収束する数列と有界性

数列のすべての項からなる集合が上に有界ならば、その数列は上に有界であると言います。また、数列のすべての項からなる集合が下に有界ならば、その数列は下に有界であると言います。上に有界かつ下に有界な数列を有界な数列と呼びます。収束列は有界ですが、有界な数列は収束するとは限りません。

有界な数列

復習になりますが、実数空間\(\mathbb{R}\)の空ではない部分集合\(A\)について、ある実数\(U\)が\(A\)の任意の要素以上である場合には、つまり、\begin{equation*}
\exists U\in \mathbb{R} ,\ \forall x\in A:x\leq U
\end{equation*}が成り立つならば、\(U\)を\(A\)の上界と呼びます。また、\(\mathbb{R}\)の非空な部分集合\(A\)が上界を持つとき、\(A\)は上に有界であると言います。

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)のすべての項からなる集合\begin{equation}
\left\{ x_{n}\in \mathbb{R} \ |\ n\in \mathbb{N} \right\} \tag{1}
\end{equation}は\(\mathbb{R}\)の空ではない部分集合であるため、上に有界であるか否かを検討することができます。\(\left( 1\right) \)が上に有界であるとき、すなわち、\begin{equation*}
\exists U\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq U
\end{equation*}が成り立つとき、この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は上に有界である(bounded from above)であると言います。また、\(\left( 1\right) \)の上界を数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の上界(upper bound)と呼びます。

例(上に有界な数列)
一般項が\(x_{n}=\frac{n+2}{2n-1}\)で与えられる数列\(\{x_{n}\}\)の項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\frac{1+2}{2\cdot 1-1}=3 \\
x_{2} &=&\frac{2+2}{2\cdot 2-1}=\frac{4}{3} \\
x_{3} &=&\frac{3+2}{2\cdot 3-1}=1 \\
x_{4} &=&\frac{4+2}{2\cdot 4-1}=\frac{6}{7} \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}です。\(n\)が大きくなるにつれて\(x_{n}\)は減少し続けるため、任意の項は\(3\)以下です。つまり、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\leq 3
\end{equation*}が成り立つため、この数列\(\{x_{n}\}\)は上に有界であり、\(3\)は\(\left\{ x_{n}\right\} \)の上界の1つです。ちなみに、\(3\)以上の任意の実数はこの数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の上界です。

復習になりますが、実数空間\(\mathbb{R}\)の空ではない部分集合\(A\)について、ある実数\(L\)が\(A\)の任意の要素以下である場合には、つまり、\begin{equation*}
\exists L\in \mathbb{R} ,\ \forall x\in A:L\leq x
\end{equation*}が成り立つならば、\(L\)を\(A\)の下界と呼びます。また、\(\mathbb{R}\)の非空な部分集合\(A\)が下界を持つとき、\(A\)は下に有界であると言います。

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)のすべての項からなる集合\begin{equation}
\left\{ x_{n}\in \mathbb{R} \ |\ n\in \mathbb{N} \right\} \tag{2}
\end{equation}は\(\mathbb{R}\)の空ではない部分集合であるため、下に有界であるか否かを検討することができます。\(\left( 2\right) \)が下に有界であるとき、すなわち、\begin{equation*}
\exists L\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :L\leq x_{n}
\end{equation*}が成り立つとき、この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は下に有界である(bounded from below)であると言います。また、\(\left( 2\right) \)の下界を数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の下界(lower bound)と呼びます。

例(下に有界な数列)
一般項が\(x_{n}=\frac{n}{n+1}\)で与えられる数列\(\{x_{n}\}\)の項は、\begin{eqnarray*}
x_{1} &=&\frac{1}{1+1}=\frac{1}{2} \\
x_{2} &=&\frac{2}{2+1}=\frac{2}{3} \\
x_{3} &=&\frac{3}{3+1}=\frac{3}{4} \\
x_{4} &=&\frac{4}{4+1}=\frac{4}{5} \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}です。\(n\)が大きくなるにつれて\(x_{n}\)は増加し続けるため、任意の項は\(\frac{1}{2}\)以上です。つまり、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :\frac{1}{2}\leq x_{n}
\end{equation*}が成り立つため、この数列\(\{x_{n}\}\)は下に有界であり、\(\frac{1}{2}\)は\(\left\{ x_{n}\right\} \)の下界の1つです。ちなみに、\(\frac{1}{2}\)以下の任意の実数はこの数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の下界です。

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が上に有界かつ下に有界であるとき、すなわち、\begin{equation}
\exists U\in \mathbb{R} ,\ \exists L\in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :L\leq x_{n}\leq U \tag{3}
\end{equation}が成り立つとき、この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は有界である(bounded)と言います。

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が有界であることの定義に相当する\(\left( 3\right) \)は様々な形で表現可能です。\(\mathbb{R}\)における有界な閉区間を利用するならば、\(\left( 3\right) \)を、\begin{equation*}
\exists \left[ L,U\right] \subset \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :x_{n}\in \left[ L,U\right] \end{equation*}と言い換えることができます(確認してください)。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が有界であることは、その任意の項\(x_{n}\)を要素として持つ有界な閉区間が存在することを意味します。また、絶対値を用いるならば、\(\left( 3\right) \)を、\begin{equation*}
\exists \varepsilon \in \mathbb{R} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :\left\vert x_{n}\right\vert \leq \varepsilon
\end{equation*}と言い換えることができます(確認してください)。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が有界であることとは、その任意の項\(x_{n}\)の絶対値がある実数\(\varepsilon \)以下であることを意味します。

 

収束する数列は有界

数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が収束するものとし、その極限を\(\alpha \in \mathbb{R} \)で表します。すなわち、\begin{equation}
\forall \varepsilon >0,\ \exists N\in \mathbb{N} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :\left( n\geq N\Rightarrow \left\vert x_{n}-\alpha \right\vert <\varepsilon
\right) \tag{1}
\end{equation}が成り立つということです。\(\left( 1\right) \)において\(\varepsilon \)は任意の実数であるため、\(\varepsilon =1\)の場合、\begin{equation*}
\exists N\in \mathbb{N} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :\left( n\geq N\Rightarrow \left\vert x_{n}-\alpha \right\vert <1\right)
\end{equation*}すなわち、\begin{equation*}
\exists N\in \mathbb{N} ,\ \forall n\in \mathbb{N} :\left( n\geq N\Rightarrow \alpha -1<x_{n}<\alpha +1\right)
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の第\(N_{1}\)項以降のすべての項を上下から挟む実数\(\alpha +1\)と\(\alpha -1\)が存在します。さらに、\begin{eqnarray*}
U &=&\max \left\{ x_{1},\cdots ,x_{N-1},\alpha +1\right\} \\
L &=&\max \left\{ x_{1},\cdots ,x_{N-1},\alpha -1\right\}
\end{eqnarray*}とそれぞれおけば、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :L\leq x_{n}\leq U
\end{equation*}が成り立つため(確認してください)、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が有界であることが示されました。

命題(収束する数列は有界)
収束する数列は有界である。
証明を見る(プレミアム会員限定)
例(収束する数列は有界)
一般項が\(x_{n}=2-\frac{1}{n}\)として与えられる数列\(\{x_{n}\}\)が収束するとともに、その極限は、\begin{equation*}
\lim\limits_{n\rightarrow \infty }x_{n}=2
\end{equation*}となります(確認してください)。したがって、上の命題より、この数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は有界です。実際、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :1\leq x_{n}\leq 2
\end{equation*}が成り立つため(確認してください)、\(1\)は\(\left\{ x_{n}\right\} \)の下界であり、\(2\)は\(\left\{ x_{n}\right\} \)の上界です。

 

有界な数列は収束するとは限らない

収束する数列は有界であることが明らかになりました。対偶より、有界ではない数列は収束しません。例えば、正の無限大や負の無限大に発散する数列はいずれも有界ではなく、したがって収束しません。

逆に、有界な数列は収束するのでしょうか。以下の例が示唆するように、有界な数列は収束するとは限りません。

例(有界な数列は収束するとは限らない)
一般項が\(x_{n}=\left( -1\right) ^{n}\)で与えられる数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は、\begin{equation*}
\forall n\in \mathbb{N} :-1\leq x_{n}\leq 1
\end{equation*}を満たすため有界ですが、これは振動列であるため収束しません。

次回は収束する数列と数列の演算の関係について解説します。
次へ進む 質問・コメントを投稿する 演習問題(プレミアム会員限定)

Share on facebook
Share on twitter
Share on email

プレミアム会員サービス

ユーザー名とメールアドレスを入力して有料(500円/月)のプレミアム会員へアップグレードすることにより、質問やコメントの投稿と閲覧、プレミアムコンテンツ(命題の証明や演習問題、解答など)へのアクセスが可能に。
会員サービス
ログイン

プレミアム会員だけが質問やコメントを投稿・閲覧できます。

アカウント
ログイン