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正接関数(tan関数)の定義

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正接関数

ラジアン\(x\in \mathbb{R} \)の正接は、\begin{equation*}\tan \left( x\right) =\frac{\sin \left( x\right) }{\cos \left( x\right) }
\end{equation*}と定義されます。実数をゼロで割ることはできないため、\(\cos \left(x\right) \not=0\)を満たすそれぞれの実数\(x\)に対して、その正接\(\tan \left( x\right) \in \mathbb{R} \)に相当する実数を1つずつ定める関数\begin{equation*}\tan \left( x\right) :\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \end{equation*}が定義可能です。このような関数を正接関数(tangent function)やタンジェント関数などと呼びます。ただし、\(X\)は正接関数の定義域であり、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}です。具体的には、余弦の値がゼロになるラジアンからなる集合は、\begin{eqnarray*}
\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) =0\right\} &=&\left\{ \frac{\pi }{2}+2n\pi \ |\
n\in \mathbb{Z} \right\} \\
&=&\left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 3\right) \pi
}{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{eqnarray*}であるため、正接関数の定義域は、\begin{equation*}
X=\mathbb{R} /\left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 3\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{equation*}となります。つまり、\(\frac{\pi }{2}\)の奇数倍であるような点\(x\)において正接関数は定義されません。

例(正接関数)
正接の定義より、正接関数\(\tan \left( x\right) \)に関して以下が成り立ちます。

$$\begin{array}{ccccccccc}\hline
x(ラジアン) & 0 & \frac{\pi }{6}
& \frac{\pi }{4} & \frac{\pi }{3} & \frac{\pi }{2} & \pi & \frac{ 3\pi }{2} & 2\pi \\ \hline
x(度) & 0^{\circ } & 30^{\circ } & 45^{\circ } & 60^{\circ } & 90^{\circ } & 180^{\circ } & 270^{\circ } & 360^{\circ } \\ \hline
\sin \left( x\right) & 0 & \frac{1}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2} & 1 & 0 & -1 & 0 \\ \hline
\cos \left( x\right) & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2}
& \frac{1}{2} & 0 & -1 & 0 & 1 \\ \hline
\tan \left( x\right) & 0 & \frac{\sqrt{3}}{3} & 1 & \sqrt{3} & –
& 0 & – & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:正接関数の値
例(正接関数)
正接の定義より、正接関数\(\tan \left( x\right) \)に関して以下が成り立ちます。

$$\begin{array}{ccccccccc}\hline
x(ラジアン) & 0 & -\frac{\pi }{6}
& -\frac{\pi }{4} & -\frac{\pi }{3} & -\frac{\pi }{2} & -\pi & – \frac{3\pi }{2} & -2\pi \\ \hline
x(度) & -0^{\circ } & -30^{\circ } & -45^{\circ }
& -60^{\circ } & -90^{\circ } & -180^{\circ } & -270^{\circ } & -360^{\circ } \\ \hline
\sin \left( x\right) & 0 & -\frac{1}{2} & -\frac{\sqrt{2}}{2} & – \frac{\sqrt{3}}{2} & -1 & 0 & -1 & 0 \\ \hline
\cos \left( x\right) & 1 & \frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{2}}{2}
& \frac{1}{2} & 0 & -1 & 0 & 1 \\ \hline
\tan \left( x\right) & 0 & -\frac{\sqrt{3}}{3} & -1 & -\sqrt{3} &
– & 0 & – & 0 \\ \hline
\end{array}$$

表:正接関数の値
例(正接関数)
下図のような直角三角形が与えられているものとします。

図:直角三角形
図:直角三角形

底辺の長さを\(b>0\)で、対辺の長さを\(c>0\)で、斜辺と底辺がつくる角の大きさ(ラジアン)を\(x\in \left( 0,\frac{\pi }{2}\right) \)でそれぞれ表記する場合、正接の定義より、\begin{equation*}\tan \left( x\right) =\frac{c}{b}
\end{equation*}という関係が成り立ちます。したがって、底辺の長さ\(b\)が与えられている場合、角の大きさが\(x\)であるときの対辺の長さは、\begin{equation*}f\left( x\right) =c\cdot \tan \left( x\right)
\end{equation*}となります。この\(f\)は正接関数の定数倍(\(c\)倍)として定義される関数です。逆に、底辺の長さ\(b\)が与えられている場合、角の大きさが\(x\)であるときの底辺の長さは、\begin{equation*}g\left( x\right) =\frac{c}{\tan \left( x\right) }
\end{equation*}となります。この\(g\)は定数関数\(c\)と正接関数の商として定義される関数です。

 

正接関数のグラフ(正接曲線)

正接関数\(\tan \left( x\right) \)のグラフは以下の通りです。正接関数のグラフを正接曲線(tangentcurve)やタンジェントカーブなどと呼びます。

図:正接曲線
図:正接曲線

正接曲線は上図のように同じ形を繰り返す形状をしていますが、これは正接関数が周期関数であることを示唆しています。

命題(正接関数の周期性)
正接関数\(\tan \left( x\right) :\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、ラジアン\(x\in X\)と整数\(n\in \mathbb{Z} \)をそれぞれ任意に選ぶと、\begin{equation*}\tan \left( x+n\pi \right) =\tan \left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。ただし、\begin{equation*}
X=\mathbb{R} /\left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 3\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{equation*}である。

証明

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例(正接関数の周期性)
上の命題より、\begin{eqnarray*}
\tan \left( 0\right) &=&\tan \left( \pm \pi \right) =\tan \left( \pm 2\pi
\right) =\cdots =0 \\
\tan \left( \frac{\pi }{4}\right) &=&\tan \left( \frac{\pi }{4}\pm \pi
\right) =\tan \left( \frac{\pi }{4}\pm 2\pi \right) =\cdots =1 \\
&&\vdots
\end{eqnarray*}などが成り立ちます。

先の命題は、正接関数が周期\(\pi \)の周期関数であることを意味します。ちなみに、正弦関数や余弦関数は周期\(2\pi \)の周期関数です。では、正接関数はどのようなパターンのもとで変動しているのでしょうか。ラジアン\(x\)を\(-\frac{\pi }{2}\)から\(\frac{\pi }{2}\)まで1周期分だけ動かした場合、正接関数の値は以下のように変化します。$$\begin{array}{cccccc}\hline
x(ラジアン) & -\frac{\pi }{2} & \cdots & 0 & \cdots & \frac{\pi }{2} \\ \hline
x(度) & -90^{\circ } & \cdots & 0^{\circ } & \cdots & 90^{\circ } \\ \hline
\sin \left( x\right) & -1 & \nearrow & 0 & \nearrow & 1 \\
\hline
\cos \left( x\right) & 0 & \nearrow & 1 & \searrow & 0 \\
\hline
\tan \left( x\right) & \rightarrow -\infty & \nearrow & 0 & \nearrow & \rightarrow +\infty \\ \hline
\end{array}$$

表:正接関数の変化

同じ変化を図示した正接曲線は以下の通りです。

図:正接曲線
図:正接曲線

つまり、正接関数の値は\(\left( -\frac{\pi }{2},\frac{\pi }{2}\right) \)の範囲内において狭義単調増加します。なお、この区間の端点\(\pm \frac{\pi }{2}\)において正接関数は定義されません。

 

正接関数の規則性

関数\(f:\mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R} \)が任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( -x\right) =-f\left( x\right)
\end{equation*}を満たす場合、これを奇関数と呼びます。一方、任意の\(x\in \mathbb{R} \)に対して、\begin{equation*}f\left( -x\right) =f\left( x\right)
\end{equation*}を満たす場合、これを偶関数と呼びます。正弦関数\(\sin \left( x\right) \)は奇関数である一方で余弦関数\(\cos \left( x\right) \)が偶関数であることを踏まえると、正接関数\(\tan \left( x\right) \)が奇関数であることが示されます。

命題(正接関数の規則性)
正接関数\(\tan \left( x\right) :\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が与えられたとき、任意のラジアン\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}\tan \left( -x\right) =-\tan \left( x\right)
\end{equation*}という関係が成り立つ。ただし、\begin{equation*}
X=\mathbb{R} /\left\{ \frac{\left( \pm 1\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 3\right) \pi }{2},\frac{\left( \pm 5\right) \pi }{2},\cdots \right\}
\end{equation*}である。

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正接関数との合成関数

関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)を任意に選びます。また、正接関数を\(g:\mathbb{R} \supset Y\rightarrow \mathbb{R} \)で表記します。つまり、\(g\left( x\right) =\tan \left( x\right) \)であるとともに、\begin{equation*}Y=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}です。以上を踏まえた上で、関数\(f\)の値域と正接関数\(g\)の定義域\(Y\)の間に、\begin{equation*}f\left( X\right) \subset Y
\end{equation*}という関係が成り立つ場合には合成関数\(g\circ f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)が定義可能であり、これはそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{eqnarray*}\left( g\circ f\right) \left( x\right) &=&g\left( f\left( x\right) \right)
\quad \because \text{合成関数の定義} \\
&=&\tan \left( f\left( x\right) \right) \quad \because g\text{の定義}
\end{eqnarray*}を定めます。

例(正接関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\tan \left( 2x^{2}+x+\pi \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は多項式関数\(2x^{2}+x+\pi \)と正接関数\(\tan \left( x\right) \)の合成関数です。\(\tan \left(x\right) \)の定義域は、\begin{equation*}\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( 2x^{2}+x+\pi \right) \not=0\right\}
\end{equation*}となります。例えば、\(x=0\)について、\begin{eqnarray*}\cos \left( 2\cdot 0^{2}+0+\pi \right) &=&\cos \left( \pi \right) \\
&=&-1 \\
&\not=&0
\end{eqnarray*}となるため、\(X\)の定義より\(0\in X\)が成り立ちます。つまり、\(X\)は非空集合であるため\(f\)は定義可能です。
例(正接関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\tan \left( \frac{\pi }{x+1}\right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は有理関数\(\frac{\pi }{x+1}\)と正接関数\(\tan \left( x\right) \)の合成関数です。\(\tan \left(x\right) \)の定義域は、\begin{equation*}\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \backslash \left\{ -1\right\} \ |\ \cos \left( \frac{\pi }{x+1}\right)
\not=0\right\}
\end{equation*}となります。例えば、\(x=0\)について、\begin{eqnarray*}\cos \left( \frac{\pi }{0+1}\right) &=&\cos \left( \pi \right) \\
&=&-1 \\
&\not=&0
\end{eqnarray*}となるため、\(X\)の定義より\(0\in X\)が成り立ちます。つまり、\(X\)は非空集合であるため\(f\)は定義可能です。
例(正接関数との合成関数)
関数\(f:\mathbb{R} \supset X\rightarrow \mathbb{R} \)はそれぞれの\(x\in X\)に対して、\begin{equation*}f\left( x\right) =\tan \left( \sin \left( x\right) \right)
\end{equation*}を定めるものとします。\(f\)は正接関数\(\sin \left(x\right) \)と正接関数\(\tan \left( x\right) \)の合成関数です。\(\tan \left(x\right) \)の定義域は、\begin{equation*}\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( x\right) \not=0\right\}
\end{equation*}であるため、\(f\)の定義域\(X\)は、\begin{equation*}X=\left\{ x\in \mathbb{R} \ |\ \cos \left( \sin \left( x\right) \right) \not=0\right\}
\end{equation*}となります。例えば、\(x=0\)について、\begin{eqnarray*}\cos \left( \sin \left( 0\right) \right) &=&\cos \left( 0\right) \\
&=&1 \\
&\not=&0
\end{eqnarray*}となるため、\(X\)の定義より\(0\in X\)が成り立ちます。つまり、\(X\)は非空集合であるため\(f\)は定義可能です。
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