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SYSTEM OF LINEAR EQUATIONS

連立1次方程式

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連立1次方程式

同じ変数を共有する1次方程式の集まりを連立1次方程式(system of linear equations)と呼びます。具体的には、有限\(n\)個の変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\in \mathbb{R} \)を共有する有限\(m\)個の\(\mathbb{R} \)上の1次方程式からなる連立方程式は、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}=b_{1} \\
a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}=b_{m}\end{array}\right.
\end{equation*}と記述されます。ただし、\(a_{ij}\in \mathbb{R} \)は係数、\(b_{i}\in \mathbb{R} \)は定数項、\(x_{i}\in \mathbb{R} \)は変数です。連立1次方程式に含まれる変数の個数が\(n\)個であることを明示したい場合、それを連立\(n\)元1次方程式(system of linear equations with \(n\) variables)と呼びます。

例(連立1次方程式)
\(x_{1},x_{2},x_{3}\)はいずれも実数を値として取り得る変数であるとき、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}+2x_{2}-3x_{3}=-1 \\
3x_{1}-2x_{2}+2x_{3}=7 \\
5x_{1}+3x_{2}-4x_{3}=2\end{array}\right.
\end{equation*}は\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式です。
例(連立1次方程式)
\(x_{1},x_{2}\)はともに実数を値として取り得る変数であるとき、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
-2x_{1}+\frac{1}{2}x_{2}=0 \\
x_{1}+0x_{2}=1\end{array}\right.
\end{equation*}は\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式です。定義上、連立1次方程式を構成する1次方程式の係数や定数項の中に\(0\)であるようなものが存在しても問題ありません。
例(連立1次方程式)
変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の1次方程式\begin{equation*}a_{1}x_{1}+\cdots +a_{n}x_{n}=b
\end{equation*}は1個の方程式だけからなる連立1次方程式です。1次方程式もまた連立1次方程式であるということです。

 

連立1次方程式の解

変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation}\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}x_{1}+a_{12}x_{2}+\cdots +a_{1n}x_{n}=b_{1} \\
a_{21}x_{1}+a_{22}x_{2}+\cdots +a_{2n}x_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}x_{1}+a_{m2}x_{2}+\cdots +a_{mn}x_{n}=b_{m}\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}が与えられたとき、その変数\(x_{1},\cdots ,x_{n}\)に対して以下のような具体的な実数\begin{equation}\left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) =\left( k_{1},\cdots ,k_{n}\right)
\quad \cdots (2)
\end{equation}をそれぞれ代入すると以下の\(m\)個の命題\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
a_{11}k_{1}+a_{12}k_{2}+\cdots +a_{1n}k_{n}=b_{1} \\
a_{21}k_{1}+a_{22}k_{2}+\cdots +a_{2n}k_{n}=b_{2} \\
\vdots \\
a_{m1}k_{1}+a_{m2}k_{2}+\cdots +a_{mn}k_{n}=b_{m}\end{array}\right.
\end{equation*}が得られますが、これらの命題がすべて真である場合、\(\left( 2\right) \)は\(\left( 1\right) \)の(solution)であるとか、\(\left( 2\right) \)は\(\left( 1\right) \)を満たす(satisfy)などと言います。つまり、\(\left( 2\right) \)が\(\left( 1\right) \)の解であることとは、\(\left( 2\right) \)が\(\left( 1\right) \)に含まれるすべての1次方程式の解であることを意味します。言い換えると、\(\left( 2\right) \)が\(\left( 1\right) \)に含まれる少なくとも1つの1次方程式の解でない場合、\(\left( 2\right) \)は\(\left( 1\right) \)の解ではありません。

例(連立1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}+x_{2}=7 \\
2x_{1}+4x_{2}=18\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}について考えます。変数に以下の値\begin{equation}
\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( 5,2\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}を代入すると、\begin{equation*}
\left\{
\begin{array}{c}
5+2=7 \\
2\cdot 5+4\cdot 2=18\end{array}\right.
\end{equation*}という2つの命題が得られますが、これらは真です。したがって\(\left( 2\right) \)は\(\left( 1\right) \)の解です。一方、以下の値\begin{equation}\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( 3,4\right) \quad \cdots (3)
\end{equation}を代入すると、\begin{equation*}
\left\{
\begin{array}{c}
3+4=7 \\
2\cdot 3+4\cdot 4=18\end{array}\right.
\end{equation*}という2つの命題が得られますが、上の命題は真である一方で下の命題は偽です。したがって\(\left( 3\right) \)は\(\left(1\right) \)の解ではありません。
例(連立1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2},x_{3}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}+2x_{2}-3x_{3}=6 \\
2x_{1}-x_{2}+4x_{3}=2 \\
4x_{1}+3x_{2}-2x_{3}=14\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}について考えます。値の組\begin{equation}
\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 1,4,1\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}を代入すると、\begin{equation*}
\left\{
\begin{array}{c}
1+2\cdot 4-3\cdot 1=6 \\
2\cdot 1-4+4\cdot 1=2 \\
4\cdot 1+3\cdot 4-2\cdot 1=14\end{array}\right.
\end{equation*}という3つの命題をえられますが、これらはいずれも真であるため、\(\left( 2\right) \)は\(\left( 1\right) \)の解です。

連立1次方程式は解を持つとは限りません。以下の例から明らかです。

例(連立1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
3x_{1}-x_{2}=1 \\
0x_{1}+0x_{2}=2\end{array}\right.
\end{equation*}について考えます。変数\(x_{1},x_{2}\)にどのような実数を代入しても2行目の1次方程式の左辺は\(0\)になり、これは右辺\(2\)と一致しません。したがってこの連立1次方程式は解を持ちません。

連立1次方程式が解を持つ場合、それは1つだけであるとは限りません。以下の例から明らかです。

例(連立1次方程式の解)
変数\(x_{1},x_{2}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}-2x_{2}=1 \\
-2x_{1}+4x_{2}=-2\end{array}\right.
\end{equation*}について考えます。例えば、\begin{eqnarray*}
\left( x_{1},x_{2}\right) &=&\left( 3,1\right) \\
\left( x_{1},x_{2}\right) &=&\left( 0,-\frac{1}{2}\right)
\end{eqnarray*}はともにこの連立1次方程式の解です。

 

連立1次方程式の解集合・一般解・特殊解

連立1次方程式には解が存在するとは限りませんし、存在する場合にも一意的であるとは限りません。そこで、与えられた連立1次方程式の解からなる集合を解集合(solution set)と呼びます。

例(連立1次方程式の解集合)
変数\(x_{1},x_{2}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}+x_{2}=7 \\
2x_{1}+4x_{2}=18\end{array}\right.
\end{equation*}の解は\(\left( x_{1},x_{2}\right) =\left( 5,2\right) \)だけであるため、その解集合は、\begin{equation*}\left\{ \left( 5,2\right) \right\}
\end{equation*}です。
例(連立1次方程式の解集合)
変数\(x_{1},x_{2}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
3x_{1}-x_{2}=1 \\
0x_{1}+0x_{2}=2\end{array}\right.
\end{equation*}は解を持たないため、その解集合は、\begin{equation*}
\phi
\end{equation*}です。
例(連立1次方程式の解集合)
変数\(x_{1},x_{2},x_{3},x_{4}\)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
x_{1}+2x_{2}-3x_{3}=6 \\
2x_{1}-x_{2}+4x_{3}=2 \\
4x_{1}+3x_{2}-2x_{3}=14\end{array}\right.
\end{equation*}について考えます。例えば、\begin{eqnarray*}
\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) &=&\left( 1,4,1\right) \\
\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) &=&\left( 0,6,2\right) \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などはいずれも解です(確認してください)。実際、この連立1次方程式は無数の解を持ちますが、それらを総体的に表現するにはどうすればよいでしょうか。変数\(x_{3}\)に代入する値\(k\)を任意に選んだ上で、変数\(x_{1},x_{2}\)に代入する値をそれぞれ\(2-k,2+2k\)と定めます。つまり、先の連立1次方程式の変数に以下の値の組\begin{equation}\left( x_{1},x_{2},x_{3}\right) =\left( 2-k,2+2k,k\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}を代入するということです。ただし\(k\)は任意の実数です。すると、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
\left( 2-k\right) +2\left( 2+2k\right) -3k=6 \\
2\left( 2-k\right) -\left( 2+2k\right) +4k=2 \\
4\left( 2-k\right) +3\left( 2+2k\right) -2k=14\end{array}\right.
\end{equation*}という3つの命題が得られますが、これらはいずれも真です(確認してください)。したがって先の連立1次方程式の解集合は、\begin{equation}
\left\{ \left( 2-k,2+2k,k\right) \in \mathbb{R} ^{3}\ |\ k\in \mathbb{R} \right\} \quad \cdots (2)
\end{equation}となります。

上の議論において\(k\)は任意の実数であるため、\(\left( 1\right) \)は与えられた連立1次方程式の解を一般的な形で表現しています。つまり、\(\left( 1\right) \)中の\(k\)に具体的な実数を代入して得られる実数の組は必ず与えられた連立1次方程式の解になります。そこで、\(\left( 1\right) \)を具体的な解とは区別して一般解(general solution)と呼びます。一般解\(\left( 1\right) \)が判明すれば解集合\(\left( 2\right) \)が明らかになるため、一般に、連立1次方程式の一般解と解集合は実質的に等しい概念です。一般項との対比で、一般解の\(k\)に具体的な実数を代入することで得られる解を特殊解(particular solution)と呼びます。特殊解は解集合の要素です。連立1次方程式が一意的な解を持つ場合、一般解と特殊解を同一視します。

 

演習問題

問題(連立1次方程式)
変数\(x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式が、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
2x_{1}+4x_{2}=10 \\
3x_{1}+6x_{2}=15\end{array}\right.
\end{equation*}として与えられているものとします。解集合を求めてください。
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問題(連立1次方程式)
変数\(x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} \)に関する\(\mathbb{R} \)上の連立1次方程式が、\begin{equation*}\left\{
\begin{array}{c}
4x_{1}-2x_{2}=5 \\
-6x_{1}+3x_{2}=1\end{array}\right.
\end{equation*}として与えられているものとします。解集合を求めてください。
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次回は連立1次方程式の解を求める方法について解説します。

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命題論理