方程式の解)
変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)とする\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}0x_{1}+0x_{2}+\cdots +0x_{n}=b
\end{equation*}が\(b\not=0\)を満たす場合、この1次方程式は解を持たない。
例(1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2},x_{3}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}0x_{1}+0x_{2}+0x_{3}=3
\end{equation*}で与えられているものとします。上の命題より、この1次方程式は解を持ちません。
例(1次方程式の解)
変数\(x_{1}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}0x_{1}=b
\end{equation*}で与えられているものとします。\(b\not=0\)の場合、上の命題より、この1次方程式は解を持ちません。

 

係数と定数項がいずれもゼロであるような1次方程式の解法

3つ目の可能性は、変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}a_{1}x_{1}+\cdots +a_{n}x_{n}=b
\end{equation*}について、係数\(a_{1},\cdots ,a_{n}\)と定数項\(b\)がいずれも\(0\)である場合、すなわち、\begin{equation*}0x_{1}+\cdots +0x_{n}=0
\end{equation*}であるような場合です。ここで、変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に代入する値\(k_{1},\cdots ,k_{n}\)をそれぞれ任意に選びます。つまり、\begin{equation}\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =\left( k_{1},\cdots ,k_{n}\right)
\quad \cdots (1)
\end{equation}を与えられた1次方程式に代入するということです。すると、\begin{equation*}
0k_{1}+\cdots +0k_{n}=0
\end{equation*}を得ます。これは真でしょうか。左辺を変形すると、\begin{eqnarray*}
0k_{1}+\cdots +0k_{n} &=&0+\cdots +0 \\
&=&0
\end{eqnarray*}となりますが、これは右辺の値と一致することが確認されたため、\(\left( 1\right) \)は与えられた1次方程式の一般解であることが確認されました。任意の\(k_{1},\cdots ,k_{n}\)について同様の議論が成り立つため、任意の\(\left( k_{1},\cdots ,k_{n}\right) \)が与えられた1次方程式の解です。

命題(1次方程式の解)
変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}0x_{1}+\cdots +0x_{n}=0
\end{equation*}の一般解は、\begin{equation*}
\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =\left( k_{1},\cdots ,k_{n}\right)
\end{equation*}となる。ただし、\(k_{1},\cdots ,k_{n}\in \mathbb{R} \)は任意の実数である。
例(1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2},x_{3}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}0x_{1}+0x_{2}+0x_{3}=0
\end{equation*}で与えられているものとします。先の命題より、\begin{equation*}
\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( k_{1},k_{2},k_{3}\right)
\end{equation*}が一般解です。ただし、\(k_{1},k_{2},k_{3}\)は任意の実数です。
例(1次方程式の解)
変数\(x_{1}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}0x_{1}=0
\end{equation*}として与えられているものとします。先の命題より、\begin{equation*}
x_{1}=k
\end{equation*}が一般解です。ただし、\(k\)は任意の実数です。

 

演習問題

問題(1次方程式の解法)
変数を\(x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}3ax_{1}+12bx_{2}=\frac{1}{2}c
\end{equation*}として与えられているものとします。ただし\(a,b,c\in \mathbb{R} \)です。解集合を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

問題(1次方程式の解法)
変数を\(x_{1}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式が、\begin{equation*}\frac{2x_{1}-10}{2}=3\left( x_{1}-1\right)
\end{equation*}として与えられているものとします。解集合を求めてください。
解答を見る

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

次回は連立1次方程式について解説します。

質問・コメント(プレミアム会員限定) 次へ進む
Share on facebook
Share on twitter
Share on email
< 前のページ
次のページ >

プレミアム会員だけが質問やコメントを投稿・閲覧できます。

命題論理