1次元ユークリッド空間 R の部分集合 A が与えられたとき、点 a∈R の近傍の中に A の部分集合が存在するならば、a を A の内点と呼びます。また、A のすべての内点からなる集合を A の内部と呼びます。

2019年5月9日:公開

内点

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)が与えられたとき、点\(a\in \mathbb{R}\)の近傍の中に\(A\)の部分集合が存在するならば、すなわち、\begin{equation*}
\exists \varepsilon >0:U_{\varepsilon }\left( a\right) \subset A
\end{equation*}が成り立つならば、\(a\)を\(A\)の内点(interior point)と呼びます。なお、点の近傍の定義を踏まえると上の条件は、\begin{equation*}
\exists \varepsilon >0:\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \subset A
\end{equation*}と言い換え可能です。つまり、点\(a\)を中心とする開区間の中に\(A\)の部分集合であるものが存在するということです。

一般に、集合\(X\)が集合\(Y\)の部分集合であることは\(X\)が\(Y\)の補集合\(Y^{c}\)と交わらないことと同義です。したがって、点\(a\)が集合\(A\)の内点であることを、\begin{equation*}
\exists \varepsilon >0:U_{\varepsilon }\left( a\right) \cap A^{c}=\phi
\end{equation*}と表現することもできます。

例(内点)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ a,b\right] \)が与えられたとき、\(a<x<b\)を満たす点\(x\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\begin{equation*} \varepsilon =\min \{x-a,b-x\} \end{equation*}とおけば、\begin{equation*} \left( x-\varepsilon ,x+\varepsilon \right) \subset \left[ a,b\right] \end{equation*}すなわち\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset \left[ a,b\right] \)が成り立つため、\(x\)は\(\left[ a,b\right] \)の内点です。一方、区間の端点\(a\)に対しては任意の\(\varepsilon >0\)に対して\(a-\varepsilon <a\)であり、\(\left( a-\varepsilon ,a+\varepsilon \right) \)は\(\left[ a,b\right] \)の部分集合ではありません。したがって\(a\)は\(\left[ a,b\right] \)の内点ではありません。同様に、\(b\)は\(\left[ a,b\right] \)の内点ではありません。
例(内点)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left( a,b\right) \)が与えられたとき、\(a<x<b\)を満たす点\(x\in \mathbb{R}\)を任意に選んだ上で、\begin{equation*} \varepsilon =\min \{x-a,b-x\} \end{equation*}とおけば、\begin{equation*} \left( x-\varepsilon ,x+\varepsilon \right) \subset \left( a,b\right) \end{equation*}すなわち\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset \left( a,b\right) \)が成り立つため、\(x\)は\(\left( a,b\right) \)の内点です。
例(内点)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q}\)について考えます。点\(x\in \mathbb{R}\)と\(\varepsilon >0\)をそれぞれ任意に選んだとき、無理数の稠密性より、\begin{equation*}
U_{\varepsilon }\left( x\right) =\left( x-\varepsilon ,x+\varepsilon \right)
\end{equation*}という区間の中には無理数が存在するため\(U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset \mathbb{Q}\)は成り立ちません。したがって任意の有理数は\(\mathbb{Q}\)の内点ではありません。

 

内部

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)のすべての内点からなる集合を\(A\)の内部(interior)や開核(open kernel)などと呼び、\begin{equation*}
A^{i},\quad A^{\circ },\quad \mathrm{int}\left( A\right)
\end{equation*}などで表します。

内部の定義より、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)と任意の点\(x\in \mathbb{R}\)に対して、\begin{eqnarray*}
x\in A^{i} &\Leftrightarrow &\exists \varepsilon >0:U_{\varepsilon }\left( x\right) \subset A \\
&\Leftrightarrow &\exists \varepsilon >0:\left( x-\varepsilon ,x+\varepsilon \right) \subset A
\end{eqnarray*}という関係が成り立ちます。

例(内部)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\(\left[ a,b\right] \)が与えられたとき、先に示したように、\(a<x<b\)を満たす任意の点\(x\in \mathbb{R}\)は\(\left[ a,b\right] \)の内点ですが、\(a,b\)はともに\(\left[ a,b\right] \)の内点ではありません。したがって、\(\left[ a,b\right] ^{i}=\left( a,b\right) \)という関係が成り立ちます。
例(内部)
\(a\leq b\)を満たす実数\(a,b\in \mathbb{R}\)に関する\(\mathbb{R}\)上の区間\((a,b)\)が与えられたとき、先に示したように、\(a<x<b\)を満たす任意の点\(x\in \mathbb{R}\)は\(\left( a,b\right) \)の内点です。したがって、\(\left( a,b\right) ^{i}=\left( a,b\right) \)という関係が成り立ちます。
例(内部)
すべての有理数からなる集合\(\mathbb{Q}\)について考えます。先に示したように任意の実数は\(\mathbb{Q}\)の内点ではないため、\(\mathbb{Q} ^{i}=\phi \)という関係が成り立ちます。

 

内部は部分集合

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)の内部\(A^{i}\)は必ず\(A\)の部分集合です。つまり、\(A\)の内点は必ず\(A\)の点です。

命題(内部は部分集合)

\(\mathbb{R}\)の任意の部分集合\(A\)について\(A^{i}\subset A\)が成り立つ。

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上の命題中の関係とは逆に、\(A\subset A^{i}\)は成り立つとは限りません。つまり、\(A\)の点は\(A\)の内点であるとは限りません。実際、先に例として挙げた\(\mathbb{R}\)の部分集合\begin{equation*}
\left[ a,b\right] =\{x\in \mathbb{R} \ |\ a\leq x\leq b\}
\end{equation*}について、\(a,b\)は\(\left[ a,b\right] \)の点ですが\(\left[ a,b\right] \)の内点ではありません。

 

内部による開集合の特徴づけ

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)について\(A^{i}\subset A\)は常に成り立ちますが、逆に\(A\subset A^{i}\)は成り立つとは限りません。しかし、\(A\)が\(\mathbb{R}\)の開集合の場合には、そしてその場合にのみ\(A\subset A^{i}\)が成り立ちます。

命題(内部による開集合の特徴づけ)
\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)について、\(A\subset A^{i}\)が成り立つことは、\(A\)が\(\mathbb{R}\)の開集合であるための必要十分条件である。
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任意の\(A\subset \mathbb{R}\)について\(A^{i}\subset A\)が成り立つことと上の命題を踏まえると、開集合を以下のように特徴づけることも可能です。

系(内部による開集合の特徴づけ)
\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)について、\(A\)の任意の点が\(A\)の内点であることは、\(A\)が\(\mathbb{R}\)の開集合であるための必要十分条件である。

 

内部は開集合

\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)の内部\(A^{i}\)は\(\mathbb{R}\)の部分集合ですから、さらにその内部\(\left( A^{i}\right) ^{i}\)を考えることができますが、実はこれは\(A^{i}\)と一致します。

命題(内部の内部)
\(\mathbb{R}\)の任意の部分集合\(A\)について\(\left( A^{i}\right) ^{i}=A^{i}\)が成り立つ。
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\(\left( A^{i}\right) ^{i}\)の内部、さらにその内部なども考えることもできますが、上の命題よりそれらはいずれも\(A^{i}\)と一致します。

上の命題は\(A^{i}\)がその内部\(\left( A^{i}\right) ^{i}\)と一致すると言っているため、先に示した内部による開集合の特徴づけに関する命題より、\(A^{i}\)が開集合となります。

系(内部は開集合)
\(\mathbb{R}\)の任意の部分集合\(A\)について、その内部\(A^{i}\)は\(\mathbb{R}\)の開集合である。

さらに、\(\mathbb{R}\)の部分集合\(A\)の内部\(A^{i}\)は\(A\)に含まれる最大の開集合です。

命題(内部は最大の開集合)
\(\mathbb{R}\)の任意の部分集合\(A\)について、その内部\(A^{i}\)は\(A\)に含まれる最大の開集合である。すなわち、\(\mathbb{R}\)の開集合系を\(\mathcal{O}\)で表すとき、\(A^{i}\in \mathcal{O}\)であるとともに、\begin{equation*}
\forall B\in \mathcal{O}:B\subset A\ \Rightarrow \ B\subset A^{i}
\end{equation*}が成り立つ。
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\(\mathbb{R}\)の開集合系\(\mathcal{O}\)と部分集合\(A\)が与えられたとしましょう。このとき、\(\mathcal{O}\)に属する\(\mathbb{R}\)の開集合の中でも、\(A\)の部分集合でありなおかつその中で最大のものをとればそれは\(A\)の内部\(A^{i}\)です。したがって\(\mathbb{R}\)の部分集合の内部という概念は開集合系\(\mathcal{O}\)から間接的に定義される概念だと言えます。

 

内部と集合演算

内部は集合演算に関して以下の性質を満たします。

命題(内部と集合演算)
\(\mathbb{R}\)の任意の部分集合\(A,B\)について以下が成り立つ。\begin{eqnarray*}
&&\left( a\right) \ A\subset B\ \Rightarrow \ A^{i}\subset B^{i} \\
&&\left( b\right) \ (A\cap B)^{i}=A^{i}\cap B^{i} \\
&&\left( c\right) \ A^{i}\cup B^{i}\subset (A\cup B)^{i}
\end{eqnarray*}
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特に\(\left( b\right) \)は等号で成り立ちますが\(\left( c\right) \)は等号で成り立たない点に注意する必要があります。つまり、\begin{equation*}
(A\cup B)^{i}\subset A^{i}\cup B^{i}
\end{equation*}という関係は成り立つとは限らないということです。証明は演習問題にします。

次回は外点や外部という概念について解説します。
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