区間の体積
私たちの目標はユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)の部分集合の外延量を測定することですが、当面は点集合の中でも有界な右半開区間だけを外延量の測定対象としました。ただし、有界な右半開区間とは、以下の条件\begin{equation*}\forall i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :-\infty <a_{i}\leq b_{i}<+\infty
\end{equation*}を満たす実数\(a_{i},b_{i}\in \mathbb{R} \)を用いて、\begin{eqnarray*}I &=&\left[ a_{1},b_{1}\right) \times \cdots \times \left[
a_{n},b_{n}\right) \\
&=&\prod_{i=1}^{n}\left[ a_{i},b_{i}\right) \\
&=&\left\{ \left( x_{1},\cdots ,x_{n}\right) \in \mathbb{R} ^{n}\ |\ \forall i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :a_{i}\leq
x_{i}<b_{i}\right\}
\end{eqnarray*}と定義される集合です。以降ではこれをシンプルに区間と呼びます。すべての区間を集めることにより得られる集合族を、\begin{equation*}
\mathfrak{S}=\left\{ \prod_{i=1}^{n}\left[ a_{i},b_{i}\right) \subset \mathbb{R} ^{n}\ |\ \forall i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} :-\infty <a_{i}\leq
b_{i}<+\infty \right\}
\end{equation*}で表記し、これが集合半環であることを示しました。つまり、\(\mathfrak{S}\)は空集合を要素として持ち、共通部分について閉じており、さらに、\(\mathfrak{S}\)の任意の2つの要素の差集合は、有限個の互いに素な\(\mathfrak{S}\)の要素の和集合として表すことができます。
外延量の測定対象となる区間からなる集合族\(\mathfrak{S}\)が与えられたとき、続いて問題になるのは、この集合族\(\mathfrak{S}\)に属するそれぞれの区間の外延量をどのように表現すべきかということです。区間の外延量を表す概念として私たちに馴染み深いものは体積(volume)です。具体的には、それぞれの区間\(I=\prod_{i=1}^{n}\left[a_{i},b_{i}\right) \in \mathfrak{S}\)の体積は、\begin{equation*}\left( b_{1}-a_{1}\right) \times \cdots \times \left( b_{n}-a_{1}\right)
\end{equation*}と定義されます。以降においても区間の外延量として「体積」を採用した上で、区間の集合族に属するそれぞれの区間\(I\in \mathfrak{S}\)に対して、その体積\(m\left( I\right) \)を特定する関数\(m\)を定義し、これを体積関数(volume function)と呼びます。また、区間の集合族\(\mathfrak{S}\)上に体積関数\(m\)が定義されていることを明示したい場合には、\begin{equation*}\mathfrak{S}_{m}
\end{equation*}と表記することとします。
\end{equation*}の体積は、\begin{eqnarray*}
m\left( I_{1}\right) &=&\left( 1-0\right) \times \cdots \times \left(
1-0\right) \\
&=&1\times \cdots \times 1 \\
&=&1
\end{eqnarray*}です。また、以下の区間\begin{equation*}
I_{2}=\left[ -1,1\right) \times \cdots \times \left[ -1,1\right)
\end{equation*}の体積は、\begin{eqnarray*}
m\left( I_{2}\right) &=&\left[ 1-\left( -1\right) \right] \times \cdots
\times \left[ 1-\left( -1\right) \right] \\
&=&2\times \cdots \times 2 \\
&=&2^{n}
\end{eqnarray*}です。空集合\(\phi \)は少なくとも1つの番号\(i\in\left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について\(a_{i}=b_{i}\)を満たす区間\(\prod_{i=1}^{n}\left[a_{i},b_{i}\right) \)に相当するため、その体積は、\begin{eqnarray*}m\left( \phi \right) &=&\left( b_{1}-a_{1}\right) \times \cdots \times
\left( b_{n}-a_{1}\right) \\
&=&0\quad \because b_{i}-a_{i}=0
\end{eqnarray*}です。
a_{3},b_{3}\right)
\end{equation*}と表現されます。したがって、区間の体積は、\begin{equation*}
m\left( I\right) =\left( b_{1}-a_{1}\right) \left( b_{2}-a_{2}\right) \left(
b_{3}-a_{3}\right)
\end{equation*}となります。これは直方体の体積と一致します。
\end{equation*}と表現されます。したがって、区間の体積は、\begin{equation*}
m\left( I\right) =\left( b_{1}-a_{1}\right) \left( b_{2}-a_{2}\right)
\end{equation*}となります。これは長方形の面積と一致します。
\end{equation*}と表現されます。したがって、区間の体積は、\begin{equation*}
m\left( I\right) =b-a
\end{equation*}となります。これは区間の長さと一致します。
区間の体積の有限性
区間の体積の性質を確認します。区間\(I\in \mathfrak{S}_{m}\)を任意に選んだとき、その体積は、\begin{equation*}0\leq m\left( I\right) <+\infty
\end{equation*}を満たします。区間の体積は有限な非負の実数であるということです。言い換えると、体積関数\(m\)は区間の集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)を定義域とし、非負の実数からなる集合\(\mathbb{R} _{+}\)を終集合とする関数\begin{equation*}m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}
\end{equation*}であるということです。このような性質を指して、\(m\)は有限(finite)であるとか完全有限(totally finite)であるなどと言います。
区間の長さの有限加法性
区間の集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)の中から有限個の互いに素な区間を任意に選んだ上で、それらを要素とする有限集合列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)を作ります。つまり、\(\left\{I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)は互いに素な区間からなる有限集合列です。その上で、この集合列の和集合\begin{equation*}\bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}
\end{equation*}をとります。\(\mathfrak{S}_{m}\)は和集合については閉じていないため、この和集合は\(\mathfrak{S}_{m}\)の要素であるとは限りません。互いに素な有限個の区間の和集合は区間であるとは限らないということです。その一方で、\begin{equation*}\bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}\in \mathfrak{S}_{m}
\end{equation*}を満たす集合列\(\left\{I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)に対しては、つまり、互いに素な有限個の区間の和集合として表される区間に対しては、体積関数\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)はその体積\begin{equation*}m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}\right) \in \mathbb{R} _{+}
\end{equation*}を定めます。しかもこの場合、\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)の和集合に相当する区間の体積と、\(\left\{I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)の要素である個々の区間の体積の間には以下の関係\begin{equation*}m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}\right) =\sum_{k=1}^{K}m\left(
I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、互いに素な有限個の区間の和集合が区間である場合、その和集合に相当する区間の体積は、個々の体積の面積の総和と一致するということです。このような性質を指して、\(m\)は有限加法性(finite additivity)を満たすと言います。
体積関数の有限加法性を証明する前に、まずは補題を示します。
ユークリッド空間\(\mathbb{R} ^{n}\)上の区間\(I\in \mathfrak{S}\)が与えられたとき、これは\(n\)個の\(\mathbb{R} \)上の区間\(J_{1},\cdots ,J_{n}\)を用いて、\begin{eqnarray*}I &=&J_{1}\times \cdots \times J_{n} \\
&=&\prod_{i=1}^{n}J_{i}
\end{eqnarray*}と表現されます。それぞれの\(i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について\(J_{i}\)は数直線\(\mathbb{R} \)上の区間であるため、これは有限個の互いに素な\(\mathbb{R} \)上の区間の和集合として表現可能です。つまり、\(J_{i}\)は有限\(N_{i}\)個の互いに素な\(\mathbb{R} \)上の区間\(J_{i,1},\cdots ,J_{i,N_{i}}\)を用いて、\begin{eqnarray*}J_{i} &=&J_{i,1}\cup \cdots \cup J_{i,N_{i}} \\
&=&\bigcup_{j_{i}=1}^{N_{i}}J_{i,j_{i}}
\end{eqnarray*}と表現されます。それぞれの順序対\(\left( j_{1},\cdots,j_{n}\right) \in \left\{ 1,\cdots ,N_{1}\right\} \times \cdots \times \left\{ 1,\cdots ,N_{n}\right\} \)に対して、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の区間\begin{eqnarray*}I_{\left( j_{1},\cdots ,j_{n}\right) } &=&J_{1,j_{1}}\times \cdots \times
J_{n,j_{n}} \\
&=&\prod_{i=1}^{n}J_{i,j_{i}}
\end{eqnarray*}を定義した場合、これらの区間の体積の総和は、もとの区間\(I\)の体積と一致します。つまり、\begin{equation*}m\left( I\right) =\sum_{j_{1}=1}^{N_{1}}\cdots \sum_{j_{n}=1}^{N_{n}}m\left(
I_{\left( j_{1},\cdots ,j_{n}\right) }\right)
\end{equation*}が成り立つということです。
\end{equation*}と表される。それぞれの\(i\in \left\{ 1,\cdots ,n\right\} \)について、\(J_{i}\)は有限\(N_{i}\)個の互いに素な\(\mathbb{R} \)上の区間\(J_{i,1},\cdots ,J_{i,N_{i}}\)を用いて、\begin{equation*}J_{i}=\bigcup_{j_{i}=1}^{N_{i}}J_{i,j_{i}}
\end{equation*}と表される。それぞれの順序対\(\left( j_{1},\cdots ,j_{n}\right)\in \left\{ 1,\cdots ,N_{1}\right\} \times \cdots \times \left\{ 1,\cdots ,N_{n}\right\} \)に対して、\(\mathbb{R} ^{n}\)上の区間\begin{equation*}I_{\left( j_{1},\cdots ,j_{n}\right) }=\prod_{i=1}^{n}J_{i,j_{i}}
\end{equation*}を定義したとき、以下の関係\begin{equation*}
m\left( I\right) =\sum_{j_{1}=1}^{N_{1}}\cdots \sum_{j_{n}=1}^{N_{n}}m\left(
I_{\left( j_{1},\cdots ,j_{n}\right) }\right)
\end{equation*}が成り立つ。
以上の補題を踏まえた上で、体積関数の有限加法性を示します。
\end{equation*}を満たす場合には、\begin{equation*}
m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}\right) =\sum_{k=1}^{K}m\left(
I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立つ。
区間の体積の一意性
区間の集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)は集合半環であるため、区間\(I\in \mathfrak{S}_{m}\)を任意に選んだとき、これは互いに素な区間の和集合として表現可能です。つまり、互いに素な有限個の区間\(I_{1},\cdots ,I_{K}\in \mathfrak{S}_{m}\)を用いて、\begin{equation*}I=\bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}
\end{equation*}と表現できるということです。さらに、区間の体積\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)の有限加法性より、この区間\(I\)の体積は、\begin{equation}m\left( I\right) =\sum\limits_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right) \quad \cdots (1)
\end{equation}と定まります。ただ、区間を有限展開する方法は一意的であるとは限りません。つまり、先の区間\(I\)に対して、先ほどとは異なる互いに素な有限個の区間\(J_{1},\cdots ,J_{L}\in \mathfrak{S}_{m}\)が存在し、これらの間にも、\begin{equation*}I=\bigcup\limits_{l=1}^{L}J_{l}
\end{equation*}という関係が成立し得るということです。このとき、やはり\(m\)の有限加法性より、\begin{equation}m\left( I\right) =\sum\limits_{l=1}^{L}m\left( J_{l}\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。つまり、区間を異なる方法で有限展開したとき、その区間の体積は\(\left( 1\right) \)と\(\left( 2\right) \)のように異なる形で表されますが、実は、両者の値は常に一致することが保証されます。それぞれの区間の体積は有限展開の仕方によらず一定であるということです。言い換えると、区間の体積\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)は写像であるということです。
区間の体積の単調性
ある区間\(I\)が別の区間\(J\)の部分集合であるならば,\(I\)の体積は\(J\)の体積以下になるというのは直感的に正しそうですが、これは正しい主張です。区間の体積が満たすこのような性質を単調性(monotonicity)と呼びます。
\end{equation*}が成り立つ。
区間の体積の減法性
ある区間\(I\)が別の区間\(J\)の部分集合であるものとします。区間集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)は集合半環である一方で差集合については閉じておらず、したがって差集合\(J\backslash I\)は区間であるとは限りません。一方、\(J\backslash I\)が区間である場合、すなわち\(J\backslash I\in \mathfrak{S}_{m}\)が成り立つ場合、その体積は\(J\)の体積と\(I\)の体積の差になります。区間の体積が満たすこのような性質を減法性(subtractivity)と呼びます。
&&\left( b\right) \ J\backslash I\in \mathfrak{S}_{m}
\end{eqnarray*}をともに満たす任意の区間\(I,J\in \mathfrak{S}_{m}\)に対して、\begin{equation*}m\left( J\backslash I\right) =m\left( J\right) -m\left( I\right)
\end{equation*}が成り立つ。
区間の体積のσ-劣加法性
区間\(I\in \mathfrak{S}_{m}\)が有限区間列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\subset \mathfrak{S}_{m}\)によって被覆されるものとします。つまり、\begin{equation*}I\subset \bigcup\limits_{k=1}^{K}I_{k}
\end{equation*}が成り立つということです。この場合、区間\(I\)の体積は、個々の区間\(I_{1},\cdots ,I_{K}\)の体積の和以下になります。つまり、\begin{equation*}m\left( I\right) \leq \sum\limits_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立ちます。区間の体積が満たすこのような性質を有限劣加法性(funite subtractivity)と呼びます。この命題において、区間列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{K}\)の要素は互いに素であるとは限らない点に注意が必要です。
\end{equation*}が成り立つ場合には、区間の体積\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)について、\begin{equation*}m\left( I\right) \leq \sum\limits_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立つ。
同様の主張が可算被覆についても成立します。つまり、区間\(I\in \mathfrak{S}_{m}\)が可算区間列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{+\infty }\subset \mathfrak{S}_{m}\)によって被覆される場合には、すなわち、\begin{equation*}I\subset \bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}
\end{equation*}が成り立つ場合には、以下の関係\begin{equation*}
m\left( I\right) \leq \sum\limits_{k=1}^{+\infty }m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立ちます。ただし、右辺は可算個の区間の長さから構成される無限級数の和であり、具体的には、部分和\begin{equation*}
S_{K}=\sum_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}を項とする数列\(\left\{S_{K}\right\} \)の極限\(\lim\limits_{K\rightarrow +\infty}S_{K}\)として定義されます。つまり、先の関係を正確に表現すると、\begin{equation*}m\left( I\right) \leq \lim_{K\rightarrow +\infty }\left[ \sum_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right) \right]
\end{equation*}となります。区間の体積が満たすこのような性質を\(\sigma \)-劣加法性(\(\sigma \)-subadditivity)や可算劣加法性(countable subadditivity)などと呼びます。この命題において、区間列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{+\infty }\)の要素は互いに素であるとは限らない点に注意が必要です。
\end{equation*}が成り立つ場合には、区間の体積\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)について、\begin{equation*}m\left( I\right) \leq \sum\limits_{k=1}^{+\infty }m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立つ。
区間の体積のσ-加法性
区間の集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)の中から可算個の互いに素な区間を任意に選んだ上で、それらを要素とする集合列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{\infty }\)を作ります。つまり、\(\left\{ I_{k}\right\}_{k=1}^{+\infty }\)は互いに素な区間からなる可算集合列です。その上で、この集合列の和集合\begin{equation*}\bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}
\end{equation*}をとります。\(\mathfrak{S}_{m}\)は和集合については閉じていないため、この和集合は\(\mathfrak{S}_{m}\)の要素であるとは限りません。互いに素な可算個の区間の和集合は区間であるとは限らないということです。その一方で、\begin{equation*}\bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}\in \mathfrak{S}_{m}
\end{equation*}を満たす集合列\(\left\{I_{k}\right\} _{k=1}^{+\infty }\)に対しては、つまり、互いに素な可算個の区間の和集合として表される区間に対しては、体積関数\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)はその体積\begin{equation*}m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}\right) \in \mathbb{R} _{+}
\end{equation*}を定めます。しかもこの場合、\(\left\{ I_{k}\right\}_{k=1}^{+\infty }\)の和集合に相当する区間の体積と、\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{+\infty }\)の要素である個々の区間の体積の間には以下の関係\begin{equation*}m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}\right) =\sum_{k=1}^{+\infty
}m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}\right) =\lim_{K\rightarrow
+\infty }\left[ \sum_{k=1}^{K}m\left( I_{k}\right) \right]
\end{equation*}が成り立ちます。区間の体積が満たすこのような性質を\(\sigma \)-加法性(\(\sigma \)-additivity)を満たすと言います。\(\sigma \)-劣加法性の場合とは異なり、\(\sigma \)-加法性では区間列\(\left\{ I_{k}\right\} _{k=1}^{+\infty }\)の要素は互いに素である点に注意が必要です。
\end{equation*}を満たす場合には、\begin{equation*}
m\left( \bigcup\limits_{k=1}^{+\infty }I_{k}\right) =\sum_{k=1}^{+\infty
}m\left( I_{k}\right)
\end{equation*}が成り立つ。
区間の体積はσ-加法測度
集合\(X\)の部分集合族\(\mathfrak{A}\)上に定義された関数\(m\)がそれぞれの集合\(A\in \mathfrak{A}\)に対して定める値が非負の実数もしくは正の無限大である場合には、すなわち、\begin{equation*}0\leq m\left( A\right) \leq +\infty
\end{equation*}が成り立つ場合には、この関数\(m\)は非負性(non-negativity)を満たすと言います。また、集合\(X\)の部分集合族\(\mathfrak{A}\)が集合半環であるとともに、関数\(m\)が非負性と\(\sigma \)-加法性をともに満たす場合には、\(m\)を\(\sigma \)-加法測度(\(\sigma \)-additive measure)や可算測度(countable measure)などと呼び、\(m\)がそれぞれの集合\(A\in \mathfrak{A}\)に対して定める値\(m\left( A\right) \)を\(A\)の測度(measure)と呼びます。
これまでの議論から明らかになったように、区間の集合族\(\mathfrak{S}_{m}\)は集合半環であり、区間の体積\(m:\mathfrak{S}_{m}\rightarrow \mathbb{R} _{+}\)は有限性と\(\sigma \)-加法性を満たします。有限性は明らかに非負性を含意するため、結局、区間の体積\(m\)は\(\sigma \)-加法測度であるということになります。
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