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コンパクト集合の演算

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コンパクト集合の共通部分

実数空間\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素とする集合族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)を任意に選んだとき、それらの共通部分\begin{equation*}
\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }
\end{equation*}もまた\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合になります。証明は以下の通りです。

\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素として持つ集合族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)を任意に選んだ上で、その共通部分の開被覆\(\mathfrak{C}\)を任意に選びます。つまり、\begin{equation}
\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }\subset \bigcup \mathfrak{C} \quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立つとともに、\(\mathfrak{C}\)の任意の要素は\(\mathbb{R}\)上の開集合です。\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆が存在することを示すことが目標です。\(\left( 1\right) \)が成り立つ場合、任意の\(\lambda \in \Lambda \)に対して、\begin{equation*}
A_{\lambda }\subset \bigcup \mathfrak{C}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、\(\mathfrak{C}\)は\(A_{\lambda }\)の開被覆ですが、仮定より\(A_{\lambda }\)はコンパクト集合であるため、\(A_{\lambda } \)の被覆であるような\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆\(\mathfrak{C}_{\lambda }\)が存在します。つまり、\(\mathfrak{C}_{\lambda }\)は有限集合であるとともに、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A_{\lambda }\subset \bigcup \mathfrak{C}_{\lambda } \\
&&\left( b\right) \ \mathfrak{C}_{\lambda }\subset \mathfrak{C}
\end{eqnarray*}がともに成り立つということです。以上の議論は任意の\(\lambda \in \Lambda \)について成り立つため、\(\left( a\right) \)より、\begin{equation*}
\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }\subset \bigcup \mathfrak{C}_{\lambda }
\end{equation*}を得ます。これと\(\left( b\right) \)より、\(\mathfrak{C}_{\lambda }\)は\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)を覆う\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆であるため目標が達成されました。

命題(コンパクト集合の共通部分)
実数空間\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素とする集合族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)が任意に与えられたとき、その共通部分\begin{equation*}
\bigcap\limits_{\lambda \in \Lambda }A_{\lambda }
\end{equation*}もまた\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

上の命題において、コンパクト集合の族\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)の添字集合\(\Lambda \)は任意の集合です。したがって、\(\Lambda \)が有限集合であれば上の命題は「有限個のコンパクト集合の共通部分は共通部分である」という主張に相当し、\(\Lambda \)が可算集合であれば上の命題は「可算個のコンパクト集合の共通部分は共通部分である」という主張に相当します。加えて、\(\Lambda \)が非可算であるような無限集合である場合にも同様の主張が成り立つということです。

 

コンパクト集合の和集合

実数空間\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素とする有限集合族\(\left\{ A_{i}\right\} _{i=1}^{n}\)を任意に選んだとき、それらの和集合\begin{equation*}
\bigcup\limits_{i=1}^{n}A_{i}
\end{equation*}もまた\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合になります。証明は以下の通りです。

\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素として持つ有限集合族\(\left\{ A_{i}\right\} _{i=1}^{n}\)を任意に選んだ上で、その和集合の開被覆\(\mathfrak{C}\)を任意に選びます。つまり、\begin{equation}
\bigcup\limits_{i=1}^{n}A_{i}\subset \bigcup \mathfrak{C} \quad\cdots (1)
\end{equation}が成り立つとともに、\(\mathfrak{C}\)の任意の要素は\(\mathbb{R}\)上の開集合です。\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆が存在することを示すことが目標です。\(\left( 1\right) \)が成り立つ場合、任意の\(i\ \left( =1,\cdots ,n\right) \)に対して、\begin{equation*}
A_{i}\subset \bigcup \mathfrak{C}
\end{equation*}が成り立ちます。つまり、\(\mathfrak{C}\)は\(A_{i}\)の開被覆ですが、仮定より\(A_{i}\)はコンパクト集合であるため、\(A_{i}\)の被覆であるような\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆\(\mathfrak{C}_{i}\)が存在します。つまり、\(\mathfrak{C}_{i}\)は有限集合であるとともに、\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A_{i}\subset \bigcup \mathfrak{C}_{i} \\
&&\left( b\right) \ \mathfrak{C}_{i}\subset \mathfrak{C}
\end{eqnarray*}がともに成り立つということです。以上の議論は任意の\(i\)について成り立つため、\(\left( a\right) \)より、\begin{equation*}
\bigcup\limits_{i=1}^{n}A_{i}\subset \bigcup\limits_{i=1}^{n}\left(
\bigcup \mathfrak{C}_{i}\right)
\end{equation*}を得ます。これと\(\left( b\right) \)より、\(\mathfrak{C}_{1}\cup \cdots \cup \mathfrak{C}_{n}\)は\(\left\{ A_{\lambda }\right\} _{\lambda \in \Lambda }\)を覆う\(\mathfrak{C}\)の有限部分被覆であるため目標が達成されました。

命題(コンパクト集合の和集合)
実数空間\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合を要素とする有限集合族\(\left\{ A_{i}\right\} _{i=1}^{n}\)が任意に与えられたとき、その和集合\begin{equation*}
\bigcup\limits_{i=1}^{n}A_{\lambda }
\end{equation*}もまた\(\mathbb{R}\)上のコンパクト集合である。
証明を見る(プレミアム会員限定)

上の命題は「有限個のコンパクト集合の和集合はコンパクト集合である」という主張に相当しますが、以下の例から明らかであるように、可算個のコンパクト集合の和集合はコンパクト集合であるとは限りません。これは共通部分とは異なる点です。

例(コンパクト集合の和集合)
それぞれの\(i\in \mathbb{N} \)に対して、\begin{equation*}
A_{i}=\left[ -i,i\right] \end{equation*}であるような\(\mathbb{R}\)の部分集合族\(\left\{ A_{i}\right\} _{i\in \mathbb{N} }\)について考えます。このとき、\begin{equation*}
\mathbb{R}=\bigcup\limits_{i\in \mathbb{N} }A_{i}=\bigcup\limits_{i\in \mathbb{N} }\left[ -i,i\right] \end{equation*}という関係が成り立ちます。\(\mathbb{R}\)上の有界な閉区間\(\left[ -i,i\right] \)はコンパクト集合であることを踏まえると、上の関係は、\(\mathbb{R}\)が可算個のコンパクト集合の和集合として表現されることを意味します。その一方で、\(\mathbb{R}\)はコンパクト集合ではありません。したがって、これは可算個のコンパクト集合の和集合がコンパクト集合にならない例になっています。

次回から関数について学びます。

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