数列が単調であることの証明戦略

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任意の2つの項を比較する

先に解説したように、与えられた数列が単調もしくは狭義単調であることを確認するための最も基本的な方法は、隣り合う任意の2つの項を比較するというものです。ただ、数列が単調もしくは狭義単調であることを判定する方法は他にも数多く存在します。まず、数列の「隣り合う」任意の2つの項を比較する代わりに、隣り合うとは限らない任意の2つの項を比較することによっても、その数列が単調もしくは狭義単調であることが判定可能です。具体的には、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(m,n\in \mathbb{N} \)について、\begin{equation*}
m<n\Rightarrow x_{m}\leq x_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は単調増加です。同様に、任意の番号\(m,n\)について、\begin{equation*}
m<n\Rightarrow x_{m}\geq x_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は単調減少です。

狭義単調数列についても同様です。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(m,n\)について、\begin{equation*}
m<n\Rightarrow x_{m}<x_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調増加です。同様に、任意の番号\(m,n\)について、\begin{equation*}
m<n\Rightarrow x_{m}>x_{n}
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調減少です。

例(任意の2つの項を比較する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=n^{2}
\end{equation*}として与えられているものとします。\(m<n\)を満たす番号\(m,n\)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}
x_{m} &=&m^{2}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&<&n^{2}\quad \because m<n \\
&=&x_{n}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調増加です。
例(任意の2つの項を比較する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が\begin{equation*}
x_{n}=\frac{1}{n}
\end{equation*}として与えられているものとします。\(m<n\)を満たす番号\(m,n\)をそれぞれ任意に選んだとき、\begin{eqnarray*}
x_{m} &=&\frac{1}{m}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&>&\frac{1}{n}\quad \because m<n \\
&=&x_{n}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義}
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調減少数列です。

 

隣り合う2つの項の差の符号を評価する

数列の隣り合う任意の2つの項の差の符号を評価することによっても、その数列が単調もしくは狭義単調であることが判定可能です。具体的には、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(n\in \mathbb{N} \)について、\begin{equation*}
x_{n+1}-x_{n}\geq 0
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は単調増加です。同様に、任意の番号\(n\)について、\begin{equation*}
x_{n+1}-x_{n}\leq 0
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は単調減少です。

狭義単調数列についても同様です。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(n\)について、\begin{equation*}
x_{n+1}-x_{n}>0
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調増加です。同様に、任意の番号\(n\)について、\begin{equation*}
x_{n+1}-x_{n}<0
\end{equation*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調減少です。

例(隣り合う2つの項の差の符号を評価する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=n^{2}
\end{equation*}として与えられているものとします。任意の番号\(n\)について、\begin{eqnarray*}
x_{n+1}-x_{n} &=&\left( n+1\right) ^{2}-n^{2}\quad \because \left\{
x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\left( n^{2}+2n+1\right) -n^{2} \\
&=&2n+1 \\
&>&0
\end{eqnarray*}が成り立つため、\(\{x_{n}\}\)は狭義単調増加です。
例(隣り合う2つの項の差の符号を評価する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が\begin{equation*}
x_{n}=\frac{1}{n}
\end{equation*}として与えられているものとします。任意の番号\(n\)について、\begin{eqnarray*}
x_{n+1}-x_{n} &=&\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n}\quad \because \left\{
x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\frac{n-\left( n+1\right) }{n\left( n+1\right) } \\
&=&-\frac{1}{n\left( n+1\right) } \\
&<&0
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調減少です。

 

隣り合う2つの項の商を評価する

数列の隣り合う任意の2つの項の商の符号を評価することによっても、その数列が単調もしくは狭義単調であることが判定可能です。具体的には、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(n\in \mathbb{N} \)について、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ x_{n}>0 \\
&&\left( b\right) \ \dfrac{x_{n+1}}{x_{n}}\geq 1
\end{eqnarray*}がともに成り立つ場合、この数列は単調増加です。同様に、任意の番号について、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ x_{n}>0 \\
&&\left( b\right) \ \dfrac{x_{n+1}}{x_{n}}\leq 1
\end{eqnarray*}がともに成り立つ場合、この数列は単調減少です。

狭義単調数列についても同様です。つまり、数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)が与えられたとき、任意の番号\(n\)について、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ x_{n}>0 \\
&&\left( b\right) \ \dfrac{x_{n+1}}{x_{n}}>1
\end{eqnarray*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調増加です。同様に、任意の番号\(n\)について、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ x_{n}>0 \\
&&\left( b\right) \ \dfrac{x_{n+1}}{x_{n}}<1
\end{eqnarray*}が成り立つ場合、この数列は狭義単調減少です。

例(隣り合う2つの項の商を評価する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=\frac{n}{n+1}
\end{equation*}として与えられているものとします。このとき、任意の番号\(n\)について\(x_{n}>0\)であるとともに、\begin{eqnarray*}
\frac{x_{n+1}}{x_{n}} &=&\frac{n+1}{\left( n+1\right) +1}\cdot \frac{n+1}{n}\quad \because \left\{ x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&\frac{\left( n+1\right) ^{2}}{\left( n+2\right) n} \\
&=&\frac{n^{2}+2n+1}{n^{2}+2n} \\
&=&1+\frac{1}{n^{2}+2n} \\
&>&1
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調増加です。
例(隣り合う2つの項の商を評価する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=r^{n}
\end{equation*}として与えられているものとします。ただし、\(r\)は定数であり\(0<r<1\)です。任意の番号\(n\)について\(x_{n}>0\)であるとともに、\begin{eqnarray*}
\frac{x_{n+1}}{x_{n}} &=&\frac{r^{n+1}}{r^{n}}\quad \because \left\{
x_{n}\right\} \text{の定義} \\
&=&r \\
&<&1\quad \because 0<r<1
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調減少です。

 

関数を利用する

数列\(\{x_{n}\}\)が与えられたとき、任意の番号\(n\in \mathbb{N} \)について、\begin{equation*}
f\left( n\right) =x_{n}
\end{equation*}を満たす関数\(f:\mathbb{R}\supset \lbrack 1,+\infty )\rightarrow \mathbb{R}\)を定義します。この関数\(f\)が増加関数であるならば数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は単調増加であり、\(f\)が減少関数であるならば\(\left\{ x_{n}\right\} \)は単調減少です。同様に、\(f\)が狭義単調増加関数であるならば数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は狭義単調増加であり、\(f\)が狭義単調減少関数であるならば\(\left\{ x_{n}\right\} \)は狭義単調減少です。

例(関数を利用する)
数列\(\{x_{n}\}\)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=n^{2}
\end{equation*}として与えられているものとします。このとき、\begin{equation*}
f\left( x\right) =x^{2}
\end{equation*}を満たす関数\(f:\mathbb{R}\supset \lbrack 1,+\infty )\rightarrow \mathbb{R}\)について考えます。任意の\(x\geq 1\)について、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }\left( x\right) &=&2x \\
&\geq &2\quad \because x\geq 1 \\
&>&0
\end{eqnarray*}が成り立つため、この数列は狭義単調増加です。
例(関数を利用する)
数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)の一般項が、\begin{equation*}
x_{n}=\frac{n}{n^{2}+1}
\end{equation*}で与えられているものとします。このとき、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\frac{x}{x^{2}+1}
\end{equation*}を満たす関数\(f:\mathbb{R}\supset \lbrack 1,+\infty )\rightarrow \mathbb{R}\)について考えます。任意の\(x\geq 1\)について、\begin{eqnarray*}
f^{\prime }\left( x\right) &=&\frac{\left( x\right) ^{\prime }\left(
x^{2}+1\right) -x\left( x^{2}+1\right) ^{\prime }}{\left( x^{2}+1\right) ^{2}} \\
&=&\frac{1\left( x^{2}+1\right) -x\left( 2x\right) }{\left( x^{2}+1\right)
^{2}} \\
&=&\frac{1-x^{2}}{\left( x^{2}+1\right) ^{2}} \\
&\leq &0\quad \because x\geq 1
\end{eqnarray*}が成り立つため、この関数\(f\)は減少関数であり、ゆえに数列\(\left\{ x_{n}\right\} \)は単調減少です。

 

数学的帰納法を用いる

数学的帰納法を用いる方法も有用です。具体的には、数列\(\{x_{n}\}\)が与えられたとき、\(x_{1}\leq x_{2}\)を示すと同時に、\(k\in \mathbb{N} \)について\(x_{k}\leq x_{k+1}\)を仮定します。このとき\(x_{k+1}\leq x_{k+2}\)を示すことができれば、数学的帰納法より\(\{x_{n}\}\)は単調増加数列です。単調減少、狭義単調増加、狭義単調減少についても同様に考えます。

例(数学的帰納法を用いる)
数列\(\{x_{n}\}\)が任意の番号\(n\)について、\begin{equation}
x_{n+1}=\frac{x_{n}+3}{5} \tag{1}
\end{equation}を満たすものとして定義されているとともに、初項は、\begin{equation}
x_{1}=1 \tag{2}
\end{equation}であるものとします。このとき、\begin{eqnarray*}
x_{2} &=&\frac{x_{1}+3}{5}\quad \because \left( 1\right) \\
&=&\frac{1+3}{5}\quad \because \left( 2\right) \\
&=&\frac{4}{5} \\
&<&1 \\
&=&x_{1}\quad \because \left( 2\right)
\end{eqnarray*}が成り立ちます。\(k\in \mathbb{N} \)について\(x_{k}<x_{k+1}\)が成り立つものと仮定します。このとき、\begin{eqnarray*}
x_{k+2} &=&\frac{x_{k+1}+3}{5}\quad \because \left( 1\right) \\
&>&\frac{x_{k}+3}{5}\quad \because x_{k}<x_{k+1} \\
&=&x_{k+1}\quad \because \left( 1\right)
\end{eqnarray*}が成り立つため、数学的帰納法より\(\{x_{n}\}\)は狭義単調増加です。

次回は有界単調数列の収束定理や、数列を用いた実数の連続性の表現などについて学びます。

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