全称命題の論理積は論理積に対する全称命題と同値です。一方、存在命題の論理積は論理積に関する存在命題と同値ではありません。

量化 論理積

2019年3月9日:公開

全称記号と論理積

全称記号\(\forall \)と論理積\(\wedge \)の間には以下の関係が成り立ちます。

命題(量化記号と論理積の関係)
任意の論理式\(A,B\)と変数\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
\left( \forall x\in X\ A\right) \wedge \left( \forall x\in X\ B\right) \ \Leftrightarrow \ \forall x\in X\ \left( A\wedge B\right)
\end{equation*}が成り立つ。
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この命題は、全称命題の論理積は論理積に対する全称命題と同値であることを表しています。

 

1変数の命題関数に関する特殊ケース

上の命題において論理式\(A\)を命題関数\(P\left( x\right)\)として、論理式\(B\)を命題関数\(Q\left( x\right) \)として特定することで、以下のような特殊ケースを得ます。

系(量化記号と論理積の関係)
任意の命題関数\(P\left( x\right) ,Q\left( x\right) \)と変数\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}
\left( \forall x\in X\ P\left( x\right) \right) \wedge \left( \forall x\in X\ Q\left( x\right) \right) \ \Leftrightarrow \ \forall x\in X\ \left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}が成り立つ。
例(量化記号と論理積の関係)
「任意の実数\(x\)について\(x^{2}\not=-1\)かつ\(x^{2}\geq 0\)が成り立つ」という命題について考えます。実数を値として取り得る変数\(x\)に関する命題関数\begin{eqnarray*}
P\left( x\right) &:&x^{2}\not=-1 \\
Q\left( x\right) &:&x^{2}\geq 0
\end{eqnarray*}を導入すると、当初の命題は\begin{equation*}
\forall x\in \mathbb{R} \ \left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}と表現できます。先の命題より、これは、\begin{equation*}
\left( \forall x\in X\ P\left( x\right) \right) \wedge \left( \forall x\in X\ Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\text{任意の実数}x\text{について}x^{2}\not=-1\text{かつ任意の実数}x\text{について}x^{2}\geq 0\text{が成り立つ}
\end{equation*}と言い換え可能です。

 

存在記号と論理積

先の系において\(\forall \)を\(\exists \)に入れ替えてできる\begin{equation*}
\left( \exists x\in X\ P\left( x\right) \right) \wedge \left( \exists x\in X\ Q\left( x\right) \right) \ \Leftrightarrow \ \exists x\in X\ \left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x\right) \right)
\end{equation*}について考えてみましょう。\(\Leftarrow \)は明らかに成り立ちますが、\(\Rightarrow \)は成り立つとは限りません。例えば、\(x\)が2つの値\(x_{1},x_{2}\)をとり得ると同時に、\(P\left( x_{1}\right) \)と\(Q\left( x_{2}\right) \)は真で\(P\left( x_{2}\right) \)と\(Q\left( x_{1}\right) \)が偽であるとき、\(\left( \exists x\in X\ P\left( x\right) \right) \wedge \left( \exists x\in X\ Q\left( x\right) \right) \)は真ですが\(\exists x\in X\ \left( P\left( x\right) \wedge Q\left( x\right) \right) \)は偽になります。

この結果を一般的な形で表現すると、変数\(x\)と論理式\(A,B\)に対して、\begin{equation*}
\left( \exists x\in X\ A\right) \wedge \left( \exists x\in X\ B\right) \ \Leftrightarrow \ \exists x\in X\ \left( A\wedge B\right)
\end{equation*}という関係は成り立つとは限らないということです。

次回は量化記号と論理和の関係について解説します。

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