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ベクトルの外積(クロス積)

目次

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外積

3次元空間における2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)が与えられたとき、これらの双方と垂直なベクトル\(z\in \mathbb{R} ^{3}\)を具体的に特定するためにはどうすればよいでしょうか。

まずは2つのベクトル\(x,y\)がともにゼロベクトルである場合について考えます。ゼロベクトルは任意のベクトルと垂直であるため、任意のベクトル\(z\)が\(x,y\)の双方と垂直です。

続いて2つのベクトル\(x,y\)の少なくとも一方が非ゼロベクトルである場合について考えます。\(x\not=0\)かつ\(x_{1}\not=0\)とみなしても一般性は失われません。以上の状況において、\begin{eqnarray*}x &\perp &z=0 \\
y &\perp &z=0
\end{eqnarray*}すなわち、\begin{eqnarray*}
x\cdot z &=&0 \\
y\cdot z &=&0
\end{eqnarray*}をともに満たすベクトル\(z\)を特定することが目標です。内積の定義より、以上の条件を、\begin{eqnarray}x_{1}z_{1}+x_{2}z_{2}+x_{3}z_{3} &=&0 \quad \cdots (1) \\
y_{1}z_{1}+y_{2}z_{2}+y_{3}z_{3} &=&0 \quad \cdots (2)
\end{eqnarray}と表現できます。\(\left(1\right) \)の両辺に\(y_{1}\)をかけて、\(\left( 2\right) \)の両辺に\(x_{1}\)をかけると、\begin{eqnarray*}x_{1}y_{1}z_{1}+x_{2}y_{1}z_{2}+x_{3}y_{1}z_{3} &=&0 \\
x_{1}y_{1}z_{1}+x_{1}y_{2}z_{2}+x_{1}y_{3}z_{3} &=&0
\end{eqnarray*}を得ます。これらの辺々を引いた上で整理すると、\begin{equation*}
\left( x_{2}y_{1}-x_{1}y_{2}\right) z_{2}+\left(
x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3}\right) z_{3}=0
\end{equation*}を得ますが、内積の定義より、これは、\begin{equation*}
\left( x_{2}y_{1}-x_{1}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3}\right) \cdot \left(
z_{2},z_{3}\right) =0
\end{equation*}すなわち、\begin{equation}
\left( x_{2}y_{1}-x_{1}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3}\right) \perp \left(
z_{2},z_{3}\right) \quad \cdots (3)
\end{equation}を意味します。2次元ベクトル\(\left( z_{2},z_{3}\right) \in \mathbb{R} ^{2}\)について、\begin{equation*}\left( z_{2},z_{3}\right) \perp \left( -z_{3},z_{2}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つことを踏まえると、これと\(\left( 3\right) \)より、\begin{equation*}\left( z_{2},z_{3}\right) =\left( x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},-\left(
x_{2}y_{1}-x_{1}y_{2}\right) \right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation}
\left( z_{2},z_{3}\right) =\left(
x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right) \quad \cdots (4)
\end{equation}を得ます。すると、\begin{eqnarray*}
z_{1} &=&-\frac{x_{2}z_{2}}{x_{1}}-\frac{x_{3}z_{3}}{x_{1}}\quad \because
\left( 1\right) \text{および}x_{1}\not=0 \\
&=&-\frac{x_{2}\left( x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3}\right) }{x_{1}}-\frac{x_{3}\left( x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right) }{x_{1}}\quad \because \left(
4\right) \\
&=&-\frac{x_{2}x_{3}y_{1}}{x_{1}}+x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2}+\frac{x_{3}x_{2}y_{1}}{x_{1}} \\
&=&x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2}
\end{eqnarray*}となります。以上より、\begin{equation*}
\left( z_{1},z_{2},z_{3}\right) =\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right)
\end{equation*}であることが明らかになりました。

命題(2つのベクトルと垂直なベクトル)
3次元空間において2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、以下のベクトル\begin{equation*}\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right) \in \mathbb{R} ^{3}
\end{equation*}は\(x\)と\(y\)の双方と垂直である。

以上の命題を踏まえた上で、3次元空間における2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}x\times y=\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right)
\end{equation*}と定義されるベクトル\(x\times y\)を\(x\)と\(y\)の外積(outer product)やクロス積(cross product)などと呼びます。先の議論より、外積\(x\times y\)は2つのベクトル\(x,y\)の双方と垂直です。つまり、\begin{eqnarray*}x\times y &\perp &x \\
x\times y &\perp &y
\end{eqnarray*}がともに成り立つということです。2つのベクトル\(x,y\)の双方と垂直であるようなベクトルは無数に存在します。実際、外積\(x\times y\)をスカラー倍することで得られるベクトルは\(x,y\)の双方と垂直です。外積\(x\times y\)は\(x,y\)の双方と垂直であるような唯一のベクトルではありません。

3次元空間のベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、その任意の成分\(x_{i},y_{i}\ \left( i=1,2,3\right) \)は実数ですが、実数空間\(\mathbb{R} \)は乗法と減法について閉じているため、外積\(x\times y\)のそれぞれの成分が1つの実数として定まることが保証されるため、\begin{equation*}\forall x,y\in \mathbb{R} ^{3}:x\times y\in \mathbb{R} ^{3}
\end{equation*}が成り立ちます。このような事情を踏まえると、ベクトルを成分とするそれぞれの順序対\(\left( x,y\right) \in \mathbb{R} ^{3}\times \mathbb{R} ^{3}\)に対して、それらの外積\(x\times y\in \mathbb{R} ^{3}\)を定める多変数のベクトル値関数\begin{equation*}x:\mathbb{R} ^{3}\times \mathbb{R} ^{3}\rightarrow \mathbb{R} ^{3}
\end{equation*}が定義可能です。このような関数を外積関数(outer product function)と呼びます。

例(外積)
以下の2つのベクトル\begin{eqnarray*}
x &=&\left( 1,2,3\right) \\
y &=&\left( 2,3,4\right)
\end{eqnarray*}の外積は、\begin{eqnarray*}
x\times y &=&\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right)
\quad \because \text{外積の定義} \\
&=&\left( 2\cdot 4-3\cdot 3,3\cdot 2-1\cdot 4,1\cdot 3-2\cdot 2\right) \\
&=&\left( -1,2,-1\right)
\end{eqnarray*}です。

例(外積)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)の少なくとも一方がゼロベクトルであるものとします。\begin{equation*}x=0
\end{equation*}としても一般性は失われません。このとき、\begin{eqnarray*}
x\times y &=&\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right) \\
&=&\left( 0\cdot y_{3}-0\cdot y_{2},0\cdot y_{1}-0\cdot y_{3},0\cdot
y_{2}-0\cdot y_{1}\right) \quad \because x=0 \\
&=&\left( 0,0,0\right)
\end{eqnarray*}を得ます。ゼロベクトルとの外積はゼロベクトルであるということです。ゼロベクトルは任意のベクトルと垂直であるため、この場合にも外積\(x\times y\)は\(x,y\)の双方と垂直です。
例(外積)
2つの非ゼロベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\backslash \left\{ 0\right\} \)が平行であるものとします。つまり、\begin{equation*}y=ax
\end{equation*}を満たすスカラー\(a\in \mathbb{R} \)が存在するということです。このとき、\begin{eqnarray*}x\times y &=&\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right) \\
&=&\left(
x_{2}ax_{3}-x_{3}ax_{2},x_{3}ax_{1}-x_{1}ax_{3},x_{1}ax_{2}-x_{2}ax_{1}\right) \quad \because y=ax \\
&=&\left( 0,0,0\right)
\end{eqnarray*}を得ます。平行な非ゼロベクトルどうしの外積はゼロベクトルであるということです。

外積は3次元空間上の2つのベクトルに対してのみ適用されます。それ以外のベクトルに対して外積は定義されません。

例(外積)
2次元空間の2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{2}\)を任意に選んだとき、それらの外積\(x\times y\)は定義されません。

 

行列式を用いた外積の表現

3次元空間における2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)の外積を、\begin{equation*}x\times y=\left(
x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2},x_{3}y_{1}-x_{1}y_{3},x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}\right)
\end{equation*}と定義しましたが、これを覚えるのは容易ではありません。行列式の概念を用いれば外積を比較的容易に導出できます。

実数を正方形に配列したもの\begin{equation*}
\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{pmatrix}\end{equation*}を\(2\)次の正方行列と呼びます。さらに、\(2\)次の正方行列の行列式を、\begin{equation*}\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{vmatrix}=a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}
\end{equation*}っと定義します。つまり、右辺の展開式は、左辺の行列式の左上と右下の成分の積\(a_{11}a_{22}\)、すなわち\(\searrow \)方向の積から、右上と左下の積\(a_{12}a_{21}\)、すなわち\(\swarrow \)方向の積を引いたものになっています。つまり、\begin{equation*}\begin{vmatrix}
a_{11} & a_{12} \\
a_{21} & a_{22}\end{vmatrix}=\left( \searrow \text{方向の積}a_{11}a_{22}\right)
-\left( \swarrow \text{方向の積}a_{12}a_{21}\right)
\end{equation*}というルールのもとで行列式の値を導出できます。

外積に話を戻しましょう。2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)が与えられたとき、それらの成分を並べると以下の行列\begin{equation}\begin{pmatrix}
x_{1} & x_{2} & x_{3} \\
y_{1} & y_{2} & y_{3}\end{pmatrix}
\quad \cdots (1)
\end{equation}が得られます。\(\left( 1\right) \)から第\(1\)列の成分を消去すると以下の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
x_{2} & x_{3} \\
y_{2} & y_{3}\end{pmatrix}\end{equation*}が得られますが、その行列式は、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
x_{2} & x_{3} \\
y_{2} & y_{3}\end{vmatrix}=x_{2}y_{3}-x_{3}y_{2}
\end{equation*}であり、これは外積\(x\times y\)の第\(1\)成分と一致します。また、\(\left( 1\right) \)から第\(2\)列の成分を消去すると以下の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
x_{1} & x_{3} \\
y_{1} & y_{3}\end{pmatrix}\end{equation*}が得られますが、その行列式は、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{3} \\
y_{1} & y_{3}\end{vmatrix}=x_{1}y_{3}-x_{3}y_{1}
\end{equation*}であり、これに\(-1\)を掛けたものは外積\(x\times y\)の第\(2\)成分と一致します。\(\left( 1\right) \)から第\(3\)列の成分を消去すると以下の正方行列\begin{equation*}\begin{pmatrix}
x_{1} & x_{2} \\
y_{1} & y_{2}\end{pmatrix}\end{equation*}が得られますが、その行列式は、\begin{equation*}
\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{2} \\
y_{1} & y_{2}\end{vmatrix}=x_{1}y_{2}-x_{2}y_{1}
\end{equation*}であり、これは外積\(x\times y\)の第\(3\)成分と一致します。以上より、\begin{equation*}x\times y=\left(
\begin{vmatrix}
x_{2} & x_{3} \\
y_{2} & y_{3}\end{vmatrix},-\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{3} \\
y_{1} & y_{3}\end{vmatrix},\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{2} \\
y_{1} & y_{2}\end{vmatrix}\right)
\end{equation*}という関係が成り立つことが明らかになりました。

命題(行列式を用いた外積の表現)
3次元空間において2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、以下の関係\begin{equation*}x\times y=\left(
\begin{vmatrix}
x_{2} & x_{3} \\
y_{2} & y_{3}\end{vmatrix},-\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{3} \\
y_{1} & y_{3}\end{vmatrix},\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{2} \\
y_{1} & y_{2}\end{vmatrix}\right)
\end{equation*}が成立する。

例(行列式を用いた外積の表現)
以下の2つのベクトル\begin{eqnarray*}
x &=&\left( 1,2,3\right) \\
y &=&\left( 2,3,4\right)
\end{eqnarray*}の外積は、\begin{eqnarray*}
x\times y &=&\left(
\begin{vmatrix}
x_{2} & x_{3} \\
y_{2} & y_{3}\end{vmatrix},-\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{3} \\
y_{1} & y_{3}\end{vmatrix},\begin{vmatrix}
x_{1} & x_{2} \\
y_{1} & y_{2}\end{vmatrix}\right) \\
&=&\left(
\begin{vmatrix}
2 & 3 \\
3 & 4\end{vmatrix},-\begin{vmatrix}
1 & 3 \\
2 & 4\end{vmatrix},\begin{vmatrix}
1 & 2 \\
2 & 3\end{vmatrix}\right) \\
&=&\left( 2\cdot 4-3\cdot 3,-\left( 1\cdot 4-3\cdot 2\right) ,1\cdot
3-2\cdot 2\right) \\
&=&\left( -1,2,-1\right)
\end{eqnarray*}となります。

 

外積の方向(右手の法則)

先の議論から明らかになったように、外積\(x\times y\)は2つのベクトル\(x,y\)の双方と垂直なベクトルですが、外積と反対方向にあるベクトル\(-\left( x\times y\right) \)もまた\(x,y\)の双方と垂直です。つまり、\(x,y\)の双方と垂直なベクトルの方向としては2種類存在します。では、外積\(x\times y\)とベクトル\(x,y\)の位置関係をどのように特定すればよいのでしょうか。

下図のように、ベクトル\(x\)の方向を右手の人差し指が指す向きとして、ベクトル\(y\)の方向を右手の中指が刺す向きとしてそれぞれ表現したとき、外積\(x\times y\)の方向は親指が指す向きと一致します。これを右手の法則(right-hand rule)と呼びます。

図:右手の法則
図:右手の法則

 

外積の大きさ(外積のノルム)

外積\(x\times y\)はベクトルであるため、その大きさをノルムとして表現できますが、外積のノルムは以下のように定まります。

命題(外積のノルム)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選ぶ。\(x\)と\(y\)のなす角が\(\theta \)である場合には、\begin{equation*}\left\Vert x\times y\right\Vert =\left\Vert x\right\Vert \left\Vert
y\right\Vert \sin \left( \theta \right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。ただし、\(0\leq \theta \leq \pi \)である。
証明

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例(外積のノルム)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)が同一方向にある場合、それらのなす角は\(\theta =0\)であるため、\begin{eqnarray*}\left\Vert x\times y\right\Vert &=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert
y\right\Vert \sin \left( \theta \right) \\
&=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert y\right\Vert \sin \left( 0\right)
\quad \because \theta =0 \\
&=&0\quad \because \sin \left( 0\right) =0
\end{eqnarray*}となります。

例(外積のノルム)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)が反対方向にある場合、それらのなす角は\(\theta =\pi \)であるため、\begin{eqnarray*}\left\Vert x\times y\right\Vert &=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert
y\right\Vert \sin \left( \theta \right) \\
&=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert y\right\Vert \sin \left( \pi \right)
\quad \because \theta =\pi \\
&=&0\quad \because \sin \left( \pi \right) =0
\end{eqnarray*}となります。

例(外積のノルム)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)が垂直である場合、それらのなす角は\(\theta =\frac{\pi }{2}\)であるため、\begin{eqnarray*}\left\Vert x\times y\right\Vert &=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert
y\right\Vert \sin \left( \theta \right) \\
&=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert y\right\Vert \sin \left( \frac{\pi }{2}\right) \quad \because \theta =\frac{\pi }{2} \\
&=&\left\Vert x\right\Vert \left\Vert y\right\Vert \quad \because \sin
\left( \frac{\pi }{2}\right) =1
\end{eqnarray*}となります。

先の命題を踏まえると以下を得ます。

命題(外積のノルム)
2つの非ゼロベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\backslash \left\{ 0\right\} \)を任意に選ぶ。\(x\)と\(y\)のなす角\(\theta \)が、\begin{equation*}0<\theta <\pi
\end{equation*}を満たす場合には、\begin{equation*}
x\times y=\left\Vert x\right\Vert \left\Vert y\right\Vert \sin \left( \theta
\right) n
\end{equation*}という関係が成り立つ。ただし、\(n\)は外積\(x\times y\)と同じ方向にある単位ベクトルである。すなわち、\begin{equation*}n=\frac{x\times y}{\left\Vert x\times y\right\Vert }
\end{equation*}である。

証明

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上の命題では、2つのベクトル\(x,y\)の少なくとも一方がゼロベクトルである場合や、\(x\)と\(y\)のなす角\(\theta \)が\(0\)または\(\pi \)である場合などを対象外としています。ただ、先に例を通じて確認したように、これらの場合には外積\(x\times y\)がゼロベクトルになります。

 

外積との内積

2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、これらの外積\(x\times y\)もまた3次元空間\(\mathbb{R} ^{3}\)におけるベクトルであるため、\(x\)との内積や\(y\)との内積をとることができますが、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ x\cdot \left( x\times y\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ y\cdot \left( x\times y\right) =0
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

命題(外積との内積)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ x\cdot \left( x\times y\right) =0 \\
&&\left( b\right) \ y\cdot \left( x\times y\right) =0
\end{eqnarray*}などが成り立つ。

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外積との外積

3つのベクトル\(x,y,z\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、\(y\)と\(z\)の外積\(y\times z\)もまた3次元空間\(\mathbb{R} ^{3}\)におけるベクトルであるため、これと残されたベクトル\(x\)の外積\(x\times \left( y\times z\right) \)をとることができますが、\begin{equation*}x\times \left( y\times z\right) =\left( x\cdot z\right) y-\left( x\cdot
y\right) z
\end{equation*}という関係が成り立つことが保証されます。

命題(外積との外積)
3つのベクトル\(x,y,z\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}x\times \left( y\times z\right) =\left( x\cdot z\right) y-\left( x\cdot
y\right) z
\end{equation*}が成り立つ。

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外積と内積の関係(ラグランジュの恒等式)

3次元空間におけるベクトルに対しては外積が定義されますが、外積と内積の間には以下の関係が成り立ちます。これをラグランジュの恒等式(Lagrange’s identity)と呼びます。

命題(ラグランジュの恒等式)
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)を任意に選んだとき、\begin{equation*}\left\Vert x\times y\right\Vert ^{2}=\left\Vert x\right\Vert ^{2}\left\Vert
y\right\Vert ^{2}-\left( x\cdot y\right) ^{2}
\end{equation*}が成り立つ。

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演習問題

問題(外積)
以下の2つのベクトル\begin{eqnarray*}
x &=&\left( 2,-1,1\right) \\
y &=&\left( 1,2,1\right)
\end{eqnarray*}について、外積\(x\times y\)を求めてください。
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問題(外積)
以下の2つのベクトル\begin{eqnarray*}
x &=&\left( 2,3,4\right) \\
y &=&\left( 5,6,7\right)
\end{eqnarray*}について、外積\(x\times y\)を求めてください。
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問題(gaiseki )
2つのベクトル\(x,y\in \mathbb{R} ^{3}\)について、これらのノルムが、\begin{eqnarray*}\left\Vert x\right\Vert &=&3 \\
\left\Vert y\right\Vert &=&4
\end{eqnarray*}を満たすとともに、\(x\)と\(y\)がなす角\(\theta \)が、\begin{equation*}\theta =\frac{\pi }{6}
\end{equation*}であるものとします。外積\(x\times y\)を求めてください。ただし、外積\(x\times y\)と同じ方向にある単位ベクトルを\(n\)で表記してよいものとします。
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