ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理とアルキメデスの原理の双方が成り立つこととして実数の連続性を定義しても問題ありません。

実数の連続性 ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理

2019年5月4日:公開

カントールの区間縮小定理とボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理の関係

前回はボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理を証明しましたが、証明ではカントールの区間縮小定理を利用しました。二つの定理を以下に再掲します。

定理(ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理)
有界な数列は収束する部分列を持つ。
定理(カントールの区間縮小定理)
\(\mathbb{R}\)における有界閉区間\(I_{n}=\left[ a_{n},b_{n}\right] \)からなる区間列\(\{I_{n}\}\)が以下の2つの条件\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ I_{1}\supset I_{2}\supset I_{3}\supset \cdots \supset I_{n}\supset \cdots \\
&&\left( b\right) \ \lim\limits_{n\rightarrow \infty }(b_{n}-a_{n})=0
\end{eqnarray*}を満たすとき、\(\bigcap\limits_{n\in \mathbb{N}}I_{n}\)は\(\mathbb{R}\)の1点集合になる。

実は、ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理からカントールの区間縮小定理を逆に導くことができます。

定理
ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理が成り立つとき、カントールの区間縮小定理を命題として証明可能である。
証明を見る(プレミア会員限定)

したがって、二つの定理は同値です。

ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理が成り立つことは、カントールの区間縮小定理が成り立つための必要十分条件である。

 

部分列と連続性

カントールの区間縮小定理とボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理が同値であることが明らかになりました。また、カントールの区間縮小定理とアルキメデスの原理がともに成り立つことは連続性の公理と同値ですから、ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理とアルキメデスの原理がともに成り立つことは連続性の公理と同値です。

以上の議論を踏まえると、実数の連続性の公理として以下の6個の命題の中のどれを採用してもよいということになります。\begin{eqnarray*}
&&\left( R\right) \ \forall A\subset \mathbb{R} :\left[ \left( A\not=\phi \ \wedge \ U\left( A\right) \not=\phi \right) \
\Rightarrow \ \exists \sup A\right] \\
&&\left( R^{\prime }\right) \ \forall A\subset \mathbb{R} :\left[ \left( A\not=\phi \ \wedge \ L\left( A\right) \not=\phi \right) \ \Rightarrow \ \exists \inf A\right] \\
&&\left( S\right) \ \text{上に有界な単調増加数列は収束する} \\
&&\left( S^{\prime }\right) \ \text{下に有界な単調減少数列は収束する} \\
&&\left( T\right) \ \text{カントールの区間縮小定理とアルキメデスの原理が成り立つ} \\
&&\left( U\right) \ \text{ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理とアルキメデスの原理が成り立つ}
\end{eqnarray*}

次回からはコーシー列について学びます。
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