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離散型確率変数の分布関数から導かれる確率

目次

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確率変数がある値より大きい値をとる確率

離散型の確率変数\(X\)の分布関数\(F\)が与えられているものとします。つまり、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\(X\)が\(x\)以下の値をとる確率\begin{equation*}F\left( x\right) =P\left( X\leq x\right) =\sum_{x_{i}\leq x}f\left(
x_{i}\right)
\end{equation*}を定める関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているということです。ただし、\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)は\(X\)の確率関数です。分布関数\(F\)は確率変数\(X \)の分布に関する豊富な情報を含んでいるため、そこから様々な確率を導くことができます。

確率変数がある値よりも大きい値をとる確率は以下のようにして導出できます。

命題(確率変数がある値より大きい値をとる確率)
確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)と離散型の確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在するならば、それぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}P\left( X>x\right) =1-F\left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。

証明

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例(確率変数がある値より大きい値をとる確率)
離散型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域が、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ 1,2,3,4\right\}
\end{equation*}であり、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<1\right) \\
\frac{2}{5} & \left( if\ 1\leq x<2\right) \\
\frac{7}{10} & \left( if\ 2\leq x<3\right) \\
\frac{9}{10} & \left( if\ 3\leq x<4\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 4\right)
\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めるものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
P\left( X>0\right) &=&1-F\left( 0\right) \quad \because P\left( X>x\right)
=1-F\left( x\right) \\
&=&1-0\quad \because \left( 1\right) \\
&=&1
\end{eqnarray*}となります。また、\begin{eqnarray*}
P\left( X>3\right) &=&1-F\left( 3\right) \quad \because P\left( X>x\right)
=1-F\left( x\right) \\
&=&1-\frac{9}{10}\quad \because \left( 1\right) \\
&=&\frac{1}{10}
\end{eqnarray*}となります。

 

確率変数の値が区間におさまる確率

確率変数の値が区間におさまる確率は以下のようにして導出できます。

命題(確率変数の値が区間におさまる確率)
確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)と離散型の確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在するならば、\(x_{1}<x_{2}\)を満たす\(x_{1},x_{2}\in \mathbb{R} \)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{equation*}P\left( x_{1}<X\leq x_{2}\right) =F\left( x_{2}\right) -F\left( x_{1}\right)
\end{equation*}が成り立つ。

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例(確率変数の値が区間におさまる確率)
離散型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域が、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ 1,2,3,4\right\}
\end{equation*}であり、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<1\right) \\
\frac{2}{5} & \left( if\ 1\leq x<2\right) \\
\frac{7}{10} & \left( if\ 2\leq x<3\right) \\
\frac{9}{10} & \left( if\ 3\leq x<4\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 4\right)
\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めるものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
P\left( 2<X\leq 4\right) &=&F\left( 4\right) -F\left( 2\right) \quad
\because P\left( x_{1}<X\leq x_{2}\right) =F\left( x_{2}\right) -F\left(
x_{1}\right) \\
&=&1-\frac{7}{10}\quad \because \left( 1\right) \\
&=&\frac{3}{10}
\end{eqnarray*}となります。

 

確率変数がある値より小さい値をとる確率

確率変数がある値より小さい値をとる確率は以下のようにして導出できます。

命題(確率変数がある値より小さい値をとる確率)
確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)と離散型の確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在するならば、\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{equation*}P\left( X<x\right) =\lim_{y\rightarrow x-}F\left( y\right)
\end{equation*}が成り立つ。

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例(確率変数がある値より小さい値をとる確率)
離散型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域が、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ 1,2,3,4\right\}
\end{equation*}であり、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<1\right) \\
\frac{2}{5} & \left( if\ 1\leq x<2\right) \\
\frac{7}{10} & \left( if\ 2\leq x<3\right) \\
\frac{9}{10} & \left( if\ 3\leq x<4\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 4\right)
\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めるものとします。このとき、先の命題より、\begin{equation}
P\left( X<2\right) =\lim_{y\rightarrow 2-}F\left( y\right) \quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。そこで、\(2\)より小さい実数を項とするとともに\(2\)へ収束する数列を任意に選びます。つまり、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall n\in \mathbb{N} :y_{n}<2 \\
&&\left( b\right) \ \lim_{n\rightarrow \infty }y_{n}=2
\end{eqnarray*}を満たす数列\(\left\{ y_{n}\right\} \)を任意に選ぶということです。このとき、数列\(\left\{ F\left( y_{n}\right) \right\} \)の極限について、\begin{eqnarray*}\lim_{n\rightarrow \infty }F\left( y_{n}\right) &=&\lim_{n\rightarrow
\infty }\frac{2}{5}\quad \because \left( a\right) \text{と}F\text{の定義} \\
&=&\frac{2}{5}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 2-}F\left( y\right) =\frac{2}{5}
\end{equation*}であることが示されました。これと\(\left( 2\right) \)より、\begin{equation*}P\left( X<2\right) =\frac{2}{5}
\end{equation*}となります。

 

確率変数がある値をとる確率

確率変数がある値をとる確率は以下のようにして導出できます。

命題(確率変数がある値をとる確率)
確率空間\(\left( \Omega ,\mathcal{F},P\right) \)と離散型の確率変数\(X:\Omega \rightarrow \mathbb{R} \)が与えられているものとする。分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が存在するならば、\(x\in \mathbb{R} \)を任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}P\left( X=x\right) &=&F\left( x\right) -\lim_{y\rightarrow x-}F\left(
y\right) \\
&=&\lim_{y\rightarrow x+}F\left( y\right) -\lim_{y\rightarrow x-}F\left(
y\right)
\end{eqnarray*}が成り立つ。

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例(確率変数がある値をとる確率)
離散型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域が、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ 1,2,3,4\right\}
\end{equation*}であり、分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation}F\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
0 & \left( if\ x<1\right) \\
\frac{2}{5} & \left( if\ 1\leq x<2\right) \\
\frac{7}{10} & \left( if\ 2\leq x<3\right) \\
\frac{9}{10} & \left( if\ 3\leq x<4\right) \\
1 & \left( if\ x\geq 4\right)
\end{array}\right. \quad \cdots (1)
\end{equation}を定めるものとします。このとき、先の命題より、\begin{equation}
P\left( X=3\right) =F\left( 3\right) -\lim_{y\rightarrow 3-}F\left( y\right)
\quad \cdots (2)
\end{equation}が成り立ちます。そこで、\(3\)より小さい実数を項とするとともに\(3\)へ収束する数列を任意に選びます。つまり、\begin{eqnarray*}&&\left( a\right) \ \forall n\in \mathbb{N} :y_{n}<3 \\
&&\left( b\right) \ \lim_{n\rightarrow \infty }y_{n}=3
\end{eqnarray*}を満たす数列\(\left\{ y_{n}\right\} \)を任意に選ぶということです。このとき、数列\(\left\{ F\left( y_{n}\right) \right\} \)の極限について、\begin{eqnarray*}\lim_{n\rightarrow \infty }F\left( y_{n}\right) &=&\lim_{n\rightarrow
\infty }\frac{7}{10}\quad \because \left( a\right) \text{と}F\text{の定義} \\
&=&\frac{7}{10}
\end{eqnarray*}となるため、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 3-}F\left( y\right) =\frac{7}{10}
\end{equation*}であることが示されました。これと\(\left( 2\right) \)および\(F\)の定義より、\begin{eqnarray*}P\left( X=3\right) &=&\frac{9}{10}-\frac{7}{10} \\
&=&\frac{2}{10} \\
&=&\frac{1}{5}
\end{eqnarray*}となります。

 

演習問題

問題(分布関数から導かれる確率)
離散型の確率変数\(X:\Omega\rightarrow \mathbb{R} \)の値域が、\begin{equation*}X\left( \Omega \right) =\left\{ 1,2,3,\cdots \right\}
\end{equation*}であり、確率関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\left\{
\begin{array}{cl}
\frac{1}{2^{x}} & \left( if\ x=1,2,3,\cdots \right) \\
0 & \left( otherwise\right)
\end{array}\right.
\end{equation*}を定めるものとします。分布関数\(F:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)を求めた上で、以下の確率\begin{eqnarray*}&&P\left( 2<X\leq 5\right) \\
&&P\left( X>4\right)
\end{eqnarray*}をそれぞれ求めてください。

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次回は離散型確率変数の期待値について解説します。

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ベルヌーイ分布

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