確率がとり得る値の範囲

任意の事象の確率は 0 以上 1 以下であることを確率論の公理より証明します。これは、確率関数が実数を値としてとる実数値関数であることを保証します。

確率 範囲

確率がとり得る値の範囲

確率空間\((\Omega ,\mathcal{F},P)\)が与えられたとき、\(A\in \mathcal{F}\)を満たす事象\(A\subset \Omega \)を任意に選びますが、その確率\(P\left( A\right) \)はどのような値をとり得るでしょうか。これも確率論の公理、もしくはそこから導かれた命題から導く必要があります。

確率論の公理について復習する

まず、公理\(\left( P_{1}\right) \)より\(P\left( A\right) \geq 0\)です。続いて、\(P\left( A\right) >1\)と仮定して矛盾を導きます。公理\(\left( M_{2}\right) \)より、\(A\in \mathcal{F}\)の場合には\(A^{c}\in \mathcal{F}\)が成り立ちます。さらに、確率論の公理より、\(P\left( A^{c}\right) =1-P\left( A\right) \)が成り立つことをすでに示しました。すると、\begin{eqnarray*}
P\left( A^{c}\right) &=&1-P\left( A\right) \\
&<&0\quad \because P\left( A\right) >1
\end{eqnarray*}が成り立ちますが、これは公理\(\left( P_{1}\right) \)と矛盾します。したがって、\(P\left( A\right) \leq 1\)であることが示されました。つまり、任意の事象の確率は\(0\)以上\(1\)以下の値をとり得ます。

余事象の確率について復習する
命題(確率がとり得る値の範囲)
確率空間\((\Omega ,\mathcal{F},P)\)において、事象\(A\in \mathcal{F}\)を任意に選ぶと、\begin{equation*}
0\leq P\left( A\right) \leq 1
\end{equation*}が成り立つ。
証明を見る(プレミアム会員限定)

 

確率関数は実数値関数

排反な可算個の事象\(A_{1},A_{2},\cdots \in \mathcal{F}\)を任意にとったとき、確率論の公理より、それらの和事象の確率は、\begin{equation*}
P\left( \bigcup_{i=1}^{\infty }A_{i}\right) =\sum_{i=1}^{\infty }P\left( A_{i}\right)
\end{equation*}として定義されます。この右辺は無限級数の和であり、具体的には部分和\(S_{n}=\sum_{i=1}^{n}P\left( A_{i}\right) \)を項とする数列\(\{S_{n}\}\)の極限\(\lim\limits_{n\rightarrow \infty }S_{n}\)のことです。

確率関数について復習する

確率関数を実数値関数\(P:\mathcal{F}\rightarrow \mathbb{R}\)として定義することは、上の極限が常に存在することを含意していますが、これまでその根拠を明示してきませんでした。しかし、先に示した命題より、任意の事象\(A\in \mathcal{F}\)の確率は\(0\leq P\left( A\right) \leq 1\)を満たすため、\(f\)の値域が\(P\left( \mathcal{F}\right) =\left[ 0,1\right] \subset \mathbb{R}\)となります。したがって、確率論の公理は、確率関数が実数値関数であることを保証します。

次回は部分事象の確率に関する単調性と呼ばれる性質について解説します。

次へ進む 質問・コメントを投稿する 演習問題(プレミアム会員限定)

ワイズをさらに活用するための会員サービス

ユーザー名とメールアドレスを入力して一般会員に無料登録すれば、質問やコメントを投稿できるようになります。さらに、有料(500円/月)のプレミアム会員へアップグレードすることにより、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題、解答など)にアクセスできます。
会員サービス

ディスカッションに参加しますか?

質問やコメントを投稿するにはログインが必要です。
ログイン

コメントを残す

アカウント
ログイン