教材一覧
FUNCTION

関数の無限極限

Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有

正の無限大へ発散する関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は点\(a\in \mathbb{R} \)の周辺において定義されているものとします。変数\(x\)が点\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値が限りなく大きくなる場合、\(x\)が\(a\)に限りなく近づくときに\(f\)は正の無限大\(+\infty \)へ発散する(diverge to positive infinity)と言い、このことを、\begin{equation*}
\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=+\infty
\end{equation*}もしくは、\begin{equation*}
x\rightarrow a\ \text{のとき }f\left( x\right) \rightarrow
+\infty
\end{equation*}などで表記します。その上で、このような\(+\infty \)を正の無限極限(positive infinite limit)と呼びます。

繰り返しになりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と点\(a\in \mathbb{R} \)について、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\)が正の無限大へ発散すること、すなわち、\begin{equation*}
\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=+\infty
\end{equation*}が成り立つこととは、変数\(x\)が\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値が限りなく大きくなることを意味しますが、これはどのような形で厳密に表現できるでしょうか。まず、\(x\rightarrow a\)が成り立つこと、すなわち、\(x\)が\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくと言うためには、\(x\)と\(a\)の近さを表す指標が必要です。そこで、\(x\)と\(a\)の間の距離を表す指標として正の実数\(\delta >0\)を導入したとき、\begin{equation*}
0<\left\vert x-a\right\vert <\delta
\end{equation*}が成り立つならば、「\(x\)は\(a\)とは異なる点であるともに、\(x\)と\(a\)の間の距離は\(\delta \)よりも小さい」と言えます。また、\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)が成り立つこと、すなわち、\(f\left( x\right) \)の値が限りなく大きいと言うためには、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す指標も必要です。そこで、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す指標として正の実数\(M>0\)を導入したとき、\begin{equation*}
f\left( x\right) >M
\end{equation*}が成り立つならば、「\(f\left( x\right) \)は\(M\)よりも大きい」と言えます。\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)であることは、以上のような2つの実数\(M,\delta \)の関係として表現することになります。

具体的には、まず、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す値\(M\)を任意に選びます。今、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)が成り立つのであれば、\(a\)に十分近くなおかつ\(a\)とは異なる任意の\(x\)について\(f\left( x\right) \)は\(M\)よりも大きくなるはずです。つまり、\(x\)と\(a\)の距離を表すある値\(\delta \)が存在して、\(a\)との距離が\(\delta \)以下の場所にある\(a\)以外の任意の\(X\)の点\(x\)について、\(f\left( x\right) \)は\(M\)よりも大きくなるはずです。これを定式化すると、\begin{equation*}
\exists \delta >0,\ \forall x\in X:\left( 0<|x-a|<\delta \Rightarrow f\left(
x\right) >M\right)
\end{equation*}となります。\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)となる場合には、最初に設定する\(M\)をどれほど大きくしても同様の議論が成立するはずです。つまり、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す値\(M\)としてどれほど大きい値を採用した場合でも、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)が成り立つ限りにおいて、それに対して\(x\)と\(a\)の距離を表すある値\(\delta \)が存在して、\(a\)との距離が\(\delta \)以下の場所にある\(a\)以外の任意の点\(x\)について、\(f\left( x\right) \)は\(M\)よりも大きくなるはずです。これを定式化すると、\begin{equation*}
\forall M>0,\ \exists \delta >0,\ \forall x\in X:\left( 0<|x-a|<\delta
\Rightarrow f\left( x\right) >M\right)
\end{equation*}となります。そこで、これまでの考察を逆手に取る形で、上の論理式によって、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow +\infty \)が成り立つことの定義とします。つまり、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(a\in \mathbb{R} \)に対して\(\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=+\infty \)が成り立つことの意味をイプシロン・デルタ論法にもとづいて定義したものが上の論理式です。

例(点において正の無限大に発散する関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \{0\}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =\frac{1}{x^{2}}
\end{equation*}を定めるものと定義されているとき、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1}{x^{2}}=+\infty
\end{equation*}が成り立つことを示します。これを厳密に表現すると、\begin{equation*}
\forall M>0,\ \exists \delta >0,\ \forall x\in
\mathbb{R} \backslash \{0\}:\left( 0<\left\vert x-0\right\vert <\delta \Rightarrow
\frac{1}{x^{2}}>M\right)
\end{equation*}となります。この論理式を示すことが目標です。\(M>0\)を任意に選びます。\(x\not=0\)の場合には、結論の式を変形すると、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x^{2}}>M &\Rightarrow &\frac{1}{M}>x^{2} \\
&\Rightarrow &\frac{1}{\sqrt{M}}>\left\vert x\right\vert
\end{eqnarray*}を得るため、\(M\)に対する\(\delta \)の候補として、\begin{equation*}
\delta =\frac{1}{\sqrt{M}}
\end{equation*}を選びます。実際、\(0<\left\vert x-0\right\vert <\frac{1}{\sqrt{M}}\)すなわち\(0<\left\vert x\right\vert <\frac{1}{\sqrt{M}}\)を満たす任意の\(x\)について、\begin{eqnarray*}
\frac{1}{x^{2}} &=&\frac{1}{\left\vert x\right\vert ^{2}} \\
&>&1/\left( \frac{1}{\sqrt{M}}\right) ^{2}\quad \because \left\vert
x\right\vert <\frac{1}{\sqrt{M}} \\
&=&1/\frac{1}{M} \\
&=&M
\end{eqnarray*}となるため目標は達成されました。

関数\(f\)が\(x\rightarrow a\)のときに正の無限大へ発散するとき、\(f\)は\(x\rightarrow a\)のときに有限な実数へ収束しません(証明は長くなるため「命題の証明」ページへ掲載します)。

命題(発散する関数は収束しない)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in \mathbb{R} \)において、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =+\infty
\end{equation*}を満たすとき、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =b
\end{equation*}を満たす有限な実数\(b\in \mathbb{R} \)は存在しない。
証明を見る(プレミアム会員限定)

 

負の無限大へ発散する関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)は点\(a\in \mathbb{R} \)の周辺において定義されているものとします。変数\(x\)が点\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値が限りなく小さくなる場合、\(x\)が\(a\)に限りなく近づくときに\(f\)は負の無限大\(-\infty\)へ発散する(diverge to negative infinity)と言い、このことを、\begin{equation*}
\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=-\infty
\end{equation*}もしくは、\begin{equation*}
x\rightarrow a\ \text{のとき }f\left( x\right) \rightarrow
-\infty
\end{equation*}などで表記します。その上で、このような\(-\infty \)を負の無限極限(negative infinite limit)と呼びます。

繰り返しになりますが、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と点\(a\in \mathbb{R} \)について、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\)が負の無限大へ発散すること、すなわち、\begin{equation*}
\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=-\infty
\end{equation*}が成り立つこととは、変数\(x\)が\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくにつれて\(f\left( x\right) \)の値が限りなく小さくなることを意味しますが、これはどのような形で厳密に表現できるでしょうか。まず、\(x\rightarrow a\)が成り立つこと、すなわち、\(x\)が\(a\)とは異なる\(X\)上の点をとりながら\(a\)に限りなく近づくと言うためには、\(x\)と\(a\)の近さを表す指標が必要です。そこで、\(x\)と\(a\)の間の距離を表す指標として正の実数\(\delta >0\)を導入したとき、\begin{equation*}
0<\left\vert x-a\right\vert <\delta
\end{equation*}が成り立つならば、「\(x\)は\(a\)とは異なる点であるともに、\(x\)と\(a\)の間の距離は\(\delta \)よりも小さい」と言えます。また、\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)が成り立つこと、すなわち、\(f\left( x\right) \)の値が限りなく小さいと言うためには、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す指標も必要です。そこで、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す指標として負の実数\(L<0\)を導入したとき、\begin{equation*}
f\left( x\right) <L
\end{equation*}が成り立つならば、「\(f\left( x\right) \)は\(L\)よりも小さい」と言えます。\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)であることは、以上のような2つの実数\(L,\delta \)の関係として表現することになります。

具体的には、まず、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す値\(L\)を任意に選びます。今、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)が成り立つのであれば、\(a\)に十分近くなおかつ\(a\)とは異なる任意の\(x\)について、\(f\left( x\right) \)は\(L\)よりも小さくなるはずです。つまり、\(x\)と\(a\)の距離を表すある値\(\delta \)が存在して、\(a\)との距離が\(\delta \)以下の場所にある\(a\)以外の任意の\(X\)の点\(x\)について\(f\left( x\right) \)は\(L\)よりも小さくなるはずです。これを定式化すると、\begin{equation*}
\exists \delta >0,\ \forall x\in X:\left( 0<|x-a|<\delta \Rightarrow f\left(
x\right) <L\right)
\end{equation*}となります。\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)となる場合には、最初に設定する\(L\)をどれほど小さくしても同様の議論が成立するはずです。つまり、\(f\left( x\right) \)の大きさを表す値\(L\)としてどれほど小さい値を採用した場合でも、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)が成り立つ限りにおいて、それに対して\(x\)と\(a\)の距離を表すある値\(\delta \)が存在して、\(a\)との距離が\(\delta \)以下の場所にある\(a\)以外の任意の点\(x\)について、\(f\left( x\right) \)は\(L\)よりも小さくなるはずです。これを定式化すると、\begin{equation*}
\forall L<0,\ \exists \delta >0,\ \forall x\in X:\left( 0<|x-a|<\delta
\Rightarrow f\left( x\right) <L\right)
\end{equation*}となります。そこで、これまでの考察を逆手に取る形で、上の論理式によって、\(x\rightarrow a\)のときに\(f\left( x\right) \rightarrow -\infty \)が成り立つことの定義とします。つまり、関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)と実数\(a\in \mathbb{R} \)に対して\(\lim\limits_{x\rightarrow a}f(x)=-\infty \)が成り立つことの意味をイプシロン・デルタ論法にもとづいて定義したものが上の論理式です。

例(正の無限大に発散する関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \{0\}\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in \mathbb{R} \backslash \{0\}\)に対して、\begin{equation*}
f\left( x\right) =-\frac{1}{x^{4}}
\end{equation*}を定めるものと定義されているとき、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow 0}\left( -\frac{1}{x^{4}}\right) =-\infty
\end{equation*}が成り立つことを示します。これを厳密に表現すると、\begin{equation*}
\forall L<0,\ \exists \delta >0,\ \forall x\in
\mathbb{R} \backslash \{0\}:\left( 0<\left\vert x-0\right\vert <\delta \Rightarrow -\frac{1}{x^{4}}<L\right)
\end{equation*}となります。この論理式を示すことが目標です。\(L<0\)を任意に選びます。\(x\not=0\)の場合には、結論の式を変形すると、\begin{eqnarray*}
-\frac{1}{x^{4}}<L &\Rightarrow &\frac{1}{-L}>x^{4} \\
&\Rightarrow &\frac{1}{\sqrt[4]{-L}}>\left\vert x\right\vert
\end{eqnarray*}を得るため、\(L\)に対する\(\delta \)の候補として、\begin{equation*}
\delta =\frac{1}{\sqrt[4]{-L}}
\end{equation*}を選びます。実際、\(0<\left\vert x-0\right\vert <\frac{1}{\sqrt[4]{-L}}\)すなわち\(0<\left\vert x\right\vert <\frac{1}{\sqrt[4]{-L}}\)を満たす任意の\(x\)について、\begin{eqnarray*}
\left\vert x\right\vert <\frac{1}{\sqrt[4]{-L}} &\Rightarrow &\left\vert
x\right\vert ^{4}<\frac{1}{-L} \\
&\Rightarrow &x^{4}<-\frac{1}{L}\quad \because \left\vert x\right\vert
^{4}=x^{4} \\
&\Rightarrow &L>-\frac{1}{x^{4}}
\end{eqnarray*}が成り立つため目標は達成されました。

関数\(f\)が\(x\rightarrow a\)のときに負の無限大へ発散するとき、\(f\)は\(x\rightarrow a\)のときに有限な実数へ収束しません(証明は長くなるため「命題の証明」ページへ掲載します)。

命題(発散する関数は収束しない)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が点\(a\in \mathbb{R} \)において、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =-\infty
\end{equation*}を満たすとき、\begin{equation*}
\lim_{x\rightarrow a}f\left( x\right) =b
\end{equation*}を満たす有限な実数\(b\in \mathbb{R} \)は存在しない。
証明を見る(プレミアム会員限定)

次回からは関数の片側無限極限について解説します。

次へ進む 質問・コメント(プレミアム会員限定) 演習問題(プレミアム会員限定)
Share on twitter
Twitterで共有
Share on email
メールで共有
RELATED KNOWLEDGE

関連知識

DISCUSSION

質問とコメント

プレミアム会員専用コンテンツです
ログイン】【会員登録

関数